第3話 生徒会長②
「おはようございます、生徒会長の御社正義さんですよね?一年の春影涼星です」
時刻は午前7時を回ったところ。体育祭前で気合の入った掛け声が聞こえる。
「そういう君はディオ・ブラン-」
「違いますよ」
何気にお茶目で、通な正義に少し驚く。
「んぅ?君…いやなんでも無い」
正義の眼光が一瞬鋭くなる。涼星は心臓を掴まれたような緊張を感じた。
気を取り直し、ここに来た目的を達成しようとする。スッと右手を正義に差し出す。
「今後も、よろしくお願いいたします」
握手だ。単純にして最高の罠、社交辞令を使った涼星にだけできる不意打ち。
『こいつを操れれば生徒会長への道はグッと縮まる。利用してやる‼︎』
ドス黒い野心を右手に込める。
「こちらこそよろしく」
そうとは知らず握手に応じる正義。
『勝った!』
が、違和感に気付く。人の手の感触では無い。
『な?』
手袋だ。今は体育祭期間なのだ。三年生の学年種目はムカデ競争。その際に使うのだ。そんなこと知る由もない涼星は、人知れず作戦を失敗する。
「会長ォォ!ちょっと来てくださいぃ!」
ジャージ姿の女子、2年の本部役員澤村 雛子が正義に助けを求めに来た。
「わかった!行こう‼︎」
すぐさま振り向き、駆けていく。涼星も後を追い走る。
学校の裏門につく。教師が車で出入りする門だ。そこには、他中の不良らしい生徒が20人ほどいた。金属バットを殆んどが所持している集団だ。
「生徒会長の御社です。何かご用ですか?用がないならお帰りになられた方が宜しいかと思いますよ」
タバコを吸っているものもいる。そいつがタバコを校舎内に捨てて怒鳴りだす。
「オオイ!ここの頭貼ってる奴ぁ何処だ!出てこい!」
時代を間違えてないかと思うがそこには触れずに正義は口を開く。
「そのゴミを拾い、持ち帰って頂きます。あと、先ほど申し上げましたが生徒会長は私ですよ。」
「あぁ?優等生は黙ってろ、ブァァァァクァ!」
「ド低脳は黙って帰れ!命令しているんだ」
正義が態度を変える。
「調子に乗んなよ、お坊っちゃんがぁ!」
金属バットを振り上げる。ガウゥーーン、銃撃音と共に金属バットバットが吹っ飛ぶ。
「|【Guns of the King】《王の懐刀》…SAA…タバコを拾い、とっとと帰れ。」
その場が静まり返った。恐怖を勢いで押さえ込み不良どもが騒ぎだす。
「ウァォォォォ‼︎叩き潰せェ‼︎」