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微笑みを貴方様に~鏡をください、国の存亡がかかわってます~

 



 えっと、ようやく呼吸も落ち着きました。


 頭も回るように回復したところで、ようやく私は命の恩人の丘を拝見しました。


 燃えるような赤い髪、それと同じ炎を宿したような瞳。


 この国随一の騎士にして、かの人食いドラゴンを倒し帰還した若き英雄。


 そして、この王太子殿下の親友にして、幼馴染でいらっしゃる



 バレッド=カルディオン将軍その人でございました。



「初めまして、レディシンシア。


 バレッド=カルディオンと申します。


 どうぞ、お気軽にバルとお呼びください」


 優雅な騎士の礼を取られて、思わずぼんやりしてしまいましたが、私も礼を取らねばと頭を下げようとしたところで、


「シンディ…たとえ相手がバルであっても、そのように見つめないでほしい…貴女の瞳に映るのは私一人だけで十分だ」


 とぐぃっと首をひねられて私の視界は殿下でいっぱいになりました。


 近いです。めっちゃ近いです。


 そして、なんか妙に怖いです。




「おいこら、独り身の前でいちゃつくなよ、たく。


 ジェイド、シンシア様を医者に見せるんだろ?いちゃつくならその後にしろ」




 いちゃついてるように見えますか?


 そうですか、私割と今顔面蒼白って言葉が似合う顔色してると思うんですがね。


 顔面蒼白で思い出しました。


 私は殿下の顔を勇気を出して見つめました。


 さっきは起き抜けであんまり気が回らなかったし、すぐさま命の危機さらされたんでよく見ていられなかったんですが、やはり殿下は顔色が悪く目の下に隈を作っていらっしゃる。


 私より断然お医者様が必要な感じだと思うんですが…




「えっと…寝ていらっしゃらないんですか?」



 ふと、声をかけてから気づいたんですが、私から殿下に声をかけることって確か不敬罪にあたったような?


 やばいと思いましたが、殿下はなんだか幸せそうに微笑まれました。



「心配してくださるのですか?シンディ。


 貴女に心配をかけるなんて…と思うのに、こんなに幸せな気持ちに包まれている私はなんて罪深いのでしょうか?」



 若干まだ、王太子殿下の奇妙な言動には引きますが、人間というもの慣れるものなんですね。


 とりあえず、鳥肌は立ちませんでした。


 全力で逃げ出したい気持ちは決して消えませんが、鳥肌は立たなかったんです。すごくないですか?




「ジェイド、俺の話聞いてるか?シンシア様を医者に見せるから離れろって!!


 大体、シンシア様はさっき目が覚めたんだろ?無理させてまた倒れたらどうするつもりだ?


 それにお前もだ。その顔色の悪さ。


 その整いすぎた顔でその顔色だと、悪霊か悪鬼みたいで、夜中に会ったら次の日朝一で教会行ってお祓いしてほしくなるぞ」


 一国の次期主にここまで言えるって、いっそ清々しい(すがすがしい)ですね。


 将軍ってすごい。なんだか尊敬します。





 しぶしぶっといった風に殿下は将軍に連れられて部屋を出て行かれました。




「シンディ。貴女の傍を離れなければならないなんてッ…


 …すぐに戻ります。


 次に私が貴女のもとへ訪れた時はどうか笑顔で出迎えてください。


 そうでなければ、私は深海より浮上することが出来ずに、苦しみのあまり敵国を2、3火の海へと変えてしまうかもしれません。




 …冗談です、面白くありませんでしたか…?


 あぁ、でも笑顔で出迎えてほしいというのは本気です。


 また、来ます。私のレディ」





 と、色々これぽっちも笑えない冗談を残しながら。














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