表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君の声~たった1つの願い事~  作者: セリオス・ケルツァート
第3章 叶わない願い、君に届け
16/22

様々な思い 2

 しばらくして、目の前が。

 金色に染まる。…何だろう。そう思っていたら、それは1人の女性の髪だった。顔は結構綺麗な顔立ちの人…無表情で、不気味だったが。顔からして、シルベットと同じ位…もしくは、少し若いかも知れない。

 シルベットは、その彼女ひとに手を振る。



「コッチだよ~!!マリン」




 マリンと言われた女性は近寄り、頭を下げる。


「…すみません。遅くなりました」



 年頃に似合わない、黒い制服。話からすると、たぶんTMSGの者だろう。


「いいよ。それより、さっ…」

 ルーフォスを指差し、話そうとした時。


「知ってます。革命軍のリーダー、ルーフォスさんですね。会った事があるので、分かりました」

 

 シルベットの話を遮り、淡々と事務的に話すマリン。僕は知らないよ、こんな人…。下品な言い方だけど、こんなグラマテスな身体の人の知り合いなんていない。目を背けながら。

 それに、その瞳には、冷酷で冷たい。冷たい氷のような翡翠色の瞳。レーネの同じ瞳。


「私、ルーフォスさんに助けられました。ありがとうございます」


 深々と頭を下げるマリン。


「嫌々っ!!何もしてないよ!」


 慌てて、上に顔を向かせる。手を離すと、またうつむいてしまう。1人で、オロオロしていると。それまで、黙っていたシルベットが口を開ける。


「…この子は、昔。国軍に酷い仕打ちを受けたんです。たった1人の母親の風邪薬を買う為に、安くしてくれと軍人に言った…。

ただそれだけだった。なのに…」


 また押し黙るシルベット。






「私は、国軍に何を……バカな大人達に……

何をされたか……分かりますか…?」

 途切れ途切れのマリンの声。





「私は、殺されかけました。捕まり……大人の玩具として。殺されかけた時、革命軍の貴方に助けられました。…覚えていませんか?

あの時の…ボロボロの子供達を…私を」



 言葉を失い、目を見開く。心の奥で、忘れていた記憶が蘇る。

 みんなとレーネで、軍人の牢屋を爆発させて。罪ない人達に助けたあの時を。その中いた、服をズタボロに幼い女の子。…その子が、今ここにいる子なのか…。



 その幼い子供だった…マリン。

「私はっ!!怖かったっっ……!!恐ろしかったっ!自分が壊さていく、自分と同じ子が殺されて行くのを。

 そんな絶望して自害をしようとした時、貴方が、貴方達が助けてくれたっ!」


 氷の仮面のような顔が、崩れるように、

壊れるように。……いつか見た、苦しそうな表情かおになる。


「…マリン。もう、辞めよう。ルーフォスさん、困ってる」


 マリンの肩を掴み、背中を撫でるシルベット。


「機嫌を悪くされたら、ごめんなさい。ルーフォスさん」


 淡々と話すシルベット。だが、その瞳は悲しそうに揺れていた。…泣いているようにも見えた。


「ルーフォスさん」

 シルベットの腕の中にいる、くぐもったマリンの声。


「…何?」


「私は、自分が汚くて、嫌いだった。絶望して、何度死のう…そう思ったか。

 でも、今を生きて、立ち向かって行く貴方達の姿を見て、私も頑張ろう。そう思った。

そう思わせてくれて、希望を与えてくれて

ありがとう」




 今まで抑えていた感情ほんね

 それが痛い程、分かった。



「君は、汚くなんかないよ。悪い大人達のせいだ。だから、自分を責めちゃいけない」








 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ