娘と槌と月の残骸
私は一般的な娘ではなかったのだと思う。
他の子たちが野原で花と戯れる中、私はかまどで火花と戯れていた。
煌めく宝石には見向きもせず、揺らめく炎に魅入られていた。
皆が魔術師の杖を振るう中、私は鍛冶師の槌を振るっていた。
布を織ること無く、剣を鍛えつづけた。
ただひたすらに父の背を追い、いつかその名を継ぐと信じて疑わなかった。
しかし、ある日気づいてしまったのだ。
今揃えられる最善の素材で、自分の最良のコンディションで、籠められる最大の魔力で、鍛えられる最高の魔剣を作り上げたその日に。
ああ、私は父を超えることが出来ないと
だから、これは拗ねた私の我が儘だ、ただの八つ当たりで、ちょっとした嫌がらせで、僅かな希望に縋った悪あがきだ。
そしてあえて言うなら家出のだしでしかないのだが、とりあえず母の痕跡を追ってみようと思う。
他の子たちが野原で花と戯れる中、私はかまどで火花と戯れていた。
煌めく宝石には見向きもせず、揺らめく炎に魅入られていた。
皆が魔術師の杖を振るう中、私は鍛冶師の槌を振るっていた。
布を織ること無く、剣を鍛えつづけた。
ただひたすらに父の背を追い、いつかその名を継ぐと信じて疑わなかった。
しかし、ある日気づいてしまったのだ。
今揃えられる最善の素材で、自分の最良のコンディションで、籠められる最大の魔力で、鍛えられる最高の魔剣を作り上げたその日に。
ああ、私は父を超えることが出来ないと
だから、これは拗ねた私の我が儘だ、ただの八つ当たりで、ちょっとした嫌がらせで、僅かな希望に縋った悪あがきだ。
そしてあえて言うなら家出のだしでしかないのだが、とりあえず母の痕跡を追ってみようと思う。
とりあえず月を追う者
2018/05/22 23:10