進むしかない 2
テスト期間中ですが、投稿しました。
執筆中のを載っけので、脱語などある可能性あり。教えていただけると、ありがたいです。直しは、恐らく遅くなると思います…。
☆☆☆
ほぼ同時時刻。サイネルダ国内、
国で一番大きい病院。
ある個人病室。
まるで隠されるように、隔離されたある一室。真っ白で、広く開けた空間。そんな部屋の中心に、シングルベッドが一つ。そのベッドの上に、彼はいた。
銀の短髪の少年…ルーフォス
うつぶせになって、足を空中でパタパタしながら本を読んでいる。年頃にしては珍しい。マンガではなく、経済や社会についての雑誌。それを、端から端へと、じっくりと読んでいた。
仲の良い親友…監視が、隠れて渡してくれた外の唯一の情報紙。雑誌の中に、いくつ物の紙切れが挟んである。さすが、内通者。やる事は、違う。
それらの情報を、読みおとさず読み込む。どうやら、最近の治安がまた悪いらしい。対策も考えず、ただ破滅へと続く社会。
はぁ…と溜め息をつく。社会への怒りとやるさなさが、心を埋め尽くす。
僕は一体いつになれば、ここから出られるのだろう。あれから、もう一年が経つ。
本来なら、もう即退院しても良い頃だ。
それが、今ここで「入院」と言う名の鎖に、否……政府という権力で、縛られている以上、どんなに健康に戻っても出られない。
貴重な今。この一瞬、一瞬。
短いけど、大切な時間。この瞬間を楽しめないというのは、誰にとっても辛いことだろう。
家族や好きな人たちの時間。
仲間達との遊びや勉強の時間。
普段、何気ない楽しい時を、
そんな限られた時間を、
誰かに奪われ消されるとは、
これ以上の悲しい事はない。
僕は、そう思う。
ぐるりと首を回して、辺りを見渡す。
頑丈に、檻のように監視されている、
牢獄のような部屋を。
今、親友である友達が
見張りの役として、扉を見張っている。
半年前と比べ、防犯カメラや監視の人が
少ないらしい。しかも、雑誌に挟んであった紙切れには、(今現在の時刻の)扉の向こうにいるのは、仲間。もしかして、今ならー…。少年は、頑丈に閉められた扉を見つめた。騒ぐ胸を押さえて。
「もう…、出てみようかな…」
病室〔ここ〕から…。
でも、それは…この国の、政府、全てを敵に回す行為。革命を呼び起こす者を、政府は黙っちゃいない。それに、関係もない親友達やその家族さえ巻き込むことになる。前回はセーフだったが、今度こそ…みんな死刑だ。何も罪を犯してなくとも。失敗すれば殴られる程度で済まされない。隔離される程度では…許されない。もしものもしもを考え…数秒後。
…信じよう。
こんな僕の為に、一生懸命になってくれる
人たちがいるなら…。
枕下に、隠し持っていた銃を引き出す。
“革命の一番星”であった親、自分と同じ色を持つ片見。
神話の天使が刻まれた銀色の銃。
揺るがない覚悟の炎を、灯す翡翠色の瞳。
母さん、父さん…神様…。
僕には、あなた方みたいに、
勇気も力はない。とても弱い。
何も役に立たない僕ですが、
あなた方に憧れ、
自分のやるべき事をこなします。
僕は、頑張ります。
だから、見ててくださいね?
銃を持ち、少年は足を引きずりながら、
片手で重い扉を開く。開いた瞬間。大音量の警報機が、病室に鳴り響く。耳が壊れてしまいそうな、痛いソプラノ音。
目の前には、見張りや医者に化けた友人二人。その数名が、少年に向かい「ニカッ」と笑う。嬉しそうに。
もうすぐ、敵が来るというのに。バカみたい。目頭が熱い。泣いてる場合じゃないのに。
いつの間にか、僕は荷物のように担がれていた。ゲラゲラ笑う愉快な友人達に。「相変わらずのん気だ」と、逃亡する仲間の耳元で叫んでやった。
変更
「サイラトル」→「サイネルダ」