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33話 研究者は大抵マッドサイエンティスト

 〈えーっと……私、思った以上にとんでもないものを持ってきてしまったのでしょうか?〉


 ――うん、間違いないね。こんなものどこから持ってきたの?


 〈それが、分からないんです。私はエルダお姉様から貰っただけなので〉


 ――エルダがアリスに? そりゃまたなんで?


 エルダが人に物をあげるなんてことがあるんだろうか。確かにエルダはアリスのことを嫌ってはなかったとは思うが……。


 〈分かりません。でも、これはアリスが持ってろと。そうおっしゃっていました〉 


 ――アリスが持っておくとなにかいいことがあるのかな? こんな危険な代物なのに?


〈どうなんでしょうね……?〉


 私達は頭を回転させるが、なにも思い浮かばなかった。そもそもこの指輪をアリスは起動できなかった。つまりアリスが持っていてもただの高価な指輪でしかない。


 〈とりあえず、もう一回指輪の魔法を壁に使ってみてください〉


 アリスは先程私が黄金に変えた壁を指差す。壁が元に戻ることに期待しているのだろう。

  

 私は再び指輪から緑色の光線を放つと、壁は一瞬で元通りになった。


 〈ああ、良かった……。元に戻らなかったらどうしようかと思いました〉


 ――部屋の中ギラギラしてても落ち着けないもんね


 私達がそう二人で喜んでいると、突然天井裏から女性が落ちてきた。


 〈話は聞かせてもらった! その指輪、私に貸していただこうか!〉


 女性は私の手から指輪をかっぱらった後、そう宣言する。宣言するのが遅い!


 〈ちょ、ちょっと返していただけないでしょうか! 一応それ家宝なので〉


 〈ああ、心配するでない。悪いようにはしないしすぐに返す。ただこれは古代魔法研究者としては見過ごせないのでな〉


 女性は目をギンギラギンに輝かせ、指輪を高々と掲げている。その隣ではアリスが指輪を取り返そうと手を伸ばしているが、全く届いていない。かわいい。

 

 ――あなた、確かマルスさんの――


 〈そうだ。私の名前はタンザ。古代魔法の研究をしている天才だ〉


 最後まで書く前に女性、タンザはそう答える。色々突っ込みたいところだが、タンザの勢いは止まることを知らない。


 〈今まで長い間古代魔法について研究していたが、錬金術を見たのは初めてだな! 貴様等どこでそれを手に入れた!?〉


 〈本当にさっきまで話聞いてたんですよね……? 私知らないと言った気がするんですけど〉


 〈あれ、そうだったか? まあそんなことはどうでもいい! ふむ、私にはこの指輪を使うことはできないようだな!〉


 タンザは指輪の魔法を使おうとしたのだろう。指輪を床にかざしていたが、全く反応がなかった。


 〈一体なにが条件なのか、想像もつかないな! アリスが使えずカミラが使えたことから血縁関係などではない。なら単純に魔力量の問題か!?〉


 ――あの、そろそろ返してもらっ――

 

 〈断る! 後少しで答えがでそうなのだ! 私の魔力量から考えると相当な魔力が必要だ。だが、カミラはこれを疲れる様子すら見せずに発動していたな。おいカミラ! 貴様の魔力量はどのぐらいだ!〉


 ――知りません! 仮にも貴族の出ですし平均は余裕で超えてるとは思いますけど、どんぐらいかは測ったことないので


 なんだろうか。変な予感がする。こう、まるでニコラスがここは私に任せて先に行けと言った時と同じものだ。


 〈そうか! 貴様等ワトソン家の者だったか! アリス、貴様の魔力はどのぐらいか分かるか!〉 


 〈私の魔力の半分でタイムストッパー一秒分ぐらいですかね。カミラお姉様もそれなら分かるのでは?


 ――それなら私も分かるよ。確かこの前トランサーに使ったときは、五秒だったかな 


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