第3話 屋上の出会い
暇だ
暇すぎる
スマホでも持っていると少しは違うんだがな...
この頃の小学生がスマホを持っているかは覚えてないが何もせずベットに横になるのはつらいものがある。
うちはその辺に厳しく、携帯ゲーム機などは自分の小遣いと誕生日やクリスマスなどで買うことは許されたがスマホは別だった。どうやら詐欺やウイルスなどを心配していたらしく、俺たちが、スマホを持つのは高校からだった。この時期だと空翔は中学1・2年だろう。まだまだ先だな。
そんな家庭だ、小学生になど買い与えられることはまずない。
せいぜい共用パソコンがつかえるぐらいだ。もちろん病院でパソコンなど使えるはずもなく、持ってこれもしない。ようするに暇を潰せるものが無い。
なので、俺は病院を探索することにした。
いい歳した大人が何をしてるかと思うが暇なんだ。
それに今は子供の姿だ。楽しもう。
安静にと言われているから看護師達に見つからないように歩き始めた。
ある程度探索して分かったことがある。
つまらない。
そりゃそうだ。ただの病院なんだから。
諦めて病室に戻ろうと思ったらある階段が目に止まった。屋上に続く階段だろう。立ち入り禁止の紙が貼ってある。
いつもならスルーするものだが俺は気になって階段を登った。
まぁ、こういう所は鍵が掛かってるのがオチだと思いドアノブに手を掛けたが、
ガチャ...
.........開いた。
これは、警備の問題として大丈夫なのだろうかと思ったがせっかくなので屋上に出ることにした。
「おー」
夕日が綺麗だ。病院で見るとまたいつもと違った幻想的な風景。太陽が沈んでいき少し肌寒く感じるが、俺はしばらく夕日を見ることにした。
...
.......
................
「へ、ヘクシュッッ」
ううっ、何だか寒いな。
目を開けると辺りは薄暗く明らかに多くの時間が過ぎていることを理解した。
飛び上がると肩にかけられていたのか、真っ白なシーツがずれ落ちてきた。
「やっと起きた?」
声をかけられた気がした。
が、屋上を見渡しても声の主は居ない。
「何処だ?」
「ここだよココ」
俺は注意深く辺りを見回す。
...全くわからないんだが…
「上だようえ」
上?と思い俺は見上げた。
貯水タンクがならべてある高台に少女は座っていた。今の俺より少し上か同じくらいだろうか、月明かりに照らされ不思議な雰囲気の少女は笑ってこちらを見おろしていた。
整った顔立ちで世にゆう美少女という部類だろう。俺はロリコンでは無いからな!取りあえず弁明しておこう。
「ふふっ気づくの遅い」
「君が掛けてくれたのか」
「ここは夜になると寒いんだ、風邪ひいちゃう。
ほうっておくのは、後味が悪い」
間延びした話し方の少女がどうやらシーツをかけてくれたらしい。。
「ありがとう、いつの間にか寝てたみたいだ」
「本当だよ、突然来たと思えば寝出すんだから」
俺は驚きと同時に恥ずかしくなった。
「い、いたのか」
「初めから居たさ」
もう夜も暮れた。こんな時間になってしまったが。早く帰らないと確実に怒られるな...
俺は礼とそろそろ帰る趣旨を伝えようとしたときだった。
「ねぇ君もおいでよ。一緒に見よう」
少女は、こちらに目もくれず星を眺めていた。
「あ、えっと俺は」
「もうこんなに暗いんだ、だったら少しぐらい変わらないさ」
よ、よまれてる。
「そ・れ・に、僕が使おうと思ってたのに貸してあげたんだ。報酬をちょうだい?」
うむ、そう言われると断れないな。
「でも、どうやって登ればいいんだ?というか、どうやって登ったんだ」
「君から見て右側に回ったらハシゴがあるんだ。そこから来て」
そう言うと少女は引っ込んだ。
はぁ、仕方が無いか。
俺は言われた通り右側に回り込みハシゴを見つけた。