表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/22

母親と言う者…

 *…*…*…*…*


 同時刻の都市、とある一軒家。

 アンティークで洒落た家。新しいのに、古びた雰囲気を持つ。


 そんな家の居間で。ベージュ色のソファーを陣取っている者がいた。…自分の定位置を取られて悔しいが、まぁ…我慢。それに、新しい同居人なので…しょうがない。

 三毛猫のミミ。メスで、大人しい。たまに、凶暴。そんな新たらしい仲間。

 それより…



「お母さん…」


 すぐ隣の母親に話しかける。…ちゃんと伝わったかどうか、分からないけど。伝えてみる。


「…今まで、ありがとうございました」


 深く頭を下げる。母親は、ホワイトボードを見せくる。


『どういう事か分からないわ?ましたって、どこか行くの?なぜ?』


 重い溜め息をしてから、深呼吸。


「…私は、革命軍に入ります。たぶん、ルーもそこにいると思う…確信はないけど」


 少し間を置いて…。書き直れた文字を、よく見る。


『だけど!私は、行ってほしくないわ』


「だとしても、ルー…。嫌、ルーフォスと共に戦います」


『仮に戦場に行っても、あなたは戦えないわ!やめて!行かないで』


 そこまで、早すぎる筆談をして。


「…私は、戦います。ルーフォスの力になりたい」


 あの時、助けてもらったから。

ルーフォスの側にいたい。

ただ、それだけ。それが、……私の本当の願い。申し訳ないが、親には叶えられない願い。お母さん、身勝手でごめんね…。でも、やっぱり…私ルーがいないとダメなんだ。


 顔を上げると、母が泣いてた。…こんな姿を滅多にみない。私がじっと見てみると、母は私を抱き寄せた。





 …その数分後。

 母が泣きやんで、私にホワイトボードを見せてきた。


『行きなさい。貴女が望むのなら、私は止めません。止められない』


 母親はそこで微笑む。だが、その頬に水滴がついていた。また、ホワイトボードを見て。


『だから、応援してるわ』

 

「…ありがとう」



 私が家を出て行くのには、もう1つ理由がある。それは…私は母の子供ではないから。

この人にとって、私は姪だ。これ以上、迷惑かけたくない。


「今まで、ありがとうございました。貴女が私の事を、娘のように育ててくれて…」


 目の奥が、熱い。視界が歪む。



「本当に嬉しかった。ありがとう…ランさん。お母さん」


 歪む視界の中に、母…嫌、ランさんの姿があった。


 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ