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まだまだ僕も成長期ですから!

 試験をクリアした僕達は、まず制服を渡される事になった。

 新入生は新しい制服を貰えるらしいのだが特殊なものであるらしく、今は普通の見かけがそれっぽい制服にするのだそうだ。

 というわけで寸法を測って、事前に作られた僕の身長に合う制服を二着貰う。


 特殊な方の制服は出来上がるのは一週間後であるらしい。

 それまではこの制服なのだそうだ。

 また、寮の鍵と学生証を渡される。


 何でも部屋がリフと同じだそうだ。

 出来過ぎなような気もしたけれど、リフ曰く、


「ローデルの師匠が有名だから、護衛も兼ねて放り込まれたんじゃないのか?」


 それは面倒事を丸投げされたのだろうかという気もしなくはなかったが、リフが言うには自分の身は自分で守れるらしい。

 確かにそういった強い者特有の気配がリフからはする。

 なので僕がそう告げるとリフは無表情になり、


「いや、強い物特有の気配って、そんなものは普通は分からないと思うぞ?」

「で、でも、殺気とか普通は分かるはず?」

「それは……いや、一般市民で命を奪い奪われる状況って普通は無いと思うから、気づかないと思う」


 リフに言われて僕は衝撃を受けた。

 だって、師匠やお姉さん達は敵の気配を感じてすぐに戦闘に入っていたのだ。

 だがそれは当たり前ではなかったようだ。


 モブへの道は険しい。

 それから僕は学生証が手渡される。

 薄い金属製のプレートだが、端に透明な薄く四角い石がはめ込まれている。


「これは何だろう、魔力を感じる。“解析”してみようかな」

「それは自分の現在の魔力量などが現れるものだ。似たものでギルドカードが有るが、ここの学生証があるとギルドカードが発行しやすい。でもあの師匠と一緒にいたなら、冒険者ギルドカードを持っているんじゃないのか?」


 そう言われてしまった僕は首を振り、


「僕、冒険者ギルドカード、作っていないんです」

「え? じゃあ今までどうやって換金していたんだ?」

「お姉さんの一人がお金は管理していました。何でも師匠に持たせると金遣いが荒いとの事で」

「金遣いが荒いって、何をしたんだ?」

「お姉さん達の一人にもいたのですが、奴隷を開放したり、騙されていた村娘さんを助けるためにカジノに行ったり色々と。後は、今日は俺のおごりだー! と言って、酒場でミルクを飲んでいました」

「……確かに年齢的には酒はまだ飲めないが、そういう所は律儀なんだな。それでローデルはお酒は飲んだのか?」

「僕もミルクを飲みました。なんでもあそこの村の人達が背が高いのはそのミルクを飲んでいたからだそうで。まだまだ僕も成長期ですから!」


 そしていずれは師匠の背を追い越そうと計画しているのだ!

 僕は決意を新たにする。

 そこでその話には触れないことにしたらしいリフが、


「折角だからこれに登録と、中の記録の表示、更新の仕方を教えよう。事前に俺も調べてきたが実物は見たことがないからな」

「そういえば僕、魔力が測れていないのですが大丈夫でしょうか」

「……そういえばどんな表示になるんだ?」


 という疑問から、その表示装置に向かうのだがそこで僕が学生証を置き、見たい項目である魔力と書かれたボタンが光で表示されたのでそこに僕は触れるが、


「マリョクソクテイガキンシサレテイマス」


 そんな声が、表示装置から聞こえたのだった。

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