母親と言う者…
*…*…*…*…*
同時刻の都市、とある一軒家。
アンティークで洒落た家。新しいのに、古びた雰囲気を持つ。
そんな家の居間で。ベージュ色のソファーを陣取っている者がいた。…自分の定位置を取られて悔しいが、まぁ…我慢。それに、新しい同居人なので…しょうがない。
三毛猫のミミ。メスで、大人しい。たまに、凶暴。そんな新たらしい仲間。
それより…
「お母さん…」
すぐ隣の母親に話しかける。…ちゃんと伝わったかどうか、分からないけど。伝えてみる。
「…今まで、ありがとうございました」
深く頭を下げる。母親は、ホワイトボードを見せくる。
『どういう事か分からないわ?ましたって、どこか行くの?なぜ?』
重い溜め息をしてから、深呼吸。
「…私は、革命軍に入ります。たぶん、ルーもそこにいると思う…確信はないけど」
少し間を置いて…。書き直れた文字を、よく見る。
『だけど!私は、行ってほしくないわ』
「だとしても、ルー…。嫌、ルーフォスと共に戦います」
『仮に戦場に行っても、あなたは戦えないわ!やめて!行かないで』
そこまで、早すぎる筆談をして。
「…私は、戦います。ルーフォスの力になりたい」
あの時、助けてもらったから。
ルーフォスの側にいたい。
ただ、それだけ。それが、……私の本当の願い。申し訳ないが、親には叶えられない願い。お母さん、身勝手でごめんね…。でも、やっぱり…私ルーがいないとダメなんだ。
顔を上げると、母が泣いてた。…こんな姿を滅多にみない。私がじっと見てみると、母は私を抱き寄せた。
…その数分後。
母が泣きやんで、私にホワイトボードを見せてきた。
『行きなさい。貴女が望むのなら、私は止めません。止められない』
母親はそこで微笑む。だが、その頬に水滴がついていた。また、ホワイトボードを見て。
『だから、応援してるわ』
「…ありがとう」
私が家を出て行くのには、もう1つ理由がある。それは…私は母の子供ではないから。
この人にとって、私は姪だ。これ以上、迷惑かけたくない。
「今まで、ありがとうございました。貴女が私の事を、娘のように育ててくれて…」
目の奥が、熱い。視界が歪む。
「本当に嬉しかった。ありがとう…ランさん。お母さん」
歪む視界の中に、母…嫌、ランさんの姿があった。