第20話 立ち上がれガク❗。
「やめろ❗。やめてくれ❗。」
俺の目の前で、ダイが、フミカちゃんが、ユイガ、リンカちゃんが、ショウタが必死に戦っている。俺は、必死に叫び、手を伸ばす。霧のようなものが徐々に濃くなり、視界を妨げる。
俺は必死に手を伸ばす。すると、何か柔らかい物に触れる。なんだこれ?。むにゅ。凄く柔らかい、そして暖かい。良い触り心地だ。モミモミモミ。遠くで、声がする。なんだ?
「あっ♥️。やめて。ガク先輩。あっ♥️。」
ん?。何言っているんだ?。モミモミモミ。
「いい加減にしろ❗。」
「イテッ❗。」
俺は目を開けた。ユイが竹刀を持っている。まわりには、ダイが、ショウタが、リンカちゃんが、そして、真っ赤になって、ちょっと目をうるまさせてフミカちゃんがいる。そして、俺の手が、フミカちゃんの巨乳を握りしめている。えっ❗。
「ごめん❗。フミカちゃん。」
「いえ、大丈夫です。気持ち良かったです。」
「えっ?。」
「主殿。やるの。」
ノノも顔を出す。
「本当に心配したぞ、ガク。傷はフミカちゃんが、すぐに治したけど、4日間も起きないから。」
「俺、そんなに寝てたんだ。心配かけたなみんな。そう言えば、どうなったんだ。あの後。」
「どうもなってないよ。俺達は。」
ゲートで、[魔王の迷宮]から脱出した後。地上で待機していた兵士さんに、手を借りて重症だった、俺、ヒサトを運び。宮廷神官さん達にも手伝ってもらいながら、宮殿で治療を施したんだそうだ。
ナオミちゃんは、運良く軽症で、ヒサトの様子を見に行っているそうだ。
まあ、ダイ達から詳しい話を聞いた宮廷は、上に下にの大騒ぎだったらしいが、大魔王の進攻が4日ないことから、少しずつ落ち着きを取り戻しているそうだ。しかし、
「大魔王シロウか~。」
「シロウ君が、大魔王か。イメージできないな。」
「フミカちゃん、同級生だったもんね。」
「うん、だけど、あんまり話さなかったし。」
「そうなんだ。そう言えば、ハインリヒさん達は?。」
「まだ、戻ってないぞ。地道に歩いているから、時間かかるんだと思うぞ。」
「そうだな。だけど、俺、[魔王の迷宮]もう一度行ってくる。ハインリヒさん、心配だし、タケシ達のこと、ちゃんと確認してくるよ。」
すると、ダイが、少し躊躇しながら話す。
「そうか、俺も行く。一緒に行っていいか?。」
「ああ。というか俺に許可とる必要ないだろ。もし来てくれるんなら心強い。」
「いや、邪魔になるかなって、わかった、よろしく❗。」
「わたしも行きます❗。治療必要な人いるかもしれませんし。」
フミカちゃんが、目に強い光を宿してこちらを見ている。
「わかったよ。一緒に行こう。」
「はい。」
「わたしも行きます。ダイ先輩の面倒みないといけないので。」
「えっ?。どういうこと。」
「ダイ、気にするな。リンカちゃん、よろしく。」
「わたしは、無理だな。ヒサト君、ナオミちゃんとここにいる。」
「わかった、ユイ。二人の護衛よろしくな。」
「うん。」
「俺は行きます。荷物持ち必要ですよね。タケシ先輩の遺体とか?。」
「いや、ありがとう。」
この男のメンタル凄いな、尊敬するよ。ショウタ。
俺達は、許可をもらい、[魔王の迷宮]に向かった。兵士が、周囲を取り囲み警備している。実際魔王があらわれたら、ものの役にはたたないと思うけど。
俺は、最後に脱出した時のゲートを探す。あった。
「みんな、覚悟はいいか?。」
「おう。」
「はい。」
それぞれの返事を聞くと。俺達はゲートを開くと一気に、洞窟の中に戻る。光の聖霊を召喚して、飛ばす。
血液はすでに固まり黒ずんでいる。そして、そこには、虚空を見つめているような、タケシの首が置かれ、胴体がすぐそばにあった。俺達は、手を合わせると、周囲も探す。
カヅキとゴウシは、顔が恐怖に歪んでいる。肩から、大きく体が避けている。
アユミちゃんは、四肢を切り離され転がっていた。苦痛の中死んでいったのであろう。その顔も歪んでいる。俺達の怒りは大きくなった。なぜだ、シロウ❗。
他も探したけど、何もなかった。レイカ先輩は、連れ去られたのだろう。生きているだけましか?。どうだろう?。
俺達は、遺体を回収し箱におさめる。そして、皆で担ぎ上げ、ゲートを開くと地上に戻る。馬車に乗せると、ショウタが、
「俺が持って行くので、先輩達は、ハインリヒさん、探してください。」
と言って、数人の兵士と共に帰っていった。
さてと、ハインリヒさんどの辺りにいるかな?。戻ってこない俺達を待って、1日、2日?。そこから上がってきて、ボス戦は無いようだから、結構上まで来ているかな?。
今度は入り口から普通に入って行く。そして、5階層に到達したところで、夜になり、食事して睡眠とると、翌日さらに下に向かう。
12階層で、向こうから明かりが近づいて来るのが見えた。
「ハインリヒさん❗。」
「その声はガクか❗。良かった生きていたのか。」
俺達は、その場でキャンプを開始し、ハインリヒさんと話すことにした。ゲートで一瞬で戻れるけど、話しておきたいことあるからね。
俺達は、魔王との戦いから、今までの経緯を、ハインリヒさんに話した。
「そうか。勇者タケシは死んだか。そして、大魔王シロウか。笑えないな。シロウ、確かに途中から、なんか気持ち悪かったからな。そして、お前達が生き残って本当に良かった。」
「気持ち悪かったんですか?。シロウ。」
「ああ、練習している時は違うが、その、たまに見かけた時に、女性を見る目が異常というか、ざらっとするというか。」
俺は、ダイと練習の時に感じた不快な視線を思い出す。あれシロウだったのかな?。
「で、お前達これからどうするんだ?。」
「えっ❗。これから?。」
「俺としては、ここにいて、一緒に働いたりして欲しいが。」
「俺は、東に行って、召喚魔術の研究機関で、皆を送り返す方法を研究して、シロウ含めて送り返します。」
「ハハハ、ガクらしい欲張りな考えだ。」
「と言うことは、皆は?。」
「わたしは、ずーっとついていきます。」
「俺は、ガクと旅したい。というか、シロウのこと、ぶん殴りたい❗。」
「わたしは、女の子助けたいです❗。」
フミカちゃん、ダイ、リンカちゃん、が口々に言う。まあ、帰る方法今のところないし、仕方ないかな?。そう言えば、お留守番組はどうするんだ?。
翌朝、ゲートを開き地上に戻る。兵士達が、ハインリヒさんの元に集まってくる、人気ですね。
宮殿に戻ると、タケシ達の葬儀の準備が整い葬儀が始まった。いつの間に用意したのか、タケシの像が飾られている。ほぼ等身大だ。
碑文には、異世界より我らを救いし、偉大なる勇者ここに眠るとあった。
そして、夜、食事をしていると、ダイが、
「昼間話したんだけど、俺らは、シロウぶん殴りに行くんだけど、皆はどうする?。」
すると、ショウタは、
「もちろん、ついて行きますよ。面白そうですからね。」
「わたしは、ユミちゃん達、助けたい。」
とユイが言えば、ヒサトは、
「もちろん行きます。ハクトの馬鹿を連れ戻します。」
後はナオミちゃんだが、
「えっ、わたし。みんな行くんだったら行きますよ。」
こうして、新チーム8人による。冒険が始まることになった。
「で、シロウ君、どこにいるかわかるの?。」
ユイが聞いてくる。実はわかるんだよ、それが、俺は、一枚の紙を広げ皆の前に置く。
「これは、俺の服のポケットに入っていたみたいなんだけど、これこの世界の地図だと思うんだ。」
地図には、6ヵ所×印がついている。そう、たぶんカインが俺達を誘い出す為にポケットに入れたんだろうけど。
「この×印のどこかにシロウ達がいるってこと?。」
「そう、そしてどこかはわからない。」
「うーん。とりあえず、近くから行くしかないのかな?」
「そうだな。後、東の方に比較的まとまっているから、若干良かったかな。」
「そうか?。」
目的地は、とりあえず決まった。出発は準備して2週間後とした。さあ、準備しよう。
そんなある日、俺は、リーダーということで一人だけ呼び出しを受けた。国としては、危機が去ったし、あまり関わりたくないのだろう。そして、部屋に、ハンメリヒさんは、かなりばつが悪そうに入ってきた。
「ハインリヒから、聞いたのだが、旅立ちたいとの事だったな。」
「はい。」
「うむ、召喚のこと、知らなかったとは言え、迷惑をかけた。国を代表して謝らせてもらう。すまなかった。」
「いえ、それは。」
「で、魔王討伐のお礼だが、一人に一億ドルハムずつお渡ししようと思う。いかがかな?。」
一億ドルハム?。えーと、自分の冒険者カードフリーになってたから、意識してなかったけど、確か屋台で買った串焼きが、4ドルハムだったかな?。そして、ステーキ屋では、30ドルハム払ったような。えっ、えっ。一億ドルハムって結構な金額なような。
「ありがとうございます。しかし、金額多いような。」
「いや、これは今さらだが、我が国の為に、元の世界での生活を失わせた贖罪でもあるのだ。我が国は、金持ちだしな。」
「では、ありがたく。」
「勇者タケシ、アユミ、ゴウシ、カヅキはこちらで手厚く埋葬させてもらった。」
「ありがとうございました。ですが、勇者の像と勇者の墓。かなり観光名所になってましたね。」
「そ、そうか。うん、皆勇者の死を哀しんでおるのだ、そうだ、そうに違いない。」
まあ、いいか。賑やかな方が寂しくなくて良いかな?。
「さてと、行くか。リーダー出発の前に号令を❗。」
「おう。じゃあ、俺達の冒険はまだ始まったばかりだ❗。」
「おい❗。その打ち切りの漫画みたいな掛け声やめろ❗。」
「えー。じゃあ、これから始まるダイの大冒険。」
「だから止めろって❗。」
「じゃあ、出発しまーす。」
「おい❗。」
(第一部完。)




