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いち
【視点:男a】
いつもより少し早めに目が覚めた
学校には早すぎる時間
朝っぱらから蝉が五月蝿い
ふと 気が付く
寝る頃にはなかったはずの 横にある温もり
寝起き眼
恐る恐る開けてみる
同い年くらいの
知らない女の子が
隣で寝ている
…言葉が出てこない
こわい 怖い 恐い
何が起きたのか
何がどうなっているのか
全くわからない
わかりたくもない
もしかしたら なんて
覚えなんて全くない恐怖で
さっきから冷や汗が止まらない
冷静になれない
なれるわけがない
ただしそんな中
頭の ほんの片隅の方で 直感が告げてきた
『彼女は俺なんだ』と
*
【視点:男b】
え、えー…
知らない女の子が横で寝ている
狭い布団の上
もちろん
そんな覚えはない
その子の長い髪の毛が
俺と同じ色でなんだか親近感
なんて
物凄い速さで ぐるぐる回る頭が思う
だけど
不安と混乱で
落ち着こうとしている自分とは反対の
案外冷静な直感は言ってきた
『俺は彼女自身』だと