いや、やるしか無い
さて、僕の使う防御魔法の方が効果が高いということになり、その魔法を皆にかけていくことに。
「魔法の掛かった服なので予期せぬ効果で、防御やら何やらが変な事になるかもですが構いませんか?」
「そういった説明はいいから、さっさとやれ!」
「ふにゃん!」
背中をエルザに叩かれてというか、エルザは本当に女の子なんだろうかと僕は思った。
思ってお姉さん達を思い出して、良い人達であったけれど“女の子”として理想とするようなこう、優しかったりちょっと素直じゃなかったり……いやいや、それってお姉さん達やエルザもそうなわけで、あれ? などと考えつつ魔法をかけていく。
そして全員分をかけてから次に再び、“探査”。
罠の部分、そして隠れている敵を索敵し次に魔法解除のための攻撃を加える。
これでまた暫くは大丈夫そうだと思うとまた、皆が……というかミルフィとルルまで僕の全面にでて、魔物を倒していく。
というか、結構弱そうなミルフィだが、
「ミルフィ、後ろにいなくて大丈夫?」
「はい! こう見えても私、お料理得意なんです。刃物の扱いはなれているんですよ」
ミルフィがそう言って新たに現れた蛇のような魔物を捌いていく。
そういえばお姉さんの中で料理担当のお姉さんがナイフの扱いが秀逸だった気が……あれ、と僕は思う。
ひょっとしてここにいる人達、防御の仕方が不得意なだけで、攻撃に関しては優秀なのではと思った。
それに防御さえ強化してあれば後はやりたい放題できるわけで。
でも、“彼女”と戦うにはこの装甲は紙に近い。
それは以前師匠と一緒に戦った僕がよく知っている。と、
「よし、これでローデルがいなくても、十分私達だけでやっていけそうねミルフィ」
「エルザ、それはちょっと言いすぎだよ。この服の防御もローデル君のものだし」
「ふん、私達の力を侮る男なんて知らないわ」
などとエルザが言う。
どうしよう、エルザ達が自分の力に自信を持ってしまった。
リフが、申し訳ないというかの要て手を合わせている。
それよりもエルザを止めて欲しいと思うのだけれど、ルルやセンリまで、まるでストレス解消というかのように現れた魔物を次々と。
いざという時に、彼女達全員追い出せるだろうか? 僕……いや、やるしか無い、そう僕は決意しているとそこで、
「何だかつまんないな~、少し“いじる”ね」
“彼女”がつまらなそうに呟いて、けれどすぐに小さな笑い声が聞こえて……僕達の周りの光景が激変したのだった。
周りの空間が先ほどの大きな通路とは別に、不気味なほどの夕焼けよりも濃い赤に染め上げられた空間に変わる。
僕達の歩いている場所は白い道だった。
遠くの方に、ドアのようなものがある。
また、周りには黒や白で形作られた大きな像がある。
それらがゆらゆらと揺らめいている。
「何、ここ」
エルザがぎょっとしたように言うので僕は、
「空間を“変質”させて“箱庭”のようなものを作り上げただけです。よく“彼女達”がやる技ですね」
「そ、それでどうなるの?」
「“箱庭”にはルールが有るのですが、それがこの白い道とあのドアです。つまりこの道を入ってドアから現実世界に戻れば、ここから開放されます。ただ……ここは“虐殺”の傾向を持っているのですよね」
「……」
「あと、その白い道からはみ出して外の空間に落ちると“死ぬ”らしいです。この道が、師匠曰く、“僕達の世界”と繋がっているそうですから。……行きましょう」
僕が珍しく引きつった顔のエルザ達にそう告げて歩き出すと……白い道がポコポコと泡立って、そして……。
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