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私はツイッター廃人

作者: 熊沢仁

 ソーシャルネットワークサービス。略してSNSの一種である「Twitter」。ミニブログとも称され、140文字以内の短い短文を投稿することで他人との交流をするサービスだ。この投稿のことを「ツイート」日本語で言えばつぶやき、という。「フォロー」することによってフォローした相手のつぶやきを自分のタイムラインに表示させ、それに関して受け答えなんかをして見ることによってコミュニケーションを取ることが出来る。

 去年の末ぐらいまで私はそのサービスで遊んでいた。その時の話をしようと思う。

 とある日私は「ただいま」と呟いた。


ちー「ただいまー」

→せら「おかえり♪」


 その時も間髪入れず返信が帰ってきた。せらちゃんはツイッターでの仲良しだった。私のつぶやきに色々反応してくれるし、とても気遣いの出来る女の子だと思っていた。最初に6人ぐらいフォローしたけどフォローを返してくれたのはこのせらちゃんだけだったから、他の5人はさっさとリムーブ(フォローしていたものから外すこと)していた。フォロバしてくれない人間に価値はない、とそう私は思っていたのだった。


 彼女とは一年ぐらい会話を楽しんだ。


→ちー『今日友だちが「私の学校の吹奏楽部は狂ってる!』っていってたんだ。何でかっていったらね、もうとんでもない変人揃いなんだって!」

→せら「人間どこか狂っているところはあるものだよ!」

→ちー「そうかな?」

→せら「そうだよそうだよ!」


せらちゃんは聞き上手だと私は思っていた。話に乗ってくれるしとても優しい女の子だったと私は思っていた。


ちー「きょうはね、前も言ったかもしれないけど、その吹奏楽部に友達ができたんだ!」

→せら「友達はねー、少なくてもいいから深い関係を作るほうが幸せだと思うんだ―」

→ちー「そー…なのかな」

→せら「そうだよそうだよ!」


せらちゃんは昔の話題も覚えてくれてるいい子だと私は思っていた。


ちー「友だちがね、『わたしの妹狂ってる』っていうんだ。でも自分の妹のことをそんなに言うのもおかしいと思うよね?」

→せら「人間どこか狂っているところはあるものだよ!」

→ちー「そうなの?」

→せら「そうだよそうだよ!」


 相談にも親身になって聞いてくれる可愛い子だと思っていた。


ちー「ねえ!聞いてよ!今日友達が私に『ねえ、その……Twitterってやってる?』って聞いてきたんだ!アイツもTwitterやるのかなー……」

→せら「友達はねー、少なくてもいいから深い関係を作るほうが幸せだと思うんだ―」

→ちー「そうだよね!ツイッター上でクラスの友だちと話しても面白くないもんね!」

→せら「そうだよそうだよ!」


 私はTwitterの側面に気づいていなかった。


ちー「明日はねー運動会なんだー」

→せら「暑いねー」

→ちー「そうだね、水分補給しなきゃ!」

→せら「そうだよそうだよ!」


 顔も見えない。声も聞こえない。繋ぐのはたった140文字の「つぶやき」。


ちー「昨日吹奏楽部の定期演奏会だったんだ―。友だちが『あいつら狂ってる』って言ってたけどそうはやっぱり思えないんだよねー……」

→せら「人間どこか狂っているところはあるものだよ!」

→ちー「そうだよね。みんな必死に隠してるんだよね!」

→せら「そうだよそうだよ!」


 私が彼女の正体に気づくのはうだるようなとある真夏の日だった。

 私としたことがあまりに暑すぎて、文章の途中で呟いてしまったのだ。


ちー「最近ほんと暑いよ狂ってる……ああ、友だちがサロマ湖で釣りの動画をとろ」

→せら「人間どこか狂っているところはあるものだよ!」


 私は固まった。このツイートでどうしてこのような返しをしてきたのかがわからなかったからだ。

 私は調べた。Twitterについてもう一度。


 私が「bot」というものの存在を知るのにさして時間はかからなかった。


※bot→自分のタイムラインや自分への返信に対して、自動で返信するシステムのこと。あまりにも普通な返信すぎてbotだと気づかないことがしばしあったりする。あなたのタイムラインにも数匹もぐれこんでる可能性が十分にある。気をつけよう。

僕の過去の活動履歴は見ないでね!黒歴史だから!いくらそこそこ人気があったからといっても黒歴史は黒歴史だから!

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