…戦い 1
…レーネと再会して、3週間。
8月の中旬頃。いつものように、都市にある政府に向かってデモを起こしていた
その時…。
国軍が出てきて、いきなり僕らを、銃で打ち始めた。女、子供関係なく…。
「撤退っ!!今は、命を守れっ!!」
響く声と銃音、悲鳴、怒号。
辺りが、赤く染まる。倒れて行く仲間。嘲笑う国軍。国軍が、赤ん坊を抱いた女性をも打ち抜く。…まるで、地獄絵だ。
「殺せっ!!ムダな人口だ!」
しわがれた低い声…現国王ジン。僕らの憎い敵が、目の前にいた。初めて見る王…おそらく、20代だろう。恐ろしく、若くて、鎧まで着ている。こんな奴に、台無しにさせてたまるかっ!!目を閉じて、思考を働かせる。
「ルーフォスっ!!」
幼なじみの悲鳴じみた声。その後、銃音。打たれた…そう思ったが、どこも痛くない。…助かった。薄目を開き、その瞬間後悔した。目を大きく見開く。
…彼女に抱きしめられた。
彼女の身体から流れる赤。
…大量の血。
赤く染まる視界の中、彼女は微笑んだ。
「…良かった。さ……きに」
逃げろと訴える翡翠色の瞳。
「何しんの!!早く逃げるわよ!!」
マリーの怒号。彼女が、僕の腕を引っ張る。待って!レーネと離れてしまう…っ!!マリーの手を振りほどく。懸命に離れまいとするが、離れてしまう。伸ばした手が、届かない。
レーネの背後に、誰かいた。その次の瞬間、彼女が炎に包まれた。
「レーーーーーーっ!!」
喉に絡みつく悲鳴。悲鳴なんて、初めて上げた。