牢屋で優雅なティータイム~涙の味がします~
街中でで盛大に転びました。
休日で人が沢山あふれてて、さらにその日は王太子殿下の誕生セレモニーで人がいつもの倍以上いる状況でさらにさらに王太子殿下のパレードの真っ最中、つまり本日のメインイベントの真っ最中です。
えぇ、思わず「うわぁ…」と自分自身に呻くほど派手にです。
そんな状況下です。「大丈夫ですか?」と親切に声をかけてくれた方に思わず顔面パンチを食らわせたとしても、この際許してもらえるかと思うんです。
いや、それくらいパニくっていたんです。
ほら、その時の私って、正直正常じゃなかったっていうか…
ね?仕方ない気がしませんか?
だって、あれですよ?パレードの為にあけられた道に思いきり頭からダイブしたんですよ?
だから、どうか…どうか…っ
「…死罪だけはお許しくださいぃぃぃ~~っ!!!!!!」
・・・・・・・・・・・・・・
初めての王宮は牢屋の中でした。
白を基調とした洗礼された調度品。
壁にかかった絵画はなんだか教科書で見たことあるような無いような…
目の前の机の上には品のいい香りがするお茶とお菓子。
隅々まで磨かれた体にベビーピンクのシフォンのドレス。
って…
「ぇえええええええええッ?!これ牢屋ッ?!!
いや、壊したり傷つけたり汚したりしたら一生働いても返せないから怖すぎて一歩も動けないからある意味牢獄?!!!!
え、何これ何これ?!最後の晩餐的な何かなの?え?死罪?死罪決定だから最後の晩餐的な?
ひぃいぃぃぃぃぃぃっ!!」
コンコン
ノックの音にとりあえず我に返り首だけドアのほうに向ける。
動けないから。
ドアがゆっくりと開き、優雅な動きで、万人を魅了する微笑みを浮かべてこちらに歩いてこられてる人物。
「ご気分はいかかですか?」
甘く響く、テノール。
青く澄んだ真夏の空のような瞳。
星のきらめきを集めた御髪。
間違えようがありません。
「お、王太子殿下…」
ジェーデレイド・シュバルツ・サーナイド・リコリス王太子殿下その人であります。
「どうか、ジェイドとお呼びください、レディシンシア」
ぞわわわわ。
鳥肌です。
れ、れでぃ?
「貴女のことをシンディとお呼びしてもよろしいですか?」
そっと、左手を握られました。
ぞぞぞぞぞぞ。
鳥肌です。
本能が警鐘を鳴らしてます。
だくだくと嫌な汗があふれ出てきます。
「シンディお願いです。私の妃になってくださ(メリっ)」
全身の血が下へ下へ下がっていくのが手に取るようにわかります。
まさか、人様の顔面に拳がめり込むという体験を人生で2度も体験するとは思っていませんでした。
しかも同じ相手です。
どうせ手を握るのであれば、右手をふさいでくれればよかったのに。そしたらほら、利き手だったし?もしかしたらそんな体験する必要なかったのに。
とか、人のせいにするくらい私は冷静だったのか、はたまた人のせいにしなければ心を保てなかったのか。
まぁ、とにかく。
「い、いやややぁやあやあやややあぁややああやゃあやあややあやややぁっ!!!!!!!!!!!」
頑張ります。よろしくお願いします。