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ゲームが上手なやつは遊びに誘われやすい(3)

「なんだここは……」


 意識を失って、謎の空間にやって来た。何とも言えない真っ白な空間に、正方形のすごろくのマスがいくつも並んでいる。そして片桐とエミリオの姿があった。


「来るの遅いっすホムさん。始めるっすよ」

「待て待て。なんだここは?」


 片桐にこの場所を尋ねる。まぁ予想はついてるが……


「え? ここがすごろくのボードですよ? この世界のすごろくはプレイヤーが入り込むんっす」


 発達してんなぁ。流石異世界産のゲームだ。


「そういえばエミリオはプレイした事あるのか?」

「はい、あります。ほんの数回だけですけど……弱いんですよ」


 と謙遜してくる。ん? すごろくで弱いって使う……?


「まぁホムさん最初なのでルールを説明しますね」

「サイコロ振って一番にゴールすれば勝ちだろ?」


 すごろくのルールくらいなら俺でも分かるぞ。


「甘いっすね、それじゃただのすごろくっす。このゲームの勝利条件とは……最後まで生き残ることっす!」

「は?」


 もうそれすごろくじゃないだろ。サバイバルゲームだよ。つーか生き残るってなんだ。ツッコミ所が多すぎる。


「マスに武器が落ちてるんす。棒とかピストルとかマシンガンとか。それらを集めて……」

「集めて……?」

「バーン♡」


 片桐は指を拳銃の形にして言った。


「マジのデスゲームじゃねーか!!」

「そこは心配ないっす。死んだらゲームを始めた場所にちゃんと戻るっす」


 良かった……まぁそうじゃなきゃ流行らないもんな。


「後はの細かいルールはー相手のターン中はマスの中から出てはいけない、サイコロを振ったら30秒以内に出した目の数の分進むとかっすかね。やったら慣れるっすよ」

「お、おう……」


 細かいルールもあんのね。覚えられんわ。


「まぁ武器でボコって生き残れば勝ちっす。簡単っすね!」

「なんて野蛮なゲームなんだ」

「四の五の言ってないで始めるっすよ」


 そう言って片桐は、落ちている大きなサイコロを俺とエミリオに渡した。


 ────



「順番決めるのでサイコロ振ってください。数の大きい人から始められるっす」


 俺は言われた通りにサイコロを振った。同じように二人とも振り出した。


 俺の出た目は6。最大値だ。二人の方を見ると、片桐は3、エミリオは1を出していた。


「俺からだな。始めていいか?」

「いいっすよ」


 サイコロを振る。目は2。俺は一歩二歩進んで止まった。……ふと足元を見ると何か光っている。なんだ?


「ホムさん! 多分それレアもんっす! 掘ってください!」


 片桐がスタート地点から叫んでくる。ほ、掘る……?


 言われた通り地面を掘ろうとしてみるが、掘ることはできない。なぜならどう見ても掘れるような柔らかい地面ではないからだ。


「いや掘れるかぁ!」

「違うっす! 地面を叩くっす!」


 叩く……? 俺はペちペちと地面を叩いてみた。すると勢いよく1メートル程の剣が飛び出してきた。


「うわぁああ!!! 危なっ!!!」

「凄い……あれはレア度5のクリーの剣……!」

「アハハ! なんて声出してるんすかー!」


 なんか二人が言ってるが、俺は飛び出してきた剣に驚いていた。もう少し近くから飛び出してきたら俺の体は……ブスりと貫かれていた。


「こ、これが武器かよ」


 俺は剣を手に取り構えてみる。意外にも竹刀程の重さで扱いやすかった。


  「次はボクっすねー。それっ」


 出た目は2。スタスタと歩いてきて、俺のマスへとやって来た。


「ホムさん……二人っきりっすね♡」

「ねぇこれお前を攻撃していいの?」


 同じマスに二人。マスはそこそこ広いが、攻撃を避けるようなスペースはほとんどない。つまり同じマスにいるのなら、攻撃しようと思えばいくらでも出来るのだ。


「そんな……ひどいっす!」

「いや……そういうゲームなんでしょ?」


 試しに一発剣を振ってみる。それが片桐の体に当たって血が吹き出してきた。


「ぎゃぁぁああ!!!」

「何でホムさんが叫んでるんすか……エフェクトっすよこれ。ゲームですし。ボクは全く痛みを感じてませんよ」

「あ、そーなの……」


 あまりにリアルだったため、思わず叫んでしまった。


「えぇっと……次は僕ですね」


 俺らがわちゃわちゃしている間に、エミリオはサイコロを振っていた。目は4。エミリオは進んでいって俺のマスに来てさらに進んでいこうとしている所だった。


「なぁ、クローバー」

「はいっす」

「これ相手のターンでもこのマスの中なら動いていいんだよな?」

「はいっす」

「これエミリオがこのマスを渡ろうとしている時に攻撃してもいいんだよな?」

「はいっす」


 試しに一発剣を振ってみる。


「ぎゃああああ!!!」

「え!? 痛くないんだよね!?」


 エミリオは腕を押さえて倒れた。


「痛くないんですけど……僕……血……駄目」


 そう言ってエミリオは動かなくなった。


「え、えぇ……」

「あ、30秒経過しました。失格っすね」


 するとエミリオの体がどんどん透明になっていき、消滅した。


「弱いってこういう事かよ……」

「エフェクトoffは出来ないっすからね」


 もうエミリオ駄目だろこのゲーム。


「次はホムさんっすよ?」

「え? 続けんの……?」


 俺はサイコロを拾う……と見せかけて剣を拾い、片桐に突き刺してみた。


「はいドーン!!!!」

「ぇぇええええええええええ!?」


 すると片桐の体も透明になっていき、消滅した。


 するとどこからともなく機械の声が聞こえてきた。


「オメデトウゴザイマス、アナタのショウリデス」


 ……うん。








「クソゲー!!!!」

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