もう1度だけ…1
議会から出て、都市の大通りを歩く。
ふと、蛍光灯がたくさん灯る繁華街。
昼間だと言うのに、もう電気が着いている。
今日は、何買おうかな…。
と思いながら、八百屋の前で立ち止まる。
美味しいなキャベツ。これで、ロールキャベツも良いな…。あれから22年が経っても、1人暮らし。ずっと、1人。誰かと結婚すれば良いのに、と毎回ジャックに言われるが…。実の所、初恋って言うのか知らんが、レーネ以外好きになれない。
「お!革命軍のリーダーじゃないか!!
安くしとくよ!!」
見て分かる程嬉しそうな店の親父に言われ、苦笑する。首を左右に振る。
何も役に立ててないのに、そう言われ落ちこむ…。僕の身勝手さで、死んでしまった革命軍。仲間ばかり死に、リーダー(僕)が生き残った。その事を考えれば…、良い気持ちではない。
そのまま、立ち去った。
しばらく歩き、一件のカフェにたどり着く。ブラウンを基調とした店。その店に、スタスタと入る。
中に入ると、外見と同じブラウンを基調とした家具。落ち着きのある店だ。中を見渡すと、客が居ない。珍しい事も有るものだ。ここは有名店だから、いつも人がたくさんいるハズなのに。
「いらっしゃい!」
年を召した重みのあるマリーの声。白髪が少し目立つが、浅黒い肌は健全だ。
「って、なんだ。ルーフォスか」
「一応、客ですよ。僕は」
「ルーフォス、あんた40近んだから。『僕』から『俺』にしたら?」
「良いんです。癖ですから」
「にしても、ルーフォスは良いわね。あんまり年取ったって、感じがしないわ。私なんか、この通りよ」
自らの姿を指差するマリー。ふと、自身の身体を見る。40近いオッサンにしては、若く見える。肌もツヤツヤしてて、まだ20代後半って言っても過言ではない。
「良いじゃないですか。年を重ねる美しさも有るんですよ。それに…」
言うのためらって、止まる口調。
「それに年を取りたくも、取れない人もいるんです。例えば、亡くなったレーネとか」
マリーは居心地の悪そうな顔して、頭を下げる。
「…私のせいね。貴方の為だと思ったのに…逆に、貴方を苦しめる事になってしまった。本当にごめんなさい」
驚いて、彼女を上に向かせる。
「しょうがないですよ。なってしまった物は、なってしまったですから」
本当に…?心の奥の声が、問いかける。
その声を無視て。
「じゃ、また。今後!」
急いで、店の外を向かおうとする。
「ま、待って!新製品のコーヒーでも、飲んでって!」
マリーの声も無視し、店から飛び出した。