表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/20

第4話 「猫の部屋」で相談。

「大~、今日も、猫いかない?」


「いいぜ。じゃ、凛花ちゃん、史華ちゃんも誘うか?」


「いや、今日は二人でお願いします。大に相談したい事あって。」


「わかった。じゃ後でな。」





 部活後、話かけてきた史華ちゃんに、涙目で話す。


「今日は、大にちょっと、相談あって、二人で、猫に行くけど、いい?」


「岳先輩、大丈夫ですか?。もちろんいいに決まってるじゃないですか。楽しんできてください。でもLINEくださいね。」


 と言って帰って行った。自分には勿体ない、良い子だな~。







 二人店に向かうと、この前と同じ常連さん二人と、真面目そうな、若い会社員さんがいる。



「マスター、生ちょうだい。」


「あっ、俺も。」




 ジョッキに注がれた、生ビールが出てくる。


「乾杯❗」



 生ビールを、喉に流し込む。ごくっ、ごくっ、ごくっ。ふー。落ち着いた。


「もう一杯、お願いします。」


「はいよ。」




 マスターが、サーバーから、生ビールをジョッキについで、自分の前に置く。


「で、岳、相談って?」


 一息ついた


「俺、史華ちゃんに告白されたんだ。付き合ってくださいって。そして、承諾しました。」


「おっ、良かったじゃん、おめでとう。」


「そう、それは良いんだよ、良いんだけど、付き合うってなにすれば良いんだ?」


「えっ?」


「あれか、毎週会った方がいいのか?。LINEは、毎日入れた方がいいのか?。毎日一緒に帰るのか?。」


「落ち着けって。」


「ああ、そうですよ。年齢と彼女いないれきが一緒ですよ。そうです。俺、バリバリの童貞です❗。目指すは、魔法使いに、賢者です。」



 若い会社員さんが、吹き出す。大は、ちょっと声を張り上げ。


「落ち着け❗。」



 はい、すみません。取り乱しました。




 ちょっと大人なマスターが、少し笑いながら聞いていたが。そうだ、マスターは、綺麗な奥さん居て、お子さんも二人いるそうだ。




「自然に成り行きで、付き合って行けば良いんじゃないかな。付き合い方は人それぞれ。」



 マスターが、アドバイスしてくれる。なるほど。


「そうだぜ、岳。しかし、付き合ったことないって意外だったな。」


「そうだよね、あの馬鹿でも彼女いたことあるのに。」


「マスター、人権侵害だよ、今の発言。ほら、三寸の虫にもゴミの光だっけ?ていうじゃん。」


「それを言うなら、一寸の虫にも五分の魂だ。馬鹿。それに、意味不明だぞ。」


「マスター、一寸って言うのはね、3.03cmだよ。」



 常連さんも加わって、話はどんどんわけのわからない方へ。そう言えば、建築関係の常連さんは、かみやさんと言うらしい。もう一人はたくさん。マスターが、そう呼んでいる。





 すると、かみやさんが、話始める。


「そうか、意外だったな~。結構もてそうだけど、俺なんて、ちっこい体で、大きな目がクリッとして、大人気だったんだぞ。始めては、な~。」


「はい、はい。」



 かみやさんが、ふてくされて、スマホをいじり始める。




「大って、始めて女性と付き合ったのっていつ?」


「うーん、高校3年かな。同級生の女の子、綺麗な子だったから、友達連れてさ~。」



 うん?友達連れて?囲んで。



 自分は、少し扉を開けて、声を出す。


「お巡りさーん、ここに犯罪者がいます❗。」



 店の近所には、交番があるのだ。まあ、聞こえるわけないけど。


「おい、やめろよ、犯罪はしてないよ。」


「じゃ、どうしたんだ?」


「や、友達連れて一緒についてもらって、告白したんだ。」



 頭に、映像が浮かぶ、ヤンキーが、集団で女の子を囲む。完全に断れない状態じゃないですか。


「お巡りさーん。」


「おい❗。何でだよ?」


「想像してみろ。ヤンキーが集団で、女の子を囲む。そして、付き合ってください。って言われる。断ったらどうなる?」


「えっ?落ち込む。」


「馬鹿だな~。どんな目に合わされるか、想像できるだろ?。リンチされるか、犯されるか。」



 かみやさんが、正解を言い当てる。


「えっ、えっ。俺そんなことしないですよ。」


「お前はしないかもしれないけど、女の子にとっては、そうなの。」



 そうです、そのとおりです。かわいそうな、同級生さん。


「で、その後は、どうなったんだ?」


「2回デートして、そしたら、その子、土下座しながら、別れてくださいって。」



 笑いが巻き起こる。いや、面白いな、大は。





「で、その後の女性関係は?。」


「女性関係って、そっりゃそこそこあるけど、あまり長続きしないんだよね。大学入ってからも、何人か付き合ったし。」


「大学の女の子と?」


「いや、同じ大学の女の子だと、別れた後、面倒くさいから、大学外だな。飲み屋で、声かけたり、歩いている女の子に声かけたり。」


「ようするに、ナンパだ。俺もさ~。」


「で、どうなったんだ?」


 また、かみやさんがふて腐れる。



「あまり長続きしないんだよね。一回なんて、その女性としてたら、ヤクザの女で、慌てて逃げたことあるぜ。」



 何をしてたんだ?そして、なぜヤクザが?


「ヤクザは駄目だよ。」



 かみやさんが、しみじみ語る。何があったんだろう。今度はちゃんと聞いてあげよう。



「でも、今度は長続きさせるぜ。俺は本気だ❗。凛花ちゃんひとすじ。」



 えっ?ふられたんじゃないの?しつこい男は、嫌われるぞ。


「凛花ちゃんって、大、ふられたんじゃないのか?。」




「ご馳走様です。すみません、お会計して貰って良いですか?。」


「おい、何で、このタイミングだよ。」



 会社員さんが、帰ろうとして立ち上がり、たくさんが、突っ込み入れる。


「ははは、えっと、1800円ね。」


「ご馳走様でした。」





 若い会社員さんが帰ると、入れ替わりに、たくさんの友達が3人入ってきた。たくさん達が、奥のテーブルに移動する。





「で、凛花ちゃんって?。」


「ああ、そう俺たちも付き合っているんだ。」



 ええ~❗いつからですか?先週金曜日には、そんな気配なかったですけど。


「いつから?。」


「ええと、春合宿だから、3ヶ月位前かな?。」



 えっ❗。あれ?。全然知らなかった。


「だって、この前の金曜日、全然そんな気配なかったじゃないか?。」


「はあ~。本当に、お前は、そういうところ、本当に鈍感なのな。この前の飲み会も、史華ちゃんが、凛花ちゃんに頼んでセッティングしたんだぞ。」



 えっ❗ええ~❗。


「わからなかった。えっ、なんで?。」


「だから、鈍感なお前に史華ちゃんが、自分なりにいろいろアピールしたけど、なんの反応もなし。困り果てた、史華ちゃんが、凛花ちゃんに相談したと。」



 ふんふん。で?。



「あっ、もしかして、史華ちゃんの話信じてる?。」



 えっ❗えっ❗。もしかして、史華ちゃんの告白がどっきり?


「な、な、何がですか?。」


「ん?どうした?。まあいいや。俺が言ったって言うなよ。史華ちゃんに、知らないふりしろよ。」



 自分ちょっと涙目になってるんじゃないか?。


「ああ。」


「なんで、涙目になってるんだ?。まあ、いいや。史華ちゃんが言っていただろ、友達がいけなくなったんで、映画一緒行きましょって。」


「ああ、本当にラッキーだよな。」


「ぶふっー。」



 大が吹き出す。一緒に聞いていたマスター、かみやさんも笑う。


「はっはは。うんなことあるわけないじゃん。あれか、岳君は今、流行りの草食系か?。」


「いや、かみやさん。草食系って今言わないですよ。だけど、若いやつらの中でも特殊ですね。たくは別にして。」


「ちょ、ちょ、ちょ。なんで俺別にして、何ですか?。」



 たくさん、話、聞いていたようだ。




「岳、あのな。史華ちゃんが一生懸命お前をデート誘おうと思って、考えたんだぞ。」



 そっちか~。良かった。


「そうなんだ。良かった~。」


「ん?何が良かったんだ?。」


「や、史華ちゃんの告白がどっきりかと。」



 すると、大は少し怒ったように、真剣な顔になり。


「あれだぞ。真剣に考えて返事したんだろうな?。由依ちゃんの問題もあるし。」


「ここでなんで、由依の名前が出てくんだ?。」



 すると、大は、かなり大袈裟に驚いた顔をして、少し考えて。


「今のは、忘れてくれ。そして、ちゃんと考えて、返事したのか?。」


「ああ、言われた時は、わけがわからなかったけど、今は、ちゃんと考えているよ。」


「ならいい。本当に良い子だからな。良かったな、岳。」


「ありがとう。で、最初の話に戻るけど。」


「わかった、わかった。今度Wデートでもして、アドバイスするよ。まあ、LINEとか、メールは、史華ちゃんのペースに合わせて、ちゃんと返事返せよ。で、史華ちゃんの気持ちも考えつつ、自分のペースで、付き合えよ。」



 なるほど。


「ありがとう、大。やっぱり、いいやつだな。」



 と言って、抱きつく。


「おい、やめろ、気持ち悪い。もしかして、お前、男が好きなのか?。」


「いや、女性が好きです。」



「猫の部屋」に笑い声が響く。今日も気持ちよく飲ませて頂きました❗。






 そうか、自分のペースで、ちゃんと付き合っていこう。不安が取り除かれ、気持ち良く酔っている。



 大と別れ家路を急ぐ。そうだ、史華ちゃんにLINE入れよう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ