表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/11

初戦闘

 襲われてるのはエルフの一団だったようだ。

 人数は10人程、そのうち戦えるのは6人程度か。


 それに対して襲ってる側は全員が人間のようだ。こちらはざっと20人かな。

 この盗賊と思われる一団は完全武装している。それに1人は他の奴らに比べると多少質のいい鎧をきて、支持を出している。おそらくこいつがリーダーってところだな。


 よく見ると、何人かエルフらしいのが倒れてるな。

 このままだとまずそうだな。

 異世界にきてさっそく実戦ということになりそうだ。


「美雪、相手は鎧を付けてるし真剣も持ってる。おまえは木刀と脇差しか持ってないし、鎧もつけていないんだから、戦いには参加するなよ」

「信一さま、私も戦うことはできます」

「いや、戦闘は俺に任せてくれ」

「しかし……」

「大丈夫だ。お前の親父さんに鍛えられた俺を信じろ」

「分かりました。でもムリはしないでくださいね」

「ああ!!」


 俺は走りながら、腰にさした刀に手をかける。


 また人を斬ることになりそうだな。

 異世界にいってしまう小説の中では初めて人を斬るという場面で主人公の心の葛藤などが描かれているが俺に関してはもう、人を斬ることへの躊躇はない。別に人を殺すことが好きだというわけでもない。

 ただ単純にかつて人を斬り殺したことがあるってだけだ。


 江戸時代にタイムスリップして2年ほど過ぎたころだったと思う。

 ある大身旗本の三男坊だかが美雪に懸想して、無理やり誘拐した。本来ならそんな奴より美雪のほうが強いのだが、そいつは自分の取り巻きの他に腕が立つ浪人を雇っていたため、美雪でも敵わなかった。


 その事件は師匠がいろいろと手をまわして(今にして思えば師匠は公儀の隠密のような密命を帯びていたのかもしれんな、よく御用人さまと言われる人が道場を訪れていたし)


 俺はただ焦っていただけだったな。最終的に隠れていた場所に俺と師匠で乗り込んでいったがその時俺は斬りかかってきた浪人を斬り殺した。

 そのあとは無我夢中で、用心棒やらやくざ者を他にも3、4人斬り殺したと思う。


 まあそのあと師匠の報告を受けて奉行所の役人が乗り込んできて、美雪も助け出され、その三男坊などの不良仲間はつかまり大目付に引き渡されたらしい。そして父親の大身旗本も隠居させられてしまったようだ。


 俺は、美雪を救い出して道場に帰った後、人を殺した感触に怯え震えていた。

 部屋で一人震えていた俺を美雪は抱きしめてくれた。

 美雪を助けに行ったはずなのに俺が助けられてしまったんだよなあ


 その後、師匠には人を斬った感触を忘れるな、人を斬ることを楽しむなと教えられた。


 それからは何故か、師匠に命じられて火付盗賊改の盗人宿への打ちいりに助っ人として参加させられたり、南町奉行の護衛につけられたりといろいろと修羅場を経験し、人を何回か斬ったこともある。

 そのたびに美雪の顔を思い出したおかげか自分を見失うことはなく、人斬りに快楽を覚えることはなかった。


 まあそんな経験を積んでいるから人一倍度胸はついていると思う。

 おかげで殺し合いの場に飛び込もうとしているが全く恐れはない。


 

 エルフ側は人数も少なく苦戦している。

 そんな中に俺は飛び込む。

 盗賊が一人俺に気付いたようだ。

 俺の方に槍を向けようとしてくる。だが遅い。俺は駆け抜けながら、刀を男の腹に抜き討つ。

 

「ぐはぁぁ!!」


 男は腹を切られ、悲鳴を上げる。

 悲鳴を聞き他の盗賊もエルフも俺という乱入者の存在に気付いた。

 俺はそのまま馬車の前に立ち、盗賊たちの方に向き直る


「助っ人に来た」


 馬車の護衛と思われるエルフの男に話しかける。


「ああ、すまない」


 一方盗賊の側は一人斬られ若干動揺したものの助っ人が俺一人としり落ち着きを取り戻す。


「お前ら、一人バカが首を突っ込んできやがった。見慣れねえ姿してるが構うこたあねえ。やっちまいな」

「へい」

「任せて下せえ」


 盗賊たちが再び、動こうとする。

 俺はそれより早く、盗賊どもに向けて踏み込む。

 そして日本刀を首筋に打ち込む。更に付近にいた男に対しては返す刀で致命傷を与える。

 そのまま、一合も合わせることなく隙を突き、更に2人の意識を刈り取る。


 日本で盗人宿に打ち込んだ際などにすでに多対一は経験済みである。

 みたところこの盗賊たちのレベルは高くない。俺一人でも十分通用しそうだ。

 西洋剣と日本刀では打ち合えば日本刀が折れてしまう。そのため、気を付けながらも盗賊たちに刀を叩き込んでいく。


 すでに盗賊たちは10人をきっている。さすがに一気に人数が減った盗賊たちは動揺を隠せない。さらに護衛達もこの機を逃さず、攻勢をかける。


 ここからは、完全に攻守が逆転した。護衛も積極的に攻撃に加われたことにより、残りの盗賊どもも討伐され、生き残りもあっけなく捕えられるのであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ