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8話 伝説のモンスター

 〈俺はいいよー。二人は?〉


〈僕も構いません。人数が増えて困ることはないですから〉 


――私も大丈夫! 年の近い女の子と仲良くする機会あんまりなかったから大歓迎だよ


 私は紙を見せたあと手を振り歓迎の意を表す。するとハルちゃんは笑顔でこっちに手を振り返す。


〈それじゃあよろしくお願いします!〉


 こうして、私の冒険者としての一日は、波乱を迎えながら終わった。


 そして次の日、私達はモンスターを狩りに近くの平原に来ていた。


――なんていうか怖いね、ここ。モンスターたくさんいて


〈この辺はどこも一緒だよ。慣れるしかない〉


 私達は近くのモンスターを狩りながら平原を進み続ける。この辺のモンスターはかなり弱く、魔法一発で大体倒せる。


〈さて、そろそろ目的地に着くよ〉


 私達が向かっていたのは、クッキー山と呼ばれる場所だ。名前はかわいいが、いるのはモンスターだけだ。


 私達はクッキー山に着くと、荷物を下ろし、昼食を取る。私は今まで、あまり外でご飯を食べたことがなかったのでこの感覚は新鮮だった。


〈食べ終わって少し休憩したらここを登るよ。この上はモンスターが結構凶暴でね。倒さないと街に被害が及ぶから駆除しないといけない。だから結構お金になるんだ〉


〈なるほど。となるとここから先は更に気を引き締めた方が良さそうですね〉


 ニコラスは素早くパンを口に流し込むと、そう感想を述べる。


〈緊張するなぁ。私まだモンスター怖いんですよね。こう、本能に来る恐怖といいますか〉

 

〈ああ、分かるよそれ。俺も未だにモンスター怖い〉


――数年冒険者やってても駄目なんですか?


〈ちょっとはマシになったけどね。でも怖いものは怖いよ〉


 そうこう話しているうちに、私達の体力が回復したので、私達はクッキー山を登り始めた。


――最初クッキー山って聞いた時はもっと安全そうな山だと思ったよ。


〈はは、残念ながら真逆だね。でもその代わりにこの山には一つ面白い話があるんだよ。聞きたい?〉


――聞きたい!


 私はそういう噂話は大好物だ。事実かどうかはともかく夢がある。


〈この山にはね、昔貴族が財宝や貴重な魔道具を隠した宝箱が眠っているらしいんだ。まだ見つかってないしもしかしたら存在しないのかもしれないけどね〉  


――へー、そんな噂あるんだ! なんか偶然で見つかったりしないかなー


〈ふふふ、他にも噂があってね。そっちは少し怖い話なんだけど、この山のどこかに凄く強いモンスターがいるらしいんだよ。前にあるパーティが遭遇して、帰ってきた時は全員傷だらけだったんだってさ〉


〈ヒー! 今言わないでくださいよ……!怖いじゃないですか!〉


 ハルちゃんはそう言った体を縮める。正直それに関しては私も同意見だ。


〈大丈夫。滅多に出会わないか……〉


 やはりフラグというのはあるのだろうか。突如、私達の目の前にいかにも強そうなモンスターが立ち塞がった。


 そいつは人型で、大きさは私達より少し小さいぐらいだ。だけど、威圧感がハンパない。今ここで動いたら死にそうなぐらいに。


 そこで、ニコラスが私を守るように前に出るが、モンスターは反応せずに仁王立ちをしている。


〈ゆっくり後ろに下がってください〉 


 ニコラスは私達にそう小声で言うと、本当に少しずつ後ろに下がっていく。


 私も真似して後ろに下がる。そうして、私達が奴から逃げようとしたその時、事件は起きた。


 別の冒険者がナイフを奴目掛けて投げたのだ。奴はそれを魔法で防ぐと、その冒険者を炎で焼き尽くしてしまった。


 私はその時初めて、耳が聞こえなくて良かったと思ってしまった。冒険者は悶え苦しみ、叫び声を上げていたように見えたからだ。


 そして、奴は今度は私達の方に向き直ると、襲いかかってきた。どうやら戦闘は避けられないらしい。ならやるしかないね。






次回逆転回です

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