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僕だって計算高いのだ!

 こうして僕達は、学園内部の遺跡に向かうことになった。

 とりあえず僕達は、エルザ達をおうことに。

 一応は“探査(サーチ)”を走らせたが、特に罠らしいものはこの暗闇の範囲ではなさそうだった。


 そういえば師匠も途中から、仲間のもふもふ……白狼のモフに魔力をかぎ分けてもらい罠を避けたりしていた気がする。

 “遺跡”内部であの立方体を守っていた一族? であるらしいモフは、“彼女達”に襲われて大けがをしていたところを師匠に拾われたのだ。

 時々僕も背中に乗せてもらっていたが、元気だろうかと思う。


 懐かしい記憶を思い出しつつ“探査(サーチ)”した結果を僕は伝える。

 それにみんな安堵したようだ。

 そこでリフが、


「冒険できると真っ先に喜んでしまったが、義妹がすまない。勝手に勝利条件を一方的に提示するのはな……」

「その点はいいです。あちらが勝手に設定したものを、大人しく受け入れる必要はないですから」


 そう僕は答える。

 そもそもこちらが同意していなければその代替案は成立していない。

 師匠が言うには、『押し付けられたものをそのまま受け取るだけでは、世の中生きていけない』だそうだ。


 とはいえ、これも“上手く使えばいい”のだそうだ。

 確かあの時は結局は勝利したからいいものの、失敗したら師匠が貞操的な意味で大変なことになった気がする。

 あの時ほど師匠が必死になっていたのは、初めて見たなと……あまりよろしくない記憶を思い出しそうになって既で止めた。


 というわけでそれを応用して考えると、こちらにもメリットがある。

 つまり、失敗してもこちらは頷いていないといい、成功したら勝利したが故に……“奴隷”はちょっと……、なので僕は、誤解を解いてお友達になろうと決めた。

 ただこの“遺跡”に素人二人が行くのは危険である。


 そもそも“遺跡”はそう簡単に行けるもの……もあるのだけれど、この“遺跡”は“未知”のようなのだ。


「何でこんな学園内に“遺跡”があるんだろう。一度も冒険しない冒険者(冒険に行かずに登録しただけ)の称号、“無色者(ホワイト・マン)”って笑うけれど、それだけ“遺跡”が危険な場所だってことなんだ。そんなものが素人生徒の……」

「あー、それはだな。その“遺跡”の一部をこの学園が“利用”しているからだ」

「“利用”?」

「“遺跡”のシステムは、まだ分かっていないことも多いが、それでも全てではない。一部を有効利用しようといった目的があるらしい。実際にこの学園内の食堂で使用される食材、それらはその遺跡で“育て”られたり“保管”されたりしているらしい」

「……遺跡を利用しようなんて初めて聞きました」

「珍しいからな。ここの学園長であるミスティア・ウェイトがここに学園を作ったのも実力のある魔法使いを集めれば、“遺跡”を使えるだろうといった話になって、そうなったんだそうだ」

「発想が……いえ、ちょっと待って下さい。ここは由緒正しい魔法学園なんですよね」


 今の話を聞きながら僕は、この国が建国何百年だったっけ、などと思い出して、あれっと思った。

 そこでリフが笑いながら、


「何か気になる事でも?」

「学園長、あの人何歳なんだろう?」

「女性に年齢は聞いてはいけないそうだ、というのは置いておいて、今のミスティア・ウェイト学園長は8代目らしいぞ」

「代々、学園長をやる家系、世襲制なのですか?」

「いや、がちの実力で全員もぎ取ってくるらしい。というかあの学園長と知り合いみたいだからローデルも、あの学園長がどんなにアレか知っているだろう?」

「……そうですね」


 僕はリフの言葉に頷く。

 あの学園長は苦手な存在な僕はすんなりと納得してしまう。

 そこで、離れた場所が少し明るくなっているのが見える。


「“暗闇”遺跡になっている部分は、そんなに大きくなかったみたいだ」


 とりあえず視覚で確認できるならもう少し危険は減るだろうと僕は思う。

 そこで、爆音が聞こえたのだった。


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