12話 クズ兄、襲来
翌日、私達は例の伝説の剣の研究をしていた。
〈……振ると炎が出るだけの剣に見えますが、本当にこれ、売れるのでしょうか?〉
ニコラスは首を傾げながらアランにそう尋ねる。
〈性能は関係ないですよ。売れるのは伝説のモンスターが持っていたという肩書きです〉
――なんかインチキ臭いなぁ
〈ふっふっふ、商売とはそういうもんだよ。ま、売るかどうかはまだ決められないけどね〉
アランは、そう言って笑い声を上げると、ゲスそうな顔をした。この人さては性格悪いな?
〈アランさん顔怖いです……〉
その横では、ハルちゃんがアランの顔に怯えながら部屋の隅に座っていた。
――せっかくだし持っとくのもアリじゃないかな。戦利品としてさ
〈うーん、迷うなぁ。まあでもこのパーティーでの初めての戦利品だから記念としてとっとこうか〉
〈そうですね。ではそれは僕が持っておきましょう。他の方は剣使わないですからね〉
ニコラスはそう言ってアランから剣を受け取ると、背中に担いだ。
――ところで今日はなにをするの?
〈そうだねー、何しようか。ここ数日で色々ありすぎて少し疲れちゃったんだよね。今日は休みにするのはどうかな?〉
――昨日の伝説のモンスター討伐の報酬でしばらくは食べ物に困ることはなさそうだし良いんじゃないかな。
〈私は特に異論ないです。ニコラスさんは?〉
〈こちらもありません〉
〈よし、全会一致だね。あ、この辺に美味しいパン屋さんがあるんだけど、行くかい?〉
アランがそう聞くと、私達はもちろん承諾した。そして、私達はパン屋へと向かった。
事件はその道中で起こった。突然、私の兄であるトールが、私達の前に立ち塞がったからだ。
――兄さん、なんのよう?
〈貴様の手を胸に当てて考えろ!〉
トールはそう言って、私達目掛けて爆発魔法を唱えてきた。私は即座に防御魔法を使うと、怒りペンを走らせる。
――いきなりなにするの!
〈ふん、貴様が俺の水晶に細工なんかして家を爆発させるからだ。後悔してももう遅いぞ〉
トールはそう事実無根の発言をすると、再び爆発魔法を放つ。だが、私の防御魔法の前に敗れる。
そうしている間に、ニコラスは滑り込むようにトールに近づくと、レイピアを彼に突きつける。
〈言いがかりはよしなさい、トールお坊ちゃま。カミラお嬢様がなぜそんなことをする必要があるのです?〉
〈ああ? カミラのお世話係ごときがこの俺に意見できると思ってんのか?〉
〈いいから答えなさい! たとえ貴方であってもカミラお嬢様に対する無礼は許しませんよ!〉
ニコラスは本気で怒っているようだ。拳が握られ、眉間にはシワが寄っている。
〈ハッ、その無礼な態度、さすがカミラなんかのことが心配でついてったアホお世話係なだけあるな〉
トールは相変わらず神経を逆なでするよなことを言うと、下品な笑い声を上げる。
〈なんか嫌な人だね。君のお兄さん〉
アランはこの事態でも冷静にそう呟く。
――私も正直あんまり好きじゃないね。怖いし
〈まあ特別に根拠教えてやるよ。こいつは家を追い出された腹いせにやった。それだけだ〉
〈そんなの貴方の妄想じゃないですか! そんな根も葉もないことで攻撃するなんて言語道断ですよ!〉
〈ふん、勝手に言ってろ。どうせ貴様等は俺の正義の鉄槌により死ぬのだからな〉
トールがそう言った次の瞬間、ニコラスの正義の鉄槌により、トールは吹き飛んだ。
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