女の子と再会しました
鬼畜男子と呼ばれているのを知り、その不名誉な名前を払拭すべき、事情の一部を説明した。
つまり、
「ちょ、ちょっと変わった魔法を使ったのですが、それの影響で、魔法が失敗すると服が敗れるんです。それでその変わった魔法を使ってみるようにと僕、エルザに言われて、それでその、失敗しちゃって……」
僕なりに頑張って説明したのだ。
だが周りの視線は一向に冷たいままだ。
そこでリフがポンと手を打って、
「ああ、その魔法なら俺も体験してみた」
リフが呟くと、ざわりと別な意味でざわめきが。
そこで周りにいた男子の一人が、
「そういえば昨日、リフ様が裸にされていたとかなんとか聞いた気がしますが、なるほど、そういった魔法を」
「折角だから自分で体験してみたかったというのもあるし、そもそも俺は男だから脱がされても特には何もなかったな。少し爽快感はあったが」
ハハハと笑うリフに、いえ、服を破られるのはとか何とか言われているが、周りの女の子達の視線が優しくなった気がする。
やはり誤解されたままなのは良くないと師匠も言っていた。
だから師匠も“弱い”と勘違いされて酷いことをされた時は、誤解を解くために“お礼参り”をしていた。
これは必要なことだったのかもしれない。
そして僕は、ここで誤解は解けたはず、そう思っているとそこでリフは、
「その服が破けるのは、失敗ではなく相手の武装解除にはならないのか?」
「それを僕も考えたのですが、相手の防具自体の魔法防御力が強いと、失敗の効果が少なかったり、無かったりしていました。魔物は毛だけが抜けたりして毛を刈られた羊のようになっていて武装解除とは言えませんし。それだったら、防具にかかっている魔法防御事態を“解除”した方がいいかと」
そう言いながら、いにしえの魔法防御の高さから一方的に相手をなぶっていた悪人を、相手の防具にかけられた魔法を“解除”して、肉弾戦で師匠は倒していたなと思い出す。
確かその悪人は二度と手に入らない防具が壊された事へのショックと、師匠への恐怖で改心していた記憶がある。
そう考えると魔法防御自体を“解除”する魔法の方が使用するには効果的で、僕の魔法のように、服をびりびりに破るのは失敗といえそうだ。と、そこでリフが、
「簡単に言ってくれるが……そうなのか。そういえばこの前破られた服は、偽装のために普通の服だったな。今もだが」
そこで僕は思ったのは、この王子様だけ特別扱いしないのかという不安だった。
後で学園長に直訴しておこう、そう僕は決意する。
それがだめならこちらで勝手にいろいろと仕込むしかない。
もしこれでリフが“暗殺”になったら、最悪僕が重要参考人になり……。
「うん、そうしよう。防御の魔法や魔道具作りも上手いねってお姉さん達に言われていたし」
「そうだよね、ローデル君、手先が器用だったし魔法の才能もあったしね」
「でも師匠には全然かなわないよ」
「うーん、あの人はこう、基準にしたら大変なことになっちゃいそうだよね」
「でも僕にとってあの人は目標で……あれ?」
そこでそれまで入ってこなかった人物の声が聞こえた。
しかもこの声は聞き覚えがある。
声のした方向を見ると、手を振る二人の少女が。
「お久しぶりだね、ローデル君。ローデル君もこの学校に来ていたんだ」
「……久しぶり」
個々の性格をよく表した挨拶に僕は、
「ルル、センリ、一年半ぶりだね」
そう答えたのだった。




