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一連の動作


ガンっ!



目の前に花火が見えた。


『ボーっとするな‼︎』


親父に頭をゲンコツされ意味がわからなかった小学2年生。まだまだ鼻垂れ小僧の私は涙目でグッとこらえた。確かに子供ながらに、一点を見つめ何も考えずボーっとしていた。後にこの意味がわかった時には、感動した事を今でも覚えている。


そして何日か後。

いつもの様にお客さんが家に来ていた。

『お い !』

親父が私を呼んだ。私は居間に行き、お客さんに

『こんばんは』


間髪いれる事なく親父が

『おい、○○さんに、ビールをつげ‼︎』

何も知らない小学生の私は、言われたまま、お客さんにビールをつぐ。

『あほかおまえは⁉︎ビールは両手でしっかり持っ

てつぐんじゃ。誰が片手で持ちよんな!

それくらいしっかり覚えておけ』

小学2年生の私は罵声を浴びせられ、叱られた。


それからというもの、お客さんが家に来るたび、

この一連の動作は繰り返され、挨拶をし、お客さんに、お酒をつぐという事は、自然と身体に馴染む事となった。


小学4年生になり、その一連の動作も当たり前となった頃、再び親父が私に

『何しょんなおまえは⁉︎ ○○さんのビールが無い

だろうが!無くなったらすぐビールをつぐんじ

ゃ。そんな事もわからんのか』


挨拶、ビールをついで終わりではない。

無くなったら、つぐのだ。小学生の私は納得した。むしろ、せざるを得なかった。

何故かいじける事もなく、自然に、親父から言われた事の動作が身につく。

子供の私がそんな事をして何になるんだ?

読者の方は思うだろう。

しかし私は、ビールをついだお客さんに

『ありがとう』

と言われ、笑顔の表情が子供ながらに嬉しく、その動作はさほど嫌ではなかった。


例えば、プロのスポーツ選手には、親が強制的にやらす、やらさないに関わらず、幼少期から続けていて、いつの間にか頭角を現し、素晴らしい

プレーをする選手がたくさんいるが、

それは一連の動作が嫌と言う程、身体にしみつき、緊張もほぐれ、日常の練習と同じ様に、本番でも力が発揮できるというメカニズムがあるからではないか。


英語を幼少期から習って自然と話せる様になっているのか。はたまた中学生から本格的に習うのかでは、英語が身体に入るという事のスピードや、語学の発達度では、格段に違うといえよう。


私が大人になり、子供の頃の事を親父が

私に言った時、


『小さい頃から、おまえに社会適応能力を

つけるためじゃ』


その事が、私が社会に出て、とても役立ち、

ある一点においては、他人より、はるかに

秀でていたという事は言うまでもない。







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