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君の声~たった1つの願い事~  作者: セリオス・ケルツァート
第3章 叶わない願い、君に届け
14/22

もう1度だけ…2

 マリーの店から出て、都市の墓所に向かう。手には、可愛らしい花束。持っていく相手へのプレゼント。今さっき、買ったばかりのお土産。


 大通りを挟んで、すぐ近くに設立された墓所へ着く。

 大理石で作られた白い墓達に、青々と茂る草。ここは、国の為に命を落とした革命軍の墓。

 

 …ここだ。

そんな墓の中、探していた墓を…

やっと見つけた。

墓に刻まれた文字を目読する。




『レーネ・サファイア

 革命軍の1人。享年16才。

国の為に、命を散らした少女。』





 その墓に、しゃがんでひざまつく。

そして、片足を立てて、花束を捧げる。レーネの遺体は、骨すら残らなかった。だから、この墓は空っぽ。だけど、ここに彼女がここにいると信じて、ひざまついた。


「ごめんなさい、レーネ。…こんな事になるなら……」


 あの日、君の耳が聞こえなくなる前に

気持ちを伝えとけば良かった…。あの時、もっと早く君を逃がせば……。

 後悔したって、遅い。彼女は、もう居ないのだから。もう…どこにも、居ないのだから。


「助けられくて、ごめんなさい」


 こんな姿見られたら、天国の彼女は……。きっと、怒るだろう。

僕だけ助かって、あれから22年も生きてる。

彼女の犠牲の上で、生きてる…。


 僕は、彼女の後を追うべきだった。だけど…この国を守る為に死んだ彼女達の…無念を。伝えて行かなけば、ならないから。それを理由にして、生きてきた。…逃げてきた。

 そんな僕を、怒る。嫌、許す訳がない。




 …けして、許さないで欲しい。




 じゃないと、僕が…僕はダメなのだから。

許さない人物なのだから…。


 だけど、だけど。



 そんな事より、レーネ。

 もう1度だけ、君に会いたい……。

 嫌、君の声が聞きたい。

 ただそれだけ。それだけが、

僕にとって……たった1つの願いだ。


 

 叶わない願いと知りながら、叶えと強く願った。

 強い自責、悲しみの中…。

 深い溜め息をつき、立ち上がる。そのまま

、フラリと歩き出す。



 いつか自身が、国軍の軍人に捕らわれた

丘の上を。レーネを傷つけてしまった、あの場所を目指した。






  

 

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