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ステータスオープン

 エルザが魔法を使おうとしたので僕は、そそくさと彼女の後ろに隠れる事に。

 見るとミルフィもエルザの後ろに下がっている。

 エルザとミルフィの距離を確認し、僕はその辺りにまでエルザと距離をとった。


 エルザが小さく何かを呟いている。

 小さな声では魔法の呪文は聞き取れない。

 けれど大きい声では何の魔法が使われているのか、相手には分かってしまう。


 だから自分には聞こえる範囲の声で呪文を唱えているのだ。

 同時にふわっと彼女の周りに円を描くように風が生まれていく。

 スカートが広がり一瞬、見えそうで見えないようなものが見えた気がしたけれどそれは僕の気のせいのようだった。


 やがて土埃が舞い、それだけではなく小さな小石すらも動き始めてそして、ふっと風が止んだ。


「“風の巨岩ウインド・シェラーグボルテン”」


 エルザの自身に満ちた声が響く。そして、 


「ぐわっ」

「ごっ」

「グエッ」


 まるで上空から何かが降ってきたかのように目の前の彼らは白目をむいて、僕達の方に倒れこみ、そのまま彼らは動かなくなった。

 周りの結界の状況を確認すると、特に傷もついていない。

 そして目の前には、倒れた強盗が三人。


 彼らに向かってエルザが近づいていく。

 なので僕は慌てて、


「完全に動かなくなったからといって、やられたふりをしているだけかもしれません!」

「あんな素人冒険者相手にあの魔法よ? もったいないくらい強力な魔法なんだから、もう動けないと思うけれど。それに近づかないと、本当に気絶しているのか分からないじゃない? 後で、背後から襲われるのはゴメンだわ」


 そう言って更にエルザは前に進もうとするので僕は、


「もっと安全な方法があるんです。えっと、こうしてこうして……“ステータスオープン”」


 僕がそう叫ぶと、とても見知った表示が現れる。

 棒グラフ上の映像で、そこには体力と魔力が描かれている。

 そしてそれを見ると、体力が殆ど無く、この状態では“気絶”と言えるだろう。


 ちなみにこの魔法は死体には適用されないため、この映像が現れた時点でこの三人組は“生きている”と言える。

 そこで再び僕はエルザに肩を掴まれた。


「貴方今、何をやったの? あれは、魔法使いの学園やギルドにいかないと分から無いような、魔力などの能力を表しているんじゃないの!?」

「あ、えっと、はい」

「どうやって?」

「え、えっと、対象となる存在を“探査(サーチ)”及び“分析(アナリシス)”を行い、体力、魔力を定量的に測定して数値化し、光の屈折を利用して可視化してすぐ側に表示しました」


 そう僕が告げるとエルザが青い顔をして、


「それ、本気で言っているの? 今の短い時間でそれを行ったと?」

「は、はい。で、でも師匠の方がもっと凄かったので僕はとてもそのレベルには届きません」


 何しろ師匠は更にレベルや、能力、得意属性などまで瞬時に調べて数値化、可視化してしまうのだ。

 一方僕はというと、この体力と魔力を出すのが精一杯で、それも相手が体力や魔力が大きいと一苦労だ。

 しかも体力には魔力と密接に関係していて体を強化するように自然と使われている人もいる。


 それらは魔力分が基礎の体力に上乗せされて、体力として表示されるように以前僕はこの魔法を改良したのだ。

 そこでエルザが嘆息した。

 どことなく視線が冷たい。


「貴方わざとそんなことが出来るように“見せかける”ために、表示をしたの?」

「ち、違います。僕は……」

「ふーん、だったら私のそのステータス、魔力と体力、表示してみなさいよ。そうしたら信じてあげるわ」

「あ、はい。分かりました。ただその……一つ問題が」

「何かしら」

「たまに、僕それを失敗すると、服が全部はじけ飛ぶんです」


 そう僕が告げるとエルザが嘆息して、


「良いわやって見せなさい。それで服が飛んでも貴方を責めたりしないわ」

「本当ですね?」

「本当よ。だから、今すぐ魔法を使え!」

「は、はい!」


 怒られて僕は、そのステータスオープンの魔法を使ったのだった。

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