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ゲームが上手なやつは遊びに誘われやすい(1)

「……ねーねーホムさん。そろそろ2人目の依頼人来ても良くないっすかー?」

「まぁ慌てるな。1つ依頼を達成したんだ。きっと話題になってるはずだ」


 リーノの依頼を達成してからはや3日。この便利屋を訪ねてくる人は現れない。しかしあの悪ガキを懲らしめたんだ。きっと話題にはなってるだろう。多分。


 ちなみに3日の間何をしていたかと言うと、異世界産のテーブルゲームを片桐とやっていた。


 オセロはもちろん、チェスや将棋っぽいもの、トランプやボードゲーム的な物も合った。奥が深くてそれはそれはもうめり込んでハマってしまった。


「それもそっすか! じゃあ……次はすごろくでもやりましょうか!」

「すごろく? そんな子供じみたゲームはやらないぞ?」

「違うっすよホムさんー。これは近々大会も開催される超実力ゲームなんすよー」

「そうなのか? まぁやるだけやってみ──」


 と会話してたその時、コンコンとノックの音が聞こえてきた。片桐の方を向くとまたニヤニヤしている。


「あの……ここが便利屋ホームズさんで合ってますか?」


 そんな声が外から聞こえてくる。俺はアイコンタクトで片桐に促す。片桐はぺたぺたと歩いていって、ドアの前まで行く。


「合ってるっす! ささ、どうぞ入って!」

「し、失礼します……」


 そう言って片桐は扉を開けて、依頼人を入れた。そこに居たのは、茶髪でメガネをかけた10代後半くらいの気の弱そうな少年だった。



「ささ、座るっす!」

「あ、ありがとうございます」


 そして片桐はこちらを向いて、目をパチパチさせてくる。……ああ、こっから俺がやれってことか?


 では前回同様、依頼の内容を聞いてみることにした。


「えぇーお名前をどうぞ」

「僕はエミリオ。エミリオ・アールです」

「エミリオさんはどのような依頼で来たのですか?」

「あの……絶対馬鹿にしませんか?」

「ええ。もちろん」


 と、渾身の笑顔を見せる。どうだこれが営業スマイルだ。


 するとエミリオは顔を赤くして、とても小さな声でこう言った。


「……僕を人気者にして欲しいんです」


 人気者……人気者?


「それってどういう……」

「あ、すみません……最初から説明しますね」


 そう言うとエミリオはゆっくりと小さな声で話し始めた。


 ───


 実は……僕には幼い兄弟が居るんです。弟が。僕の両親はもう既に亡くなっているので実質僕が親みたいなものなんです。


 ある日、その弟が僕に尋ねてきたんです。「お兄ちゃん、友だちいるの?」って。


 僕は友達なんかいないんです。そもそも友達と遊んだりすることより弟を養っていくことの方が絶対大事なので。


 でも僕は弟に心配されたくなくて、「友達? すげーいっぱいいるよ!もうやべーほど!! すげー冒険家も魔法使いも!!」って言っちゃったんですよ。


 そしたら会いたいだの会わせてくれだの言ってくるんですよ。もう困って……嘘でしたーなんて言えないんですよ……


 ───


「……うん。話を盛りすぎた君が悪いよね」

「やっぱりそうですよね……ごめんなさい……帰ります……」

「いやいや待つっす! 何凹ませてるんっすかホムさん!!」


 だって実際そうじゃん……


「……で人気者か。確かに人気者になりゃあ大抵の人は集められるよな」

「そうなんです。でも方法が全然思いつかなくて……」


 ふーむ。これは困ったな。手っ取り早く人気者になるなんて……


 と、頭を悩ませたその時この遊びまくっていた3日間の出来事が浮かんできた。……あ、これだ!


「思いついたぜ人気者になる方法が!!」

「おお、それはなんっすか! ホムさん!」


「すごろく大会だ!」

「「え?」」


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