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気持ちいい?

 現れた二人の少女は、僕の知っている人物だった。

 パステルカラーの短いピンク色の髪がゆるく波打っていて、澄んだ水色の瞳の少女がルル・トワイエ。

 そしてやや紫がかったストレートな短い黒い髪に赤い瞳の、男性の制服を着た少女がセンリ・フレアルだ。


 ルルとセンリはこの世界の治療(高度)や祝福(後から特殊能力を神様が与えてくれる)、神託(神様からの事前情報、お願い)を一定に引き受ける“神殿”の聖女とそれを守る神聖騎士である。

 もちろん見た目からもわかるように天然ボケのようなほんわかした雰囲気のルルが聖女で、センリが神聖騎士だ。

 聖女という特別強い力を持つ少女はもとより、彼女を守る神聖騎士も剣と魔法にあり程度は精通していなければならず、なかなかなれないあこがれの職業であるらしい。


 ちなみに治癒系の魔法は女性のほうが得意とされており、聖女と呼ばれる人間が必然的に多くなる。

 そしてそれゆえに神聖騎士も女性が多くなる傾向があるらしい。

 ただ……このルルの治癒魔法よりも、師匠の方が治癒魔法もすごかった。


 何しろ、とりあえず怪我を治せばいいんだろう、とりあえず体を再生させればいいんだろう、とりあえず病気を治せばいいんだろうと、病気の症例や怪我の部位関係なく魔法で治していくのである。

 あれを見た瞬間の、ルルとセンリの凍りつき方は今でも覚えている。

 あいにく僕自身は治癒系はなかなか実践の機会がなく、治癒系の魔法に関しては自分がどのレベルなのか全く分からなかったりする。


 だが師匠の場合、この世界の神様と茶飲み友達? であったりしているので、その程度は当然なのかもしれない。

 そこで僕はセンリの頭についている花飾りの魔道具に気づいた。


「僕が以前あげたもの、まだ使ってくれているんだ」

「! は、はい、えっと、防御にはとてもよくて何度も助けていただいてもらっています」

「良かった、役に立って」


 以前、師匠と一緒に出会ったことが有りその時の縁で僕が作ったものを渡したのだ。

 師匠のものほどではないけれど、僕だって魔道具を作れるのだ。

 ちなみにルルにも小さな腕輪の魔道具をプレゼントしている。


 確かあの時は、女の子のアクセサリーがよく分からないので、ルルに相談してアクセサリーを購入してこの魔道具を2つ作ったのだ。

 お姉さん達が言うには、女の子のアクセサリーは好みが激しいらしいので、あの時はルルに手伝ってもらったのだ。

 あの頃センリは神聖騎士になったばかりで必死になっていて、僕が見ていても怪我をしてしまいそうで……師匠に相談したら、『今ローデルにはその力があるのに、今使わずしてどうする?』と言われてしまったのだ。


 それがあの時僕の背を押してくれた気がする。

 そこでルルが、


「でもお洒落っ気のないセンリがあの花飾りを、って、一時期“神殿”内でも有名になってしまったのですよ」

「ル、ルル。その話は……」


 頬を染めたセンリが、ルルを止めようと話しかける。

 そういえば一年半見ない間に二人共すこし大人になって、


「前よりも二人共綺麗になった気がする」

「「!」」


 その言葉に二人揃って更に顔を赤くして、センリはもう訳がわからなくなっているようで、


「そ、そんなことはない!」

「うわぁああああ」


 そこで僕はセンリにどつかれてしまい、そのまま僕はルルの方に倒れて、


「むぎゅっ」

「わー、相変わらず師匠さんと同じで、運がいいね」

「ご、ごめんさい、むぎゅ?」


 僕はルルの胸に顔を埋めてしまって慌てて逃げようとしたら、そのままルルに抱きしめられた。

 ルルはお姉さんたちの中で二番目に大きい旨の人と同じくらい胸が大きくて、いわゆる巨乳だ。

 でもこうやって顔に柔らかいものが当たるとこう、こう……。

 そこでルルに僕は問いかけられた。


「気持ちいい?」

「え、えっと、はい」

「だったらお持ち帰りしちゃおうかな、ローデル君」


 楽しそうなルルの声と、センリの焦る声、そして傍観者達は成り行きを黙って見つめるがために沈黙し僕は、持ち帰りされてどうなるんだろうと思った。

 ガラッと教室の扉が開かれ、


「よし、決闘を申し込んでやるわ……あら?」


 ルルに胸を押し付けられた状態で僕は、エルザと遭遇したのだった。 

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