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試験日

 次の日の朝。

 僕はめざまし時計の甲高い音で目が覚めた。


「うーん、もう少し寝ていたいけれど、そうすると遅刻しちゃうし……起きよう」


 そしてベッドの上で上半身を起こして背伸びをする。

 エルザが教えてくれた通り、安くていい宿だったなと僕は思う。


「でも怒らせてしまった。やっぱり服を破ったのがいけなかったかな?」


 いいわよやって見せなさいといったのは彼女だけれど、やっぱり服が破られるのは嫌だったのだろうと思う。

 ちなみに、その前日の夜から今日の朝まで、エルザが水しか取らずに必死にダイエットと称して運動をしていることなど、ローデルは全く思いつきもしなかった。

 そこで僕はベッドから降りて支度をする。


 今日入学試験を受けて、今日中に合格かどうか決まり、明日以降学校に通えるようになるそうだ。

 短期間でよく決まるとぼくは思うのだけれど、それはこの学校独特の試験システムが影響しているらしい。


「まず初めに、入り口で魔力検査と身体検査を受けてから……だよね。後、仮入学証を持っていないと中に入れない」


 そう言って僕はその、仮入学証を取り出す。

 師匠の関係でこの試験を受けるためのこの身分などを調べる書類検査はフリーパスであったらしい。

 相変わらず師匠は凄いと思う。だから、


「師匠のおかげとか師匠の七光って言われないように僕も頑張ろう」


 そう僕は自分に言い聞かせて、服を着る。

 これから幾つもの試験を受けるけれどその全てに合格しないと入学できないのだ。

 それゆえに途中て不合格になればその時点で帰されてしまうので、この試験スピードが保たれるらしい。


 そう思いながらいつもの私服を着る。

 ベストを着たりネクタイを締めたりと、きちんとした服を一応は着ていく。

 まだ学園の生徒ではないので、制服を着ることは許されない。


 けれど入学が決まれば即座に支給されるらしい。


「不思議なシステムだよね。さてと朝食をしっかり食べていこう」


 今日は試験だし、栄養のあるものをと思って、昨日から気になっていたお店に向かう。

 そこで謎肉のステーキを食べた僕は、昨日案内された道を歩いて行ったのだった。







 学園前の入り口は、すでに長蛇の列ができていた。

 試験までまだ時間があるのに、と僕が思いながら並ぶと視線が痛い。

 誰もが緊張したような気配を纏っていて、僕も自然と動きが固くなる。


 そんな僕の前で次々と門前払いされていく人々が。


「あー、また随分沢山いるな。とりあえず並んでおこう」


 僕の後ろで気の抜けた声が聞こえた。

 僕より遅くに並ぶ人がいたんだと思って振り返るとそこには、僕よりも背の高い金髪碧眼の背の高いイケメン……とそのボディーガードらしい黒服の男達が。

 この人何者なんだろう、と僕が思っているとそこで彼は僕を見て、頷いた。


「俺はリファイン・マックス、よろしく」

「あ、僕はローデル・アーカムです」

「……ふむふむ、なるほど。では、明日からの学園生活では、よろしく」

「こちらこそ……でもまだ試験前ですよ?」


 そう聞くと彼はにやりと笑う。


「俺は人を見る目に自信があるんだ。というのは置いておいて、確かあの……あー、“弟子”なんだろう? 以前地方に行った時に見かけた」

「……師匠が凄くても僕が凄いとは限りませんよ?」


 言い返すと彼は、そうだなと笑った。

 そこで、僕の魔力測定の番が回ってきたのだった。


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