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春夏秋冬……私(僕)達双子です

リハビリ作第一号です。長くて中編程度で終わると思います(ってか終わらせます)

連載中の作品の更新が出来ずにすみません。

「あら?」

「まぁ…」


そこは1歳児検診中のどこにでもある子育て支援施設内。

しかし、出会った母親同士は数年ぶりの再会だった。

中学校卒業後別々の高校に進学した彼女達。何故かこの年になるまで同窓会で会う事もなかったのである。

故に当然話も弾むわけで……


「やだっ!何年ぶり?」


リアクションが激しいのは女児の一卵性双生児の母親。


「中三以来だから……8年ぶりだよね」


と、冷静に計算するおっとりさんは男児の一卵性双生児の母親。

ちなみに彼女らの子供は今ボランティアの人達に抱っこされて検診中である。


「ね?ライン交換しよ?泉っちが今ここにいるって事はお子さん達ウチの子達と同学年って事だよね?近くに住んでるの?」

「うん。いいよ。近くって言えば近く……かな?」

「ね?誕生日いつ?ウチの子は小春と千秋。で6月生まれ」

「ウチは10月生まれで名前は一夏と冬真」

「ね?ね?女の子と男の子の双子同士ってさ……何か萌え~な展開の予感!」

「あはは……涼ちゃん昔っからその手の恋愛小説好きだったもんね。あ…戻って来たよ?……おや?」

「あ!ホント!…ってか、何か二組既に出来上がってなくない?」

「ん……これってカップリングって言うのかな?」


ボランティアの中年女性に抱っこされて母親達の元に帰って来た双子の片割れ達。

ピンクのシュシュを頭のてっぺんにくっつけた赤ん坊は自分より一回り以上大きなブルーのロンパースを着た赤ん坊と手を繋いでいる。

そしてもう片割れ達はと言うと、オレンジのシュシュを頭のてっぺんにくっつけた赤ん坊と緑のロンパースを着た赤ん坊はベビーベッドで並んで眠っているのだ。


「この子達なかなか手を離さないのよ」

「この坊やの検診が終わった直後にお嬢ちゃんがぎゅぅ~っと……ね。よっぽと好きなのねぇ」

「それでこっちの二人はねぇ……」

「くすくす…こっちの坊やの検診が終わったら二人してお寝んねよ」


ボランティアの中年女性二人からそれぞれの子供を受け取る母親。

しかし……


くいっ


「あらら?」

「今度は冬真が掴んでるね……」


女児が手を離した直後に二人の赤子はそれぞれの母親に抱かれたのだが、今度は男児が女児の袖をしっかと握っているのだ。


「あははは…小春は満更でもないみたい。でも、困ったなぁ。千秋も起きそうに無いし……」

「ウチも冬真はこんなだし、一夏も爆睡してるよ」

「検診が終わったらいつも通り遊べるみたいだし…ねぇ、まだ時間ある?」

「ん」

「「起きるまでいようか?」」


結局双子の母親達は双子の片割れが起きるまでここにいようと決めたのだった。



***********



あれから数年後……


「こらぁっ!ちあきをいじめるなぁっつ!」


ボカッ


「いってぇ!ちくしょう!ちあきのよわむしぃ~こはるのらんぼうもん~」

「っふ…ふぇっ……」

「……いちか、うるさいよ」


小春と一夏はとっくみあいの喧嘩中。

それを泣きながら見ている千秋と眉間に皺よせている冬真。


「あららら……千秋、また泣いてるの?小春、あなた女の子なんだからね?折角スカート穿いてるのにそんなに脚上げたら駄目でしょっ!」

「っふぇっ…ままぁ~っ!」

「ままっ!いちかのばかがちあきをいじめたんだよっ!あたしは“かたき”をとったの!!」

「はいはい。ほら、さっさと帰るよ?泉っちごめんね?」

「ううん。どうせウチの一夏が原因みたいだし。

……冬真は止めようとはしてくれたみたいだけど…ねぇ」

「まま!おれ、あのぼーりょくおんなにけられたぞっ!」

「……アンタが先にチョッカイ出したんでしょ?」

「おれは“くち”だ!あっちはぼーりょくだっ!!」

「……まま、はら、へった。おやつなに?」

「冬真の言う通りだねぇ。さ、ウチらも帰ろうか。涼ちゃん、またね~」


偶然か母親同士の結託によるものなのか、目出度くも同じ保育園に入園し、複数あるクラスの中で同じクラスに所属となった双子達。

カップリングは異なれど片割れ同士は喧嘩友達?に、片割れ同士は被害者&傍観者にと成長していったのだった。



***********



そしてさらに数年後………



「「え?アメリカ?」」

「そうよ」


もともとキャリアウーマンな母親は仕事の事などで夫とよく揉める事があり、双子が保育園に入園する頃には離婚していた。

しかし、0歳で入園した彼女達が卒園する頃には双子の父親候補が出来ており、しかも……


「栄転&再婚~~」

「「へ?」」

「良かったわね~。小春と千秋にダンディで超ハンサムなパパとイケメンで王子様なお兄さんが出来るのよぉ~」


そうなのだ。二人の新しい父親は母親が勤める会社のLA本社役員であり、栄転と宣った母親は見事彼のハートをゲットし、日本支社の秘書室から本社の秘書室へと移動になったのだ。


「「そんなの聞いてないよっ!!」」

「そうだっけ?あ、もしかしてアンタ達“彼”にも会った事が無い?」

「「(コクン)」」


母親の問いかけに対しツインテールを揺らしつつ首を縦に振る姉妹。

片方は薄紅色のシュシュをつけ、もう片方は橙色のシュシュをつけている。

卒園式も終わった春休み。4月から学校だと言うのにいまだランドセルさえ買って貰ってない。

だが、母親の性格をよぉーーーーーーーーーーーーっく熟知している双子の姉妹は入学式の前日になって用意するものだとばかり思っていたのだ。


「………いつ、行くの?」


次女が不安げな表情を浮かべて母親を見上げた。


「明日♪」


娘の不安そうな質問に対し、満面の笑みで答える母親。


「パスポートは?」


自分が持ってる知識を総動員して姉らしい質問をする長女。


「はいコレ。明日の朝の便でアメリカに行くから今日は早く寝なさいね」


パスポートを娘達に見せながらそう言うと、母親は鼻歌を歌いながら双子の部屋を出て行った。


「……パパとわかれたときも“こんな”だったよね…」

「うん。ねぇちあき、わたしたちってアメリカの小学校に行くのかな」

「……どうしよ。えいご、わかんない」

「あたらしい“おにーさん”にでもおしえてもらおっか?」

「……やさしいと、いいな」


小さな胸におっきな不安を抱えたまま飛び立つ双子。


片倉(旧姓曽根)小春 6歳

片倉(旧姓曽根)千秋 6歳


彼女達が“彼等”と再会するのは10年後の話である。


ご愛読ありがとうございますm(_ _)m

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