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朝の食卓 1

 都市より田舎はずれ…隣国レイーシェル国に近いジャックの家。都市とは違い、空気が澄み渡っている。

そんな田舎の、午前7時頃。



 チュンチュン…

 


 小鳥たちの可愛いらしいさえずり。

 3つあるうちのベッドの1つ、ルーフォスは静かに目覚めた。目をこすり、辺りを見渡す。他の2つのベッドに、親友がそれぞれ寝てた。それで、自分の服を見る。親友達が、僕の為に買ってくれたパジャマ。



 そっか…。やっと、僕は外へ出れたのか。

 

 

 しみじみと、そう呟いた。上半身を起こして、後ろのカーテンを、勢い良く開く。眩しい光が部屋に差し込んで、翡翠色の瞳を細めた。それで、昨日ジャックがくれた服に着替える。少し大きい薄青色のシャツに、格好良いジーパン。


 もそもそしている間に、左の方のベッドから物音がした。どうやら、親友を起こしてしまったようだ…。ユウキがむくりと起き上がる。ぼぉと、こちらを見つめて…。


「おふぁよう」

 

 寝起きだからだろうか…。呂律が、回っていない。いつも、しっかりしているのに。

「おはよう」

 

 なかなか見られない面白い行動。我慢してたのに、クスリと笑ってしまった。途端、寝ぼけ顔から赤面になるユウキ。「な、なんで、笑うんだよっ!?」と言われた。そんな、たわい無い会話。あの頃に戻ったみたいで、とても嬉しかった。


 



 その後。ジャックの父親が「ご飯だよ~」と声をかけて、姿を表す。なんと、紺色のエプロンをかけて。その人は、ジャックよりも優しそうな顔立ち。姿はそのままジャックを大きくした、スマートな体格。


 そういえば、ジャックのパパさんに会うなゆて、久しぶりだ。なんて声をかければ良いのかわからず、固まったままの自分の目と目が合う。真顔から、ジャックと同じ笑み…「ニカッ」という人を安心させる優しい顔になる。

 それで、1人だけ爆睡している子供を見て。みんな良い子なのに、ジャックはなんでこうかな~、と苦笑しながら、また霧のように姿を消す。…たぶん、1階に戻ったのだろう。


 ジャックのパパさんが去った後。文字通り、ジャックをたたき起こした。痛いよ~と言うジャックを置いて、2人で颯爽と1階に下がる。

 スープや香ばしいパンの香り、…おいしそうな匂い…。ぐるるっ~と、腹ペコのお腹が鳴る。


 食卓の上には、4人分のご飯。

 ほかほかの焼きたてパンに、コンスープ。

キャベツの千切り、暖かいポテトサラダ。デザートに、ヨーグルト。


 ジャックのパパさんは、こっちを見るなり

人を安心させる…「ニカッ」という笑みを浮かべる。ジャックの笑いは、パパさん似なんだ。でも、どこか…懐かしい感じがする。自分でも、よく分からないけど…。


「おはよう。腹ペコだろう、

沢山食べなさい」


 そう言われて、各々席に座る。パパさんも、エプロンをはずしジャックの隣に座る。

 ジャックは、僕と同じで母親が居ない。

その為、パパさんは母親変わりに、家事全般を行う。そんな人だから、だろうか。とても料理にも力を入れてるので、パパさんの料理は美味と高評価だ。

 みんなで手を合わせ、一言。




 「「「「いただきます!!」」」」



 コーンスープを一口。口に優しい甘さ…とても、おいしい。こんなのおいしいのは、初めてだ。焼きたてパンだって、甘すぎない味。そこいらのパン屋さんより、絶対においしい。どこか高級そうなホテルで、出されてもおかしくない。そう思う程、パパさんの料理は美味。


「おいしい?」

 心配そうに聞いてくるパパさん。僕ら一斉に、首を縦に振る。そしたら、その人は心から嬉しそうな笑いを浮かべた。


 あっという間に、ヨーグルトまで食べ終わる。もちろん、空になった食器は台所に持って行くのを忘れない。それで、スポンジに洗剤をつけて、食器を洗っていく。

 

 パパさんに止められたが、それでも手を動く。お風呂やご飯、全てお世話になってるのに、お礼しないとダメだ。そう思い、思った事を実行する。僕が食器を洗って、ユウキが洗ったのを拭いて、ジャックが元の位置に戻す。


 全てが終わり、パパさんが頭を撫でてくれた。ゴツゴツして、あかぎれた手の平。痛そう…。

 その手が、いつか見た父親の手の平。…今は、もういない。酔っ払った…狂った軍人から僕を守る為、両親どちらも銃で打たれた。

僕の目の前で。その後すぐに、血のつながりもないバーヤに引き取られたから…生死を確認出来なかったけど。


 

 だから…だからだろうか。よく分からないけど。ジャックの父親が、お父さんに見重なるんだろう…。もう少し、こうしててもらいたい。髪型が乱れるのは、嫌だけど。たまには、良いだろう…。





でも、本当は…お父さんとお母さんと

もっと一緒にいたかった…。



 


 …僕、お父さんやお母さんに会いたい。

会って、またサーカーボールの蹴り方を教えて欲しいな。美味しいケーキ食べたいな。

 バラバラになった家族を思って、しばらく記憶の海に漂った。






 ☆☆☆


 …その数分後。

 遥か遠くの都市に、放火…火事が起こる。

聞けば、政府に反抗した…「自然」と「自由」、「安全」を求めるデモンストレーションをおかした者は自分たちと同じ目にあったらしい。その見せしめ、むごい殺され方を聞いた。



 串刺し

火破りの刑

 

 その中に、たった5才未満の子供もいた。罪ない人々が…殺された。

 それを聞いた時。確かに僕の中で、復讐の火が勢い良く燃え上がった。けして、許しはしない。そう心に、誓った。


 文章向上の為、様々な意見を募集中です。

お願いします


 変更その1

「AM→午前」に変更しました。

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