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魔力測定をしてみると、こうなった件

 魔力測定。

 “アビル石”と呼ばれる石を使用した測定装置である。

 この石には、術者や敵対する魔物等が触れると七色に変化する。


 その過程で熱を生じ、その意志が許容できない強い魔力を観測した場合は粉々に砕け散る。

 これは石に触れた時点で術者などの魔力機構と“同化”することによって、抵抗が主事て色が変わるため、強力な魔力を持つ者と“同化”すると耐え切れなくなり砕け散るという。

 そのために強い魔力を測定する石ほど、魔力抵抗が多くなる不純物が少なく、透明で色がついていない。

 

 これらの石は遭遇した敵に投げつけ、色の変化から相手がどの程度手強いかを推定するのなどにも使われている。

 但し、大抵の人間はよほど強く危険な敵について事前情報が有り、かつ、戦わないといけない時といった珍しい場合でしか使用はしない。

 理由は弱い魔物相手にわざわざ魔力を測定など面倒であるし、測定時に攻撃を受けるかもしれないし、この“アビル石”自体もそこそこお値段のする高価な石であり、下手をすると踏み潰されて粉々に砕け散り二度と使えないようにされてしまうとも考えられるからである。


 こういったコスト対効果の関係から魔力量などを登録する際に使う、それもそこそこ高純度のもの=高価なものが需要の殆どだった。

 さて、そのようなこの世界の事情はおいておくとして。


「ここに触れればいいんですね」

「はい」


 無表情の、中年の男性である試験官が僕に頷く。

 恐らくはここの先生なのだろう。

 事務的ともいうかのように、僕の名前の書かれた紙を見ている。


 そして僕の目の前には、上部に半球状の透明な石が乗せられその側には数値が表わされるように0~9の文字が回転して、魔力量が数値で現れる四角い部分がある白い四角い箱の装置が置かれている。

 その透明な半球の下には、何やら細かく歯車などが組み合わさっていてこれらが数値化するのに使われているのが見えるなと思って僕は手を伸ばす。

 この形を見ると、以前、お姉さんの一人が安くて古い魔力測定器買ってきたから改造しよう→師匠に触らせる→壊れるの連続コンボを食らって暫くいじけていたのを思い出した。


 懐かしいなと思いつつ僕の人差し指が軽く半球に触れた。

 ピシッっとその半球に亀裂が入る。

 同時に測定された数字がぐるぐると回りだし、そのまま止まらなくなる。


「え、ええ!」


 この場合どうすればいいのだろう、と僕が思って試験官を見上げると、唖然とした表情で数字を見ている。

 だが僕が見上げているのに気づいたのか、コホンと咳払いをしてから、


「他の魔力測定装置を持ってきてくれ」


 と側にいた一緒に驚いていたような若い試験官に頼んでいる。

 そして新たに装置が持って来られたのだけれど、中年の試験官に僕は、


「大事を取って一番最後に測定させてもらっていいかな?」

「あ、はい、どうぞ」


 先ほどの機械は僕のせいで壊れたかもしれないので、僕よりもあとに来た人を優先させるらしい。

 多分故障だろうけれどねと試験官が言っているのを聞きながら、リファインも含めて数人が測定し……当たり前のようにリファインはクリアしていた。

 そして何故か僕が気になるらしく、彼は学園の入り口で僕を見て待っているようだ。


 そこでようやく新しい魔力測定装置が僕の目の前に。だが、


「……」

「……」


 光の屈折を利用して数字を表示する最新式? である魔力測定装置を使っても、僕が触れると普通に壊れるだけだった。

 そこで試験官が深々と嘆息し、


「……合格」


 試験官が何かに敗北したかの表情と声音で、そう僕に告げたのだった。

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