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22話 ワイズ家にて

 あの後私達は何事もなく、ユグへとたどり着いた。いや、ハルちゃんがへばってはいたが。


 〈よう……やく着きましたね……。まさか遭難で体力削られてるアリスさんにまでスタミナ負けるとは思ってませんでしたけど……〉 


〈大丈夫、君が体力ないってよりは俺達があるってだけだから〉


〈それはそれで嫌ですけど……〉


 ハルちゃんとアランは二人でそんなことを言いながら私達の後ろを歩いている。


 私はというと、二人の会話を見るために後ろを向いていたため木にぶつかってしまった。


〈カミラお姉様……前を見て歩かないと危ないですよ〉


 アリスが微妙そうな顔をしながら私に注意してくる。遭難した子にはあんまり言われたくない。


 ――ごめん、気をつけるよ


 私は頭を抑えながら街の様子を見渡す。言われていた通り、木々に囲まれていて、ハレントと比べると田舎感のある場所だ。


 ――なんか本当に田舎って感じだね。ハレントが発達しすぎてるだけかもしれないけど。


 〈田舎なのは事実ですよ。ど田舎ってほどではないですがね〉


 ――あ、そうなんだ。アリスはこういうとこ好き?


〈どちらかといえば好きですかね。少し虫は苦手ですけど、それ以外は割と好きです〉


 私達はそんな会話をしながら今の家であるワイズ家へと到着する。私が玄関の鐘を鳴らすと、中から一人の男性が出てきた。


 〈アリスお嬢様! まったく、どこに行っていたのですか。我々一同皆心配してたのですよ!〉


 〈も、申し訳ございません。森で迷って しまいまして〉


〈敬語は使わなくて結構です。とにかく、無事ならそれで問題ありません。ところで、そちらにいらっしゃるお二方はもしや――〉


 男性は後ろにいる私達に気づいたらしい。アリスの横から顔を出して、こちらをじっと見てきた。


〈お久しぶりです、マルスさん。ニコラスです〉 


 ――カミラです


 私はニコラスに連れられるようにして頭を下げ、挨拶をする。


 〈ああ、やはりそうでしたか。わざわざアリスを届けてくださりありがとうございます。せっかくなのでお茶でもいかがですか? そこのお二方もご一緒に〉


 男性――マルスはハルちゃんとアランの方を手で示すと、家の中へと手招きする。私達はリーダーであるアランの指示を待つ。


 アランが〈それではせっかくなのでいただきます〉と言って中に入ろうとしたので、私達もそれに続く。


 そうして私達はテーブルに着くと、マルスが出した紅茶を飲んだ。と、そこでマルスがこんなことを言い始めた。


 〈そういえば、皆さんはここユグで最近奇妙なことが起こっているのはご存知ですか?〉


 〈うーん……もしかして、神隠しの事でしょうか。一ヶ月ほど前にハレントで耳に挟んだ気がします〉


 どうやらアランはなにか知っているらしい。私にはなんのことかさっぱり分からない。だが、フレーズが不穏なので私は若干身構えてしまった。


 〈そうです。ここ一ヶ月、老若男女問わずよく人が消えるのですよ。ここユグでは。正直怖いので引っ越そうかと考えているぐらいです〉


 〈え……それ人攫いだったりしないんですか?〉


 ハルちゃんは怯えてすっかり縮こまってしまっている。ハレントでのトラウマが蘇ったのだろうか。


 〈分からないですね。魔法のせいかもしれませんし〉


 ――どっちみち怖いなぁ……


 〈そこで、もしよろしければ調査をお願いしたいのですが――〉


〈絶対嫌です!〉


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