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FILE-4「無知の稲妻」

「なるほどな、それで逃げようと走って来たと……」


「そうだよ、悪いか?」


「いや、確かに死ぬかもしれない戦いなんてしたくない奴もいるからな」


「だろ!?それを……たったの4人で戦うだなんて……」


「4人?何の事だ?」


「……だから、4人だけで小鬼を討伐しないと行けないんだろ!?」


「……エリシアちょっとこっち来い」


ゲニアスは連斗を置いて隅っこの方にエリシアを呼ぶ。


「……4人?」


「え?いつも4人でしょ?」


「いつも4人だけど……最低4人だからな?流石に……4人だけで小鬼は狩れるけどよ?俺達の班しか出来ねぇよ……」


「……そうなんだ、忘れてたわ」


ゲニアスは連斗の方の前に立つ。


「はっはっは、エリシアの伝達ミスだ、小鬼程度でも最低4人で上限は無しだ」


「はっはっは、なるほど!小鬼程度でも……小鬼程度でも?上限なし?どういうこと?」


「だから、小鬼程度なら最低4人必要だが、それ以上の黒龍や雷虎が来たら最大人数で戦うだけって事だな」


「……黒龍や雷虎?」


「ま、黒龍や雷虎でも下級に入るがな」


「……ゲニアスさん、小鬼って下級?それともそれ以下?」


「ん?小鬼か?」


「うん」


ゲニアスは少し考えると、連斗に微笑む。


「小鬼は下級だな」


「あはははは、そっか……」


連斗はゲニアスに微笑み返すとゆっくりと反対方向を向く。


「エリシア、ちょっとトイレに行ってくる」


「えぇ、トイレは部屋を出て右にあるわよ?」


「おぅ、ありがとう」


(そして、さよならだ……)


連斗はスタスタと部屋から出ると、全力で左側に走って行く。


(ふざけんなよ!何が……ゴブリンでさえも4人以上で戦わないと行けないだよ!?それに黒龍って!?雷虎って!?なんか下級なのに国の総戦力をぶつけないといけないって……俺死ぬじゃん1年生き残れるかも不安だよ!とりあえず、早く彩音を見つけてすぐに異世界ここから逃げる方法を探さないと!)


「すみません……連斗君だったっけ?」


「……はい?」


連斗は走っている最中に髪の色はピンクで、髪の長さはショートの女性に呼び止められたので立ち止まる。


「あのね?……この城の廊下は……走るのは厳禁ですよ?」


「あ、そうなのか……って何で俺の名前知ってるんだ?」


「……え?だって連斗君と彩音ちゃんを1番最初に見つけたの私だから」


「……え、そうなの?」


「うん、私が最初2人を見た時に気絶している連斗君を、大事そうにだき抱えながら泣いてた彩音ちゃんが、いきなり私に向かって殴りかかって来たから……頭が冷えるまで牢屋にぶち込んでおこうって思ってたの」


「……はい?彩音が殴りかかって来た?それで牢屋にぶち込んだ?」


「うん、スッってかわして、シュパッっと気絶させたの」


「……うわぁお」


(総合格闘技の世界覇者の彩音が……一撃で倒されるとは……この人っていったいどれ位強いんだろう)


「あ、でも……連斗君まで廊下にぶち込んだ理由はね、彩音ちゃんが気絶しても連斗君の手だけは離さなかったから……」


「……いえ、無理矢理引っぺがしてでも彩音だけぶち込んどいてください」


「で、その後にエリシアさんに相談して君達2人の保護をお願いしたらすぐに良いと言うことで、2人を騎士見習いということで私の部下として保護をする事になってるの」


「は〜なるほ……部下?あなたの?」


「えぇ、あ……紹介忘れてたね、私の名前はリンネって言うの!よろしくね」


(この人が俺の上司?)


「エリシアは?ゲニアスは?」


「2人は私の上司で、エリシアさんは王国総騎士長で、ゲニアスさんは王国突撃騎士長なの」


「てっきりあの2人が俺の上司かと……」


「あ、そうよね、普通にそう思うよね、だって2人とも面倒見が良いから……私も入った時はあの2人が私の先輩かな〜って思ってたら1番偉い人だったから驚いちゃった」


「俺、エリシアさんとゲニアスさんに向かって呼び捨てにしてたんですけど……」


「えぇ!?あの2人を!?」


「……はい」


「あの、旋風の聖剣のエリシアさんと、漆黒の鎌のゲニアスさんを呼び捨てに!?」


「……はい」


「……後で、私と謝りに行こ?」


「……はい、ありがとうござ―」


(あれ?もう1度会わないと行けなくなるのでは?俺って逃げるって決めてたはず……)


「……あ、そう言えば俺トイレ向かってたんですよね」


「それじゃあ私もついて行くね」


「……はい?」


「だって連斗君この城の事……よく分かんないと思うから、案内を含めてついて行くね」


「いえ……結構です」


「……まさか、私が嫌いなのかな?」


「いえ、そういう訳では……」


「それじゃあ一緒に行こっか」


「はい、アリガトウゴザイマス、リンネさん」


「あっ、これからはリンネって呼んでも良いよ、堅苦しいのは苦手だからね、もしくはリンネお姉さんって呼んでも良いよ?」


「はい、アリガトウゴザイマス、リンネさ……リンネ」


「はい、よく出来ましたそれでは……まずはトイレに行くね」


「はい、アリガトウゴザイマス、リンネさ……リンネ」


リンネはすぐに連斗の手を握ると鼻歌交じりで、男性トイレまで連れて行く。


「それじゃあ私はここの前で待ってるから」


「はい、分かりました」


連斗はゆっくりとトイレの個室に入ると便座に腰掛ける。


「……逃げられねぇ」


(……とりあえず、俺の上司はリンネさ……リンネで良いとしてエリシアとゲニアスがここの騎士団で偉い人の2人?ヤベェ逃げられねぇ上に機嫌そこねてたら……考えたくねぇ)


「連斗君?どうしたの?かなり時間経つけど……?」


外の方からリンネの声が聞こえたので連斗はすぐにトイレから出ることにした。


「いやぁ……何分待たせました?」


「えっとね、1分ぐらい」


「……1分?」


「うん、1分」


「すみません、もう1度入って良いですか?」


「え?まだ、で―」


連斗は素早く個室の中に入り込んで便座に腰掛ける。


(さて、とりあえず、リンネに切りかかろうにもあの彩音《覇者》が気絶させられた相手だ……何分いや、何秒生きてられる?……あれ?これって詰んだ?リンネより上の2人がいたよね……エリシアとゲニアスだったよね。とりあえずエリシアは倒せそうだけど、ゲニアスには勝てねぇよ……絶対)


「……君?連斗?寝てる?そろそろ、3分経つよ?」


「はい?」


連斗は気がつくとリンネの声が扉の向こうから聞こえる。


「あ、もう少しかかりそうで……すみませんリンネ……どこに立っています?現在……」


「え?扉の向こうだけど?」


そう言うと、リンネは連斗の入っている個室をノックする。


「ここ、男子トイレですよ!?なんで入って来てるんですか!?」


「男性?大丈夫だよ?だって……騎士団に男性は10人しかいないから」


「……10人?」


「あ、連斗君もいれて10人ね」


「……出ます」


「うん?あ、外で待ってるね」


連斗はすぐにトイレから出ると、背伸びをする。


「さて、とりあえずエリシアを殴りに行きましょう、リンネ」


「駄目だよ!?連斗君!?嫌いな上司でもそんな事をしちゃ!?」


〜〜〜〜〜


「で、ここが私の部屋ね」


「すみません、俺の部屋の扉より小さくありません?むしろ2倍ぐらい横幅小さいですよ?」


「え?だって連斗君は……男の子でしょ?」


「はいそうですが?」


「だったら、可愛い女の子部屋に連れてきてチョメチョメするんでしょ?」


「すみません、リンネ語弊がかなりあるようですが?」


「大丈夫よ?私は連斗君の優しく教えてあげられそう……ふふっ」


(あ……この人、絶対にあっちの世界の人だ、絶対に関わっちゃ行けない人だ……性格を変態に曲げられる)


「それに……彩音ちゃんのおっ―」


「あ!次は彩音の部屋に行きましょう!案内してくれます!?リンネ」


「え?うん、こっちの方ね」


(ふぅ……危なかったそろそろ、あっちのネタ《下ネタ》に引きずり込まれそうだった)


「それにしても連斗君に渡される称号は何だろうね……私楽しみだなぁ」


「称号?そう言えばリンネも貰ってるんですか?称号を……」


「え……私?」


「はい、そうですよ?」


「え、えっとね……」


リンネは立ち止まると、モジモジし始める。


(しまった……称号なんて貰ってないのか!?人には言い難い称号だったのか!)


「あ、いえ、やっぱり聞きま―」


「稲妻」


「……はい?」


「私の称号は稲妻なの」


「どういうことです?モジモジする必要……あります?」


「う〜ん、可愛くないし、それに……まるで英雄と同じ称号を渡されたから人にあまり言いたくないの」


「英雄?」


「あ、連斗君はしらないよね、ごめんね?」


「どんな人なんです?その稲妻の称号を貰った……人って」


「美しいと言われてたけど、あまりにも強くて……誰もが恐怖したとされる女性の人なの」


「……あまりにも強いってどのくらいですか?」


「私達人間が何万何億の軍で襲っても勝てないとされるぐらいなの」


「それって人ですか?」


「うん、人って受け継がれてるよ?」


(なるほど……この人はその英雄の2代目って事だから彩音をも気絶させられたんだなぁ)


リンネは俯くとぼそっと何かをつぶやく。


「ん?何か言いました?」


「え?あ、ごめん!長話しすぎたね!それじゃあ案内に戻るね!」


リンネは連斗の前を歩いて先導するが、連斗にはリンネの背中を見ていると悲しい感じがした。

そして、背中に蜘蛛がついているがそれは見なかった事にした。

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