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こうして僕は彼女と再会した



 荷物をいくらか寮において、宿に僕は戻り夕食を食べる。

 そして前払いで今日の分も払っておいたのでその宿でその日は寝て、次の日。

 昨日と同様目覚ましの音で僕は目を覚ました。


「ムクリ」


 それから顔を洗い朝食をとり、歯を磨いて着替える。

 後は新品の制服に袖を通すが、新しい物なためかちょっと布が硬い。

 それでも初めての制服と今日から魔法の学校……田舎では一応学校には通っていたけれど、段違いに人数が違うだろう。


 他にも違うことが学べるかもしれない。

 師匠が言っていた、“部活動”というのも一度でいいからやってみたい気がする。

 同年代の僕と同じような魔法を使える人達が一杯いるらしい。


 それはそれで楽しみな気がする。

 他にはリフという自称王子様と寮で同じ部屋だが、よくよく考えると同い年の人とあんなに話したのは随分久しぶりだったかもしれない。

 しかも友達にもなれたのだ。


 それを考えると冒険は……王子様に怪我をさせてしまう危険を考えると、遠慮したいが、良好な関係が築けるなら同じ部屋であるのもいいのかもしれない。

 だって、村では……。


「うん、嫌な思い出は全部忘れよう。よし、今日から新しい学校生活! まずは教科書を寮においてきたからそれを回収しないと。今から行け一時間は早く着けるはず」


 時間を確認した僕は、宿を出る。

 そういえばここを案内してくれたエルザという女の子はどうしているだろうか?

 やはりいいわよと言っても服を破いてしまったのは、良くないのかもしれない。


 よく師匠がお姉さん達に余計な事を言ってとても怒られていたが、傍から見ている分には分かるのだけれど、当事者からすると気づかないものなのかもしれない。

 もしも次に彼女に会ったなら謝ろうと僕は思う。

 魔法の腕は良さそうであったし、魔法学園の場所を知っているのだからここに通っているかもしれない。


 案内してもらったお礼……最後は一緒にいたミルフィだったけれど、きちんと言うべきだろう。

 

「それに笑った顔とか、エルザは可愛かったし」


 美人かどうかは、あのお姉さん達を基準にしてしまうので、僕の美的感覚はおかしくなっている気がするけれど、あのくるくると変わる表情は可愛いと思ったのだ。

 それにどうせなら、女の子の友達が欲しい。

 お姉さん達は、ハーレム作っちゃいなよ~、と気楽に言っていたけれど僕は師匠みたいに魅力のある人間ではないと分かっている。


 けれどそれ故に師匠のようになりたいと憧れている。

 魔法の力も、知識も、そして精神的にも師匠のように“強くなりたい”と僕は願っている。

 でも近くにいては見えない事もあるかもしれない。


 ここで学んだことがいつか師匠の役に立つかもしれない。

 僕に希望を与えてくれたのは師匠なのだから!

 そう思って歩いて行くと、リフと遭遇する。


「やあ、元気そうだな」

「あれ、お付の人は?」

「巻いてみたぜ! ……へへ、手こずらせやがって」

「……建物の影からこちらを見ています。昨日の黒服の人達が」

「なんだと」


 焦ったようにリフが振り返る。

 そして黒服の人達は目があったかと思うと、すすっと建物の影に隠れた。

 次こそは彼らの包囲網を振り切ると、リフが決意を新たにしていたのは置いておくとして。


 今日の授業はどうだろう、学食は何が美味しいのかなど、他愛もない話をしながら学園にやってきて、学生証を提示し中に入る。

 後は寮に荷物を取りに行くだけではあったのだけれど、そこで声がした。 


「あー、あんたは、あの時の!」

「……あ」


 そこで、ランニングしているらしいジャージ姿のエルザと再会したのだった。

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