表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/7

EP③ コトリと千代

 「ついにコトリも召喚士かぁーー!頑張ったね!」

 「ありがとう!やっとだよー!千代(ちよ)には一番に報告したくて、、」

 「そんなに急がなく良かったのに、、」


 厳密にいえば二番目なのだけれど、、

 契約を終えた私は家に帰ってまずお母さんに報告した。『あら!よかった!素敵素敵!』とお母さんに言われたが、まだこの感動を誰かと共有したくて、唯一の親友、宮尾(みやお)千代(ちよ)の家に来ていた。唯一と言っても、他に同年代の子がいない訳ではない。他人と関わるのが苦手な私が、唯一心を許して話せる相手が千代しかいないというだけの話しだ。


 「契約っていうからもっと難しそうなイメージだったけど、案外サックリと終わったよ」

 「干支神(えとがみ)だもんね!いいなぁー!私の家は土竜(どりゅう)を祀ってる家系だから、、モグラだよ、、」

 「モグラ可愛いじゃん!千代も契約したの?」

 「それはね、、私も16歳だし、、」


 召喚士が暮らすこのサマニエ村では、16歳になると神様と契約ができる。できるというと任意的なことかと思うが、それは半ば強制的に16歳になったら契約をすることが義務付けられている。いつ魔王に襲われ、滅びるかわからないので、契約の秘伝を守る観点から、16歳になったら、それぞれの家で祀っている神様と契約することになっている。それぞれの家系で祀っている神様が違うので、契約の仕方もそれぞれ違う。契約の話をすると千代は恥ずかしそうに、置かれている飲み物の入ったグラスをクルクルとまわし、モジモジしている。


 「契約の仕方…どんなのだった?」

 「守秘義務があるのでノーコメントで!」

 「えぇーーー!いいじゃん!!、、私達親友でしょ⁉」

 「親友でもダメなものはダメ!!絶対に教えません!!!」

 「もーー!千代は頑固だなぁー!」

 「コトリが軽率なんだよ!」


 頑なに教えてくれない千代をこれ以上攻めても意味がなさそうなので、話題を変えることにした。


 「じゃあさ!お互いの神様を召喚して見せ合いっこしない?」

 「シール交換ぐらいの軽いノリで言わないでよ」

 「でもでもさ!これから共闘したりすることもあるだろうし、そこで初めましてってするよりは今顔合わせしてた方が何かと良くない?」


 私は千代の顔にぐっと近づき、澄んだ瞳(自称)で千代の顔を覗き込む。心底めんどくさいという表情をした千代が、持っていたグラスのお茶を一口飲み、溜め息まじりにつぶやく。


 「顔合わせって、、お見合いじゃないんだから、、」

 「ダメ、、かな?」


 千代は悩んだ顔を浮かべたが、少しして、小さくうなずく。


 「はぁ…わかったよ」


 まさかの承諾!嬉しすぎる!私は気持ちを抑えきれず思わず千代に抱き着いた。


 「やったぁー!ありがとう!!」

 「召喚してもいいけど、、あとで後悔しないでよ!」

 「しないよしないよ!、、、え?、なんか問題あるの?」


 抱き着いた私の肩を千代がかかえて私と距離を取る。神妙な面持ちで千代が語る。


 「私のモグラは、、ちょっと癖があるから、、コトリの寅さんはどうなの?」

 「うーん。。正直まだ良く知らない」

 「、、それでよく見せ合いっことか言えたね。それ寅さんに怒られないの?」

 「たぶん寅は怒らないと思う、、ます」

 「思うます?…本当に大丈夫?」

 「大丈夫大丈夫!」


 多分大丈夫だよね?でも虎の姿で召喚されたらどうしよう、、家の中じゃまずいよね、、


 「ねぇ千代!もしかしらとらとらで召喚されることもあるから外でトライしてもいい?」

 「トラトラうるさいな、、いいよ!じゃあ村の外まで行こうか」

 「了解!」


 私達は、村外れの森まで行くことにした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ