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異世界の定番?

 うーん、彼女は異世界という概念を理解することができるのだろうか?

 江戸時代の人間ならいわゆる妖怪とかの存在を信じるかもしれないな。ただ迷信が生きていた時代が中世で近世からは迷信が信じられなくなっていくって本で読んだ気がしたんだが・・・


 しばらくは、異世界ということは黙っておこう。

 実際のところ俺自身もここが異世界と分かっているわけじゃないからな。召喚紋のようなものが浮かび上がってからの何もない草原といういかにもっていうシチュエーションだからそう思っているだけだからな。もしかしたら江戸時代の日本にも、人を転移させる魔術のようなものを使う人がいたのかもしれない。まあ、いないとは思うが。


 俺らはとりあえず歩くが、人の気配は全くしないなあ。

 道場で修業したおかげか、俺は人の気配やいわゆる殺気というものを読めるようになった。

 こんなんじゃあ、戦闘力はあるのに餓死しちゃうんじゃないか


 そんなこと考えているとふと思いついたんだが、こういうときって大体ステータスとかいうと自分の能力見れるよね。この世界でも見れるかもしれない。よしとりあえず試してみよう。


 俺は立ち止まり、叫んでみる。


「ステータス!!」


 うん。何も起こらないよ。

 うわー。恥ずかしー。

 美雪も突然叫んだ俺を困惑した表情で見ている。そんな目で見ないでー


「あのー、信一さまどうなされたんですか。」

「いやなんでもない。忘れてくれ」


 しかし、この世界にはステータスという機能はないようだな。少しガッカリだ。

 

 そんなことを考えながらもただひたすら歩いていくと前方に道がみえた。


「美雪、どうやら街道に出れたようだぞ。街道沿いに歩いていけば町かなんかに行けるんじゃないかな」

「はい。でもどっちに行きますか」

「そうだな、右側にでも行くか」

「はい」


 街道にさえ出ることができれば、何とかなるな。


 しかし、こんな事態に巻き込まれたにも関わらず美雪は案外落ち着いているなあ。


「美雪、突然見知らぬ場所に放り出されたけど不安じゃないのか?」

「不安ではありますけど、神隠しにあった人の話とかも聞いたことがありますし」

「か、神隠しって……」


 やっぱ神隠しのようなことを信じているんだな。それになんというか肝がすわっているというか。

 

「それに、し、信一さまも一緒ですから」


 や、やばい可愛すぎる。

 もうこれはやばいだろ。てか俺の事信用しすぎでしょ。


 ずっと一緒に生活しているわけだがたまに自制が利かなくなりそうな時があるんだよ

 俺としては、無理やりとかは嫌だがらなんとか我慢してるのだが、少しは警戒心というものを持ってほしいよ。


 そんな時、前方に人の気配を感じる


「美雪!」

「どうやら人がいるようですね」


 俺たちは急いでそちらに向かう。

 音を立てず気配を消して走るという術を叩き込まれた俺たちは静かに人のいる場所を目指す。

 もう少しで姿を見ることができるかというところで人が争っているということに気付く


「どうやら何か争い事が起こっているみたいだな」

「ええ、何事でしょうか」

「とりあえず、行ってみよう。様子をみてどちらかに助成すべきと感じたら助太刀する。それでいいか」

「分かりました」


 人数的には合わせて35人ってとこか。この人数なら戦争ってことはないだろう。

 異世界の定番としては盗賊に襲われている商人ってとこかな。だったら商人を助けるべきなんだろうな。


 俺達は更にスピードを上げて争いの場に近づく。


 おお、ビンゴだ。いかにも盗賊って感じの男たちが馬車を襲っている。

 これは馬車の人たちを助けるべきだな


 そう思いながら馬車の人々を見る。そして俺は気付いた。

 襲われている側はみんな耳が長い。



 襲われているのは異世界の定番エルフだった。

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