動き出す歯車
数分後。病院から抜け出して、どこか懐かしい丘にたどり着く。医者の格好したジャックに、降ろされる。
丘の上から見渡す景色は、遥か彼方見続けた風景。青から赤に変わる…太陽が沈む前。
いたって、何気ない…普通の風景。
「…覚えてるか?」
こくんと、首を縦に振る。忘れる訳ない。ここは、みんなで仲良く遊んでた場所だ。でも、僕が軍人に見つかり病院に閉じ込められたあの日から見なくなった景色。
「レーネは?」
「あの日以来、耳が聞こえない。呪いなのか、障害なのか…分からない」
「どうして、そうなった?」
黒髪の少年…ジャックは、黙り込む。
少し深呼吸して、何か言おうとした時。
「分からない」
ジャックの隣、栗色の髪を持つ少年…。ユウキが、ジャックの代わり言う。
「誰も分からない。あるとしたら、たぶんあの日…1年前のレーネの誕生日…」
あの日…レーネの15才の誕生日…。だんだんと鮮明に、記憶が戻ってくる。
あの時、国の政府ややり方は、子供である自分達も嫌だった。何でもかんでも、美しい自然を壊す事が。
僕達はこの丘の上…公園が好きだった。でも、レーネの誕生日前に閉鎖された。「1度だけでも」って、言って入ろうとした。でも、笑われて腹がたった。で、何人かでここに侵入した。でも、すぐに軍人に、足の遅いレーネ見つかった。軍人に捕まったら、何されるか分からない。だから、両親の片見…銃で打った。レーネの髪を、乱暴に掴んだ軍人を。
…生まれて初めて、人を打った。
その男の辺り一面、真っ赤に染まる。…まるで、薔薇が咲くように。その後すぐに、銃音を聞き他の奴らが駆けてくる。彼らに僕らが、その見つかるちょっと前。
僕は残り、みんなを逃がした。で、病院に連れていかれたとき、思った。あぁ…僕も、同じ。政府と同じことをした。何も話さず、武力で武器や物で傷つけあう。
醜く、愚かな行為。
憎しみ・悲しみ、負の感情は、連鎖する。
王は国民に、軍人は力ない人を、そうやって連鎖は止まらない。
こんなの、おかしい。なら、根源である政府…国を変えるべきでは?その疑問が、脳裏を駆け抜ける。それと、同時に複雑な感情も目覚める。
「…レーネに会いたい。後、あの日ここにいたみんなを集めたい。出来る?」
その場に集うものは、みんな頷く。と言っても、2人だけだが。「なら…」と言いかけ、ジャックから何かを受け取る…嫌、投げてきた。それを見下ろす。
それは、服。
ジーパンと薄青色シャツ…新品。視線をジャックに合わす。すると、彼特有の笑い…「ニカッ」と笑った。
「その前に、風呂。それからだ。
後、腹ペコだろ?」
そういえば…、白い入院服まま。粗末でボロボロ、みすぼらしい服。親友の何気ない優しさが嬉しかった。
それで、僕らは、ジャックの家に移動した。懐かしい日々が…光を戻した。そんな気がした。
無理やり書いたから、読みにくいかもしれません…。