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第7話 そして異世界へ。

 目の前の光景、これはなんだ?草原?。あったはずの階段がない。そして、女子更衣室もない。少し外に出てふりかえる。武道場だけが、草原の真ん中にぽつんとある。



 外で、呆然としていると、大と、凛花ちゃんが出てきた。同じく、呆然としている。そして、



「岳、俺は夢を見てるのか?。なんだこれは?。夢だよな?岳。」



 俺は、大の頬っぺたをおもいっきりつねる。


「痛っ❗。」


「夢じゃないようだな。」


「自分をつねれよ。岳❗」




 とりあえず、武道場のまわりを一周する。物置だった所、そして、裏の非常口だった所など、扉だけが残っていて、その先はない状態になっている。そして、草原には、焼け焦げた後と、何かが飛んで来て落ちた穴が残っていた。



 皆が少しずつ外に出てくる。


「えっ?何これ?」


「夢だよね?。」


「わたしのスマホ繋がんないんだけど。」


 口々に話ながら、そう、現実離れし過ぎている。理解できない。史華ちゃんの告白以上の衝撃だ。



 と、遠くから数人が、馬に乗ってこちらに向かって来るのが見えた。なんだ?。助けに来た?それとも、襲いに来るのか?でも、とりあえずは、身を守らないと、


「木刀取りに行ってくる。」


「わたしも、行きます。」


「俺は、素手の方が戦いやすいや。」


 大が、軽くジャンプしながら、空手の構えをとる。俺は、武道場の中に戻ると木刀を持って外に出る。



 剣道部員は、元々竹刀を持っているから、ほぼ全員で武器を構え待ち受ける。馬で走って来た人々が、馬を降りてこちらに歩いてくる。



 服装は、アラビアンナイトとかで、見るような王族や、貴族がするような格好だ。


「$☆&@!$¥♪&?@」




 ん?何言ってるんだ?敵意はないようだが、意味わかんない。



「☆@$¥♪☆&*♪」



 うん、まるでわからない、英語でもないようだが。すると、1人の男性が、イヤリングのような物を、自分達の前に置いて、後ろに下がる。ん?これは、なんだ?



「岳先輩、気をつけてくださいね。」


 という、史華ちゃんの声を聞きつつ、それを取り上げる。



 すると、これを置いた男は、自分の耳をさわっている。耳につけろって事なのかな?



 俺は、耳にイヤリングのような物をつける。すると、目の前の男が話始める。


「ようこそ、おいでくださいました。」


 いや、来たくて来たわけではないのだが。


「ここはどこですか?」


「ここは、イブラヒム首長国連邦の、アラビム首長国、首都のアラビム近郊の草原です。」



 イブラヒム首長国って聞いたことない。アラブ首長国連邦なら聞いたことがあるが。そして、耳のイヤリングの機能で、間違って翻訳されているとしても、今までいた、東京から、アラブ首長国連邦までは、約8000kmはあるだろう。こんな一瞬で飛んで来るわけはない。



 大が近寄ってくる。


「岳、耳に着けたやつ、大丈夫なのか?」


 俺は、わざとらしく、ギリギリギリという感じで、ゆっくり振り向くと。


「ダイジョブデス、ナントモナイデス。」


 わざとらしく、かたことでしゃべる。


「おいっ。」


 大は、慌てて俺の耳からイヤリングを外そうとする。俺は、大の手を掴み。


「冗談、冗談、大丈夫、なんともないよ。」


 大は、少し怒ったような表情をして、


「俺、本気で心配したんだぞ❗。」


「悪い、悪い。」


「で、なんなんだそれ?。」


「翻訳機みたいなものみたいだ。着けたら、相手の言葉がわかるようになった。向こうも、こちらの言葉がわかるようだ。」


「便利だな、最新のポケトークなのか?。」


 違うだろうな。まあ、良いけど。





 俺たちの様子を見ていた、先ほどイヤリングを置いた男が、話かけてくる。


「効果は御理解頂けましたでしょうか?。よろしければ、皆様分ありますので、お渡ししてもよろしいですか?。」




 全員が話わかった方が良いだろうし、自分1人が聞いて話たって、信じてもらえるかわからないから、その方が良いだろう。


「お願いします。」





 全員にイヤリングのような器具が渡され、恐る恐る装着する。


「皆様、お付け頂けましたでしょうか?。」




「おっ、話わかった。すげっ。」


「えっ、俺たちが話してもわかるのかな?」


 等と、お互いに話し始めた。





 先ほどの男は、俺たちの様子をみつつ、落ち着いた所で話を続ける。


「皆様ようこそおいでくださいました。」



 一端言葉を区切ると全体を見渡しつつ、


「わたくし、アラビム首長国で、宰相をしております。ハンメリヒと、申します。皆様のお越しをお待ち申し上げておりました。」



「お越しをお待ちしておりましたってことは、あなた方が、わたし達を、ここに来させたのですか?」


 由依が尋ねる。するどい。



「はい、左様でございます。皆様に、我々が皆様をお招きした経緯を話させて頂きます。」


 と言って、ハンメリヒは話始めた。それは、とても信じられるようなものではなかった。



「我が国には、太古より代々伝わる、予言書があります。それは、見事に国の危機を救い、そのため、我が国は小国なれど、滅びることなく、むしろ近年は、予言書のおかげで、発見された。「燃える水」のおかげで、凄まじい発展を遂げております。」



 ハンメリヒは、話を続ける。


「そして、今年に関する記述にて、[魔王の迷宮]と呼ばれるものが現れ、我が国を大いなる災厄が降り注ぐだろう。だが、それは、勇者によって救われるだろうというものだったのです。我々は、この記述の発見以来、大魔導師エンリル様を中心に、対処法の研究が進められました。なぜなら、勇者という存在は、昔はいたのですが、現在は、ここ200年ほどあらわれてはおらず、伝説の存在になっていたのです。」



 予言書、勇者ね~。どっかのファンタジーみたいな話になってきたぞ。


「そして、エンリル様はついに、勇者様を見つけられたのです。ですが、それは我々の世界とは違う世界だったのです。」



 違う世界?。どういう意味だ?


「エンリル様は、召喚魔術師を集め違う世界から、勇者様を召喚する研究を開始したのです。長い研究の途中高齢だった、エンリル様は亡くなられましたが、召喚魔術師達によって研究は続けられ。そして、それは今日召喚に成功したのです❗。勇者様方、魔王を倒し、我らをお救いください。」



 ハンメリヒ以下全員が、深々と頭を下げる。いやいやいや、それはあなた達の都合でしょ。そして、勇者様方って言うのは、俺たちのことか?



 ちょっと頭にきた。少しとげのある言葉できく。


「それは、あなた方の都合でしょ。俺たちは、ここに用はないんです。どうやったら帰れます?。」




 すると、ハンメリヒは考えつつ言葉を紡ぎ出す。


「それが、勇者様方を召喚に成功させた、召喚魔術師達なのですが、皆様を召喚するのは、凄まじい魔力が必要だったようで、召喚途中で、力を使い果たし、次々と倒れられ、最後の1人がなんとか、近くまで召喚したところで力つき倒れられました。我々が、近寄ると全員亡くなられていて、ですので、我々では、皆様をお戻しする方法は、わかりません。」



 はっきり言いきちゃいましたよ。う~ん?



「ですが、魔王を倒せば、戻れるかもしれませんし、召喚魔術師達の研究成果をまとめた書物もありますので、そこに何かあるかもしれません。」



 本当かな?。しかし、召喚魔術師達の研究書か、そこに何かあれば良いけど。



「我々は、皆様が魔王を倒され無事に元の世界に帰られる。その日まで全力でサポートさせて頂きます。何とぞ、よろしくお願いいたします。」


 ハンメリヒ達は、土下座をし始めた。どうしたら、良いのか?俺は、大や、史華ちゃん、凛花ちゃんの方を振り返る。と、



 柿本が、進み出てハンメリヒに聞き始めた。


「で、勇者って誰なんだ?」


 そう言えば、誰が勇者かって聞いていなかったな。あまり、興味はないけど。



 すると、ハンメリヒは我が意を得たりって言う感じで、話始めた。



「我が国にもおりますけど、一般の人間達より身体能力が高い、騎士、戦士という存在や、神に使え、そしてその力を操る神官や、魔法を使う魔術師などの職業があります。勇者も、そのうちの一つなのですが。」


 と、懐から一枚のやや大きめな金属板を取り出す。大きさはちょうどiPadぐらいだ。



「これが、その職業を判明させてくれます。悪意のあるものに悪用されないように、自分しか、職業を見ることができません。」



 そして、もう一枚今度は、小さなめの金属板と、ペンを取り出す。



「これは、冒険者カードと呼ばれる物です。本来は、冒険者ギルドで、登録するのですが、皆様は特別なので、ここで登録して頂きます。先ほどの魔具で、判明した、職業、名前、そして指紋と、性別、年齢を正しく、この魔具のペンで書くと、本来だと、冒険者ギルドに預けてある、お金を使うことができます。今回、皆様の使えるお金の上限はありませんけど、豪遊し続けるのはやめてくださいね。それと、どういう仕組みかわかりませんけど、間違った情報を書くと、使えませんので、注意してください。」



 便利だな。パスモとかSuicaみたいだよな。見た目も大きさも。




「では、皆様順番によろしくお願いいたします。」

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