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聴かせれぬ声は消えゆく

「本当……ゴミがはびこりますね……」

とある一室、十数台のスマホやパソコンが並べれている

それは様々なSNSを移していた

「この人……複数アカウント使ってますけど……同じ人ですね……」

それは私の愛しい方を誹謗中傷する大量のコメントだった

「他にも手を出すとは欲張りですね……全く……」

私は身を翻し外出の準備をする

「本当……使えない国の代わりに私がお掃除しないといけませんね……」


「困るんですよねぇ……貴方みたいな人がいらっしゃると……」

コツコツと無機質なコンクリートで囲まれた部屋に革靴の足音が響く

どうやら電気は流れてないのか所々に置かれた蝋燭の灯りがゆらゆらと揺れている

椅子に座らせ縛り上げられている男は何かを訴えようと体を動かすが手足は椅子に縛り上げられ口には布が噛まされているため声は出せずただ「ん~!ん〜〜!」と騒いでいる

「うるさいですねぇ……ちょっと黙っててくれません?」

そう言うと男の太ももにナイフが突き刺さる

「ん〜〜〜!!!」

とうとうな痛みだったのか叫び声のようなくぐもった声を上げ涙目でこちらを睨みつける

「そう睨まれても……まぁ良いですよ?しばらく黙っててくれれば」

そう言うと部屋に置かれている木箱に腰をかけ足を組む

それは男とも女とも見える人だった

黒髪は肩ほどまで伸びているもしっかりと整えられており

服装はどこかの執事のような格好に見える

きっちりとした執事服に身を包み靴は良く磨かれているのかゆらゆらと灯る灯りの中でもピカピカと輝いているようだ

イメージする執事と違う点と言えばつけている手袋は白では無くは黒色をしております革製のようにも見える

それに顔には謎の半面がつけられていた

デザインは無機質な仮面だが顔の下半分は無くしっかりと口が見える

半面から覗く瞳は青くそしてとても冷たいものだった

上着をめくると中には何本ものナイフがつけられていた

その執事らしき人は一本のナイフを抜くとクルクルと指の上で回しそしてしっかりと握った

「私はネモと言います

少しだけお話いたしましょう……ねぇ?落椿(おちつばき) 勇斗(ゆうと)さん」

ドキリと男の心臓が跳ねる

「現在は無職で親の金で暮らしているそうですね?何もせず怠惰に暮らしているとか……

様々なアカウントを持っているようですが……特に雫雪はインターネット上での過激な投稿が目立ちます

1番好きなのは有名人を叩くこと……他のアカウントとしまして……」

指をいくつか折りながらネモは様々な名前を出していく

それは全て勇斗という男が作っていたアカウントの名前だった

木箱から立ち上がるとコツコツと足音を鳴らしながら近づいてくる

勇斗と呼ばれた男はビクリと肩を揺らした

「貴方も言いたいことがあるのでしょう?ほら……話させて上げます」

ピッとナイフが振り降ろされ男の口にあった布が切り落とされる

布と共に頬が切られたのか少し血が流れ出す

「さぁ何を……」

「助けてくれぇ!!!!」

大きく息を吸い部屋に響き渡るほどの大声を張り上げ勇斗は叫び出す

「誰かいな、ぐほっ!!」

しかしその叫び声はネモからの鋭い蹴りが顔面刺さり止められる

「本当に耳障り……そもそも人が呼べるところで縛るわけないでしょう?」

半面から覗く瞳はさらに冷たくなる

「はぁ……なら質問にするわ……なぜこんなことになってるのかわかる?」

「知らねぇよ……俺だけじゃねぇ……誰もやってることだろうが!とりあえずこいつを解きやがれ!」

「えぇ、そうですね」

コツコツと足音を鳴らしまた木箱にネモは座った

どうやらこちらの命令に聞く耳はないようだ

「私もその程度ではこんなことしませんよ……時間がもったいないですし」

「クソ野郎が……」

ボソッと吐き捨てたがネモの表情は一切変化がない「私はそれだけなら良かったのですが……複数アカウント使って私の麗しき天使(アンヘル)達をを傷つけましたね?」

「アン……?なんだって!」

「私の!愛しき天使ですよ!私の生きがいとなる調べを奏でてくれる……!それを!ゴミクズのような貴方達が傷つけるのは我慢ならないのですよ」

豹変したネモに驚きながらも強がりながら言葉を振り絞る

「はぁ?俺が何言おうがどうでもいいだろうが!」

ザクッと腹部にナイフが刺さる

どうやらネモはナイフを投げたようだ

あまりの痛みに叫び声を上げそうになるがなんとか堪えた

「えぇ……アンチが誹謗中傷をするのは当たり前ですからね……でも言葉で人を殺せること……貴方は知っているでしょう?」

「はっ!知らねぇな!どうせそいつが弱かっただけだろ?情ねぇな!」

強がりで笑うが現状のピンチは変わらない

「はぁ……やっぱり貴方もですか……」

「あっ?」

「いじめっ子はイジメに気づかないとは良く言いますね……なぜ誹謗中傷が許されなくなったか知っているでしょう?」

「そんなんで自殺しやがるカスどもが多いからな!」

ポタポタと血が流れ落ちるがお構いなく言葉を続ける

「本当にこの世は腐ってやがる!誹謗中傷の何が悪い!言われるようなことをする奴が……!」

「黙れよゴミカスが」

そこから言葉が続くことはなかった

モネがナイフで喉をカッ斬り言葉の代わりにヒューヒューと空気が漏れ出る音が鳴る

「あぁ……本当に無駄な時間でしたね……」

男に使ったナイフを全て引き抜き懐からハンカチを出し血を拭うと上着に全てしまう

「本当に貴方のようなゴミがのさばるのが良くないんですよ……顔の見えないなら何でも言って言い訳がないでしょう?」

しばらくすると漏れ出たような音は消え

静かになった部屋にネモは鼻歌を歌いだす

「あぁ……愛しき天使(アンヘル)よ!貴方を穢す者がまた1人!地獄に落ちました!えぇ……えぇ……泣かないでください……私に涙よりも貴方の歌を聞かせてください……!」

男の周りを踊るかのように鼻歌を歌いながらクルクルと回りだす

「あぁ……これからも見ていてくださいまし……私の天使(アンヘル)……」

そして男を残しネモは歌いながら自身が居た証拠を全て消しながら部屋から出ていった

その表情は恍惚としながらもどこか悲しげに見えた

「お〜……これはこれは……これで何度目かわかる?」

「もう数えてませんよ……」

椅子に縛られた首を切られた男を見て刑事は話を続けている

「最近多いよねぇ……しかも全国各地で……」

「男女、そして年齢も関係ありませんからね……唯一の共通点は」

「SNSで誹謗中傷を繰り返していた……と」

う〜んと唸る

「しかし困ったねぇ……証拠も何一つ残さないんだから……」

「そうなんですよねぇ……正義の味方のつもりなんですかね?」

ガシガシと頭をかく男

「多分違うと思うけど……誹謗中傷……ねぇ」

(確かに後手後手に回る国や警察もだけど……ね)

「なにかありましたか?」

「いや、なんでもないよ……とりあえずまた徹夜かもねよ」

うえぇと嫌そうな顔をする部下らしき人をつれ刑事は去っていった

あとには証拠を必死に探す鑑識や警察が残されていった

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