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20話 思わぬ再会

 私達は数日間ここ、ハレントでやり残したことを終わらすと、次の目的地であるユグに向けて出発した。


 ――嫌なもんだね。人一人から逃げるために街を出なきゃいけないのは


 〈そうですね。まあ面倒ごとはできるだけ避けたいですからね〉


 ニコラスは歩きながらそう返す。さすがというべきか、姿勢がとても良い。


 私達が今向かっている街――ユグは木々に囲まれている。そして、かなり田舎の方なので、道が整備されていない。つまり少々長旅になることが確定している。


 〈さて、この辺で一回休憩しようか。ハルさん大丈夫?〉


 〈はぁ……はぁ……大……丈夫で……す〉


 ハルちゃんは息を切らしながらそう答える。どう見ても大丈夫な人間の様子ではない。


 〈皆さんよくそんな体力ありますね……。アランさんなんか一番荷物多く持ってもらってるのに余裕そうじゃないですか〉


 〈俺は長旅慣れてるからね。そのうちハルさんも体力それなりにはつくよ〉


 〈そういうもんですかね……? それからカミラさんも結構体力ありませんか?〉


 ――私は元々運動神経良いからね


 私は時々、妹のアリスと遊んだりしていたので、それもあるかもしれない。まあ、正直それ抜きにしても割と体力はある方だと思う。


 私達はそんな会話をしながら昼食を取る。座る場所に関してはアランが座る用の布を持っているので問題ない。


 〈ん……?〉


 なんの前触れもなくアランが立ち上がる。食事が終わった訳ではない。ならなんで急に立ち上がったのだろう。私がそう考えて様子を見ていると、アランは首を動かし辺りを見渡している。


 〈アランさん、どうしました?〉  


 ニコラスがそう聞くと、アランはニコラスの方を向いた。


 〈いや、何かが近づいてきてるような音がしたんだけど……気のせいかな〉


 〈少なくとも僕はその音聞いてないですね。アランさん、耳が良いのですか?〉


 〈人よりは良いと自負してるけど、今回は幻聴かもね〉


 アランはそう言って座り直すと、再び昼食を食べ始めた。だが、私はまだ警戒を解かず、辺りを目一杯見渡す。


 だが、アランの言う通り、辺りになにかいるようには見えない。同じ冒険者かはたまた山賊か。それともモンスターか。どれでもいいからいるなら出てきて欲しいところである。


 私がそうしてしばらく待っていると、またアランが立ち上がった。どうやらまた音がしたらしい。


 〈まただよ。一体なんなんだろうね〉


 〈今度は僕にも聞こえました。結構近いですね〉


 そうして私達が警戒して音の正体を探っていると、草むらの中から金髪の少女が出てきた。少女は体にすり傷や切り傷があちこちにあり、かなり疲れていそうだった。遭難でもしたのだろうか。


 私は――正確にはニコラスもだが――その少女が誰だか知っていた。忘れることなどあるはずもない。


 『ニコラス、この子って……』


 私は手話で素早くニコラスに話しかける。


 〈間違いなく、アリスお嬢様でしょうね〉


 


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