27話 真相
次の日、私達はアリスの言っていた家に向かった。
――困ったもんだね。よりによって探してた本人が消えるなんて
〈むしろ探していたからこそ口封じで消されてしまった可能性はありますけどね〉
アリスは頭を手に乗せながら歩く。なにか考えごとをしているようだ。
――なんか気になることでもあるの?
〈いや、別にそういう訳ではありません。ただ、今日のお昼ごはんのことを考えていただけです〉
――あ、それだけ?
〈はい、それだけです〉
なんだろう、聞いて損した気分。
〈昼ごはんどうしようかね。近くの店で食べる?〉
なぜかアランも昼ごはんの話をし始めた。
二人共さっき朝ごはん食べたばかりなのに、なんでもう昼ごはんの話をしているんだろう。
〈いいですね。調査が終わったら行きましょう〉
〈よし、それじゃさっさと調査を済まそうか!〉
二人がそんな会話をしているうちに、私達は例の家に着いた。玄関のドアは半開きになっていて、中からは物音一つしない。
――なんか怖いね、ここ
〈そうですかね? 別に怖くはないと思いますよ。汚れてそうで入るのは抵抗感ありますが〉
〈あー、そう言われてみるとかなり汚そうだよね、ここ。しばらく掃除してない感じだし〉
――そりゃ家主がいないもんね……
私達は家の中に入ると、各自で色々探し回ることにした。
私がまず狙いを付けたのが家主の自室である二階の部屋。多分ここに……あった!
私は机の中から彼の日記を取り出すと、中を見てみた。失踪前日とかになにか書いてるかもしれない。
そう考えた私は最後のページから日記を遡っていった。
ほほう、これは興味深いね。
私は最後のページの内容を見ると、二人を光魔法で呼ぶ。
〈なにか見つかったのかい?〉
――うん、このページを見てみて
〈なになに……やはりこれはトランサーの仕業だ。だが、一体何に化けているのか検討がつかないだって? トランサーて何?〉
――あれ、アラン知らないの?
私は首を傾げる。モンスターだからアランは知ってると思ったのだけれど。
〈知らないなぁ。カミラさんは知ってるの?〉
――うん。前に本で読んだよ。とても大きな口を持ってて、食べた生き物に変身できるモンスターなんだ
〈へえ、そんなのいるんだ。俺遭遇したことないなぁ〉
〈他に何か特徴はあるんですか?〉
――基本的に獲物は一口で丸呑みだね。血一滴残すことはないよ
〈なるほど、それで?〉
アリスはなんだか険しい顔をしている。真相に近づき始めているのだろうか。
――それから、変身するには太陽光が必要だから夜は変身できないんだ。予め昼に変身しとけば変身した状態は保てるけどね
私はこれを書いている途中に、あることに気がついていた。恐らく、アリスも既に気付いているだろう。
この神隠しの原因は、ライムという少年に化けているトランサーだということに