“魔物”
爆音が聞こえて、僕達は顔を見合わせて走り出した。
その小さな音が近づくにつれて、ちらちらと炎が見える。
更に近づくと声が聞こえる。
「ミルフィ、援護!」
「は、はい……“火球”」
「“風の弓”」
どうやら炎の塊を生み出しして風であおり動きを加速、または分裂して攻撃しているようだ。
二人の連携プレー、といった所だろうけれどそこで、
「ぎやぁああっ」
何かの動物の鳴く声が聞こえる。
それも集団であるらしい、そこで、
「“炎の盾”」
ミルフィの声が聞こえると共に、何かがこちらに飛んでくる羽の音が聞こえる。
エルザたちの方は防御の魔法でおそらくは大丈夫だろう。
だがそのせいで素通りした“遺跡”内の魔物がこちらへと向かっているらしい。
らしいといったのは、すぐにその“魔物”達が見えたからだ。
“魔物”。
“遺跡”の範囲では“遺跡”の守り人であったりする場合もあるが、大抵はこの遺跡に注入されている“魔力”から存在が生じている、と言われているがまだよくわかっていない。
また、こういった“遺跡”以外にも特定の場所に危険な“魔物”がいるため、“遺跡”だけが“魔物”を生み出す媒体ではないといわれている。
他にも“魔物”自体が繁殖する場合もあり、現在分かっているのは、危険な存在ではあるが倒すと魔道具の材料として使えたり、または種類とその能力について幾らか収集されている、といった程度である。
またこの世界にも一応は、人間に似た“亜人”と呼ばれる少数民族も多々いて、場所によっては国を作ったりしているが……人間の人口の方が多いのと、文化風俗の違い、異言語といったものを持つがためになかなか人間との接触は少ない。
ただドワーフが鍛冶が得意なため、魔法使いは接触することが多いといわれている。
僕も師匠に連れられて様々な人々に接触したり、お姉さんの中にはエルフもいたので、よく知っている。
話を戻すが、“遺跡”は冒険者に身近ではあるが謎も多い。
そもそもこれだけ高度な文明を持った人たちがどこに行ってしまったのか?
文明の記憶自体が“集団”で“消去”されたのでは、といった眉唾な説もあるが案外それが本当なのかもしれない。
そう思いだすと僕は、特に嫌な存在を思い出して、意識の外に追いやった。
代わりに目の前の敵に集中する。
「“炎の矢”」
“無詠唱”で生み出した細長い炎が高速で飛んでいき、現れた魔物、胴体が僕の頭よりも大きい蝙蝠に突き刺さり、蝙蝠は消滅していく。
後に残ったのは、蝙蝠の原動力となる魔力の結晶である“魔石”。
魔道具から日用品まで幅広く使える石だ。
こういった“魔物”が人間を襲うのは、一説によれば人間には“魔物”にとって足りない物質を補うためだともいわれているらしい。
そのように、人間から補えるように“作られた”のではと師匠が以前呟いていたことがあったが……そう僕は思い出しながら、僕は魔石を無視して走る。
今はエルザたちの様子を確認するのが先だった。
そして明るい通路に出てそこで、僕達が見たものは。
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