…戦い 2
伸ばした手が届かないっ!!
彼女は苦痛の顔をしながら、炎の中に消えて行く。その後ろに、あの男がいた。黒髪に、浅黒い肌。
僕らに憎しみと悲しみを与えた男
…現国王ジン。
怒号と悲鳴の中、彼は笑っていた。
本当に、本当に嬉しそうに。悲鳴を上げながら死んで行く僕らを見て。
この狂った空間で。何考えてるんだ…っ!?
「…お前が、ルーフォスか。私は、お前ら虫けら共、全ていらない」
彼は楽しそうに、笑い声をあげた。
それを見て、抑えていた狂気が胸の中で爆発した。
「いらない奴なんかじゃない!
大事な人だっ!!」
「うるさい、黙れ。やれ」
部下に命令し、去る男。部下を通り抜け、その男の背中に突進する。持っていた刀を刺そうとする。が、彼に薙払われる。
「…私に刃向かうか?面白い。勝負するのか?」
「そうだ!!」
男の口が、三日月の形に歪む。部下に「散れ」と言い、2人きりになる。
そして、構えて。2人の刃が、交差する。バリっと、火花が散る。
緊張感溢れる空間。どこもかしこも、赤く染まる視界。足元に転がる死体。それを出来るだけよけ、男に突撃する。自然と、押し合う形になった。だが、子供の力が大人に叶うハズなくて。もう、奥の手しかないな…。
「…どうやら、私の勝ちだな」
思ってる事を読まれた。バケモノ男に対して、笑う。
「…違うよ」
隠し持っていた銃を、引っ張り出して。
その次の瞬間。左手で、引き金を引く。
ーーーバンッ!!
耳が痛くなる銃音。…確かに、男の額を打ち抜いた。僕の銃が。
足元にある屍な上に倒れる男の身体。
ダランとぶら下がる自分の左手。
その手には、銀色の銃。