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31話 指輪の世界

 ――それは私一人じゃ返事できないかな。リーダーはアランだし。それに、マルスさんに許しを貰わないと駄目なんじゃない?


 〈確かにそれもそうですね…。先程から空回りしてしまいすみません〉

 

 アリスの顔が曇る。かなり心に来てしまったみたいだ。


 ――ごめん、アリスが謝ることじゃないよ。ただ、両方とも私達二人でどうにかできる問題じゃないと思って。指名手配の件もパーティーに加わる件も


 私は慌てて手をブンブンと横に振ると、ペンを走らせ弁解する。色々言い過ぎたかもしれない。


 〈そうですね。私の方でももう少し考えてみます〉  


 ――それがいいんじゃないかな。それで、他になんの用事があって呼んだの?


 〈それが――この指輪を嵌めてみていただきたいのです〉


 アリスはスカートのポケットから綺麗な指輪を取り出すと、私に差し出してきた。


 指輪は純金なのだろうか。金色に輝き、その中央にはエメラルドと思われる宝石が嵌っている。


 ――別にいいけど、なんで?


 〈元々ワトソン家にあった物なのですが、どうやら大昔に魔法が込められてるみたいなのです。そこで血縁関係があればもしかしたら中に入っている魔法が取り出せるかなと〉


 ――そういうのって血縁関係なくその人じゃないと取り出せないと思うけどね。アリスはやってみたの?


 〈はい。やってみたのですが、駄目でした〉

 

 ――だよねー。ま、ダメ元でやってみるよ 


 私は指輪を左手の人差し指に嵌めると、魔力を込め、魔法を使おうとする。だが、反応がない。


 〈やっぱり駄目でしたか……。話によると、昔の魔法と今の魔法では色々仕組みが違うそうなのです。カミラお姉様はフローターという街をご存知ですか?〉


 ――聞いたことはあるよ。確かすっごい寒い街なんだって?


 〈はい。これもまた昔の話になりますが、一人の魔法使いが、街の治安が悪いことに怒って、土地に永久的に気温を下げてしまう魔法かけたそうです〉


 ――それ魔法使いの人沸点低すぎない……?


 治安が悪いからって永続魔法かけるかな、普通。せいぜい治安悪くしてる人ぶちのめして終わりだと思うんだけど。


 〈まあ……もしかしたらよっぽど犯罪者が多かったのかもしれませんよ……〉


 ――どうだかね。それで、その話とこの指輪となんの関係があるの?


 私はそう言いながら、嵌めている指輪を右手で叩く。すると、エメラルドが急激に光りだした。


 〈今の魔法技術では永続的な魔法をかけるなんてできないじゃな――って、なんですか、この光!?〉


 ――どなやねのわゆにきなやちうならを


 〈カミラお姉様、落ち着いてください! 字が書けてません!〉


  アリスは私を落ち着かせようとそう声をかけているが、当の本人が一番慌てている。手の動きが尋常じゃないほど激しく動いている。


 そして、エメラルドの光と私とアリスの慌て具合が最高に達した瞬間、私達は歯車に囲まれた金色の部屋に居た。

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