2話 モールデート
ター「ってわけで…俺は今日学校終わりデートになった」
サクラ「えー!恋愛ドラマみたい!」
スティーブ「すごい展開だな…」
カイト「でも…ガチならかなりのチャンスじゃないか?それ…」
ター「…(その通り…なんとしてもこのチャンスは逃せない…)」
カイトは顎に手を当てながら言う
カイト「絶対に次にも繋げろよ?」
ター「あ…あぁ…」
その時サクラは食い気味に話には入り言ってくる
サクラ「ねぇ!その娘の写真とかってある?」
ター「写真…?えーっと…アイコンにも設定してないなぁ」
メールアプリを見るもダメ…SNS…やってなさそう…
ター「ああいうタイプは親に制限されてるからなぁ…」
カイト「結構情報なしか…」
スティーブ「デートするにしてはかなり…良くない状況かもな」
ター「あ!ってか…服どうしよ…」
サクラ「あー!!!そうじゃん!って…もしかしてター…思い出さなかったらその唯一の生き残りのカウボーイみたいな服着てたってこと?」
ター「否めない…」
カイト「俺はそういうの好きだけどな…」
スティーブ「あぁ…悪くないよな?」
サクラ「えぇー…男って好きなんだねーそういうの…」
サクラは悩ましげに言い
サクラ「でも…女の子の私なら、的確なアドバイス出来るかも…」
ター「まじ?なら話が早い…なに着れば言い?」
サクラ「う~ん…この前ターの家行った時に着てたセーターとか?結構よかったかも」
ター「ああいうのか…良いんだけどなぁ…」
サクラ「あ…いっけない…デートって誰かが監視するかもって?」
ター「予想だけどな…」
カイト「いや…案外やりかねないな…ターが話す通りの親父だったら…」
スティーブ「ありえる…」
スティーブとカイトは頷きながら
ター「そーだよなぁ…」
ター「…(やっぱ普通の服じゃダメか…大体…あんな豪華な地雷系みたいな服に合う服なんて…)」
ターはワードローブ内を徹底的に思い出す。
なんだこれ
そう…まじで空なのだ、服なんて買ってこなかった。
ター「やばい…服ほとんどねぇよ…」
サクラ「うーん…さっきのセーターじゃダメ?」
ター「ウケるんだろうけど…あのタイプに刺さると思えねぇ…」
カイト「困ったな…あ…」
カイトは何かを思い付いたように上を向きターの隣に立つ。
ター「なんだよ…」
カイト「体重いくつだ?」
ター「63kgぐらい?」
カイト「同じ同じ…身長もほぼ同じ…よしきた!」
サクラ「え!もしかして、カイト貸すの?服」
カイト「その通り!俺なら良い感じの用意できる…!」
ター「え…でも良いのかよ…」
少し渋るター
カイト「お前が渋ってどうすんだよ…良いから貸すよ…えっと…そうだな…」
カイトは再び顎に手を当てながらターの立ち姿を下から上へ見る。
カイト「…もうあれだな…黒シャツに…黒パンツで…」
ター「なんか適当だなぁ…」
放課後デート前。
ター「よし…着れたぞ…」
ターは借りた服を着て見せてみる。
カイト「おぉ…」
サクラ「なんか…ピッチリ?」
ほぼ競泳用スーツだった。
スティーブ「ター…筋トレだけはしてたのが…裏目に出たな…」
ター「いや…カイトが細いんだよ…なんで俺と同じ体重なんだよ…」
カイト「ま…悪くないんじゃないか?でも…俺は…わりと…良いと思う…」
スティーブ「俺も悪くないと思う…」
サクラ「えー…でも…」
サクラが言いかけたその時。
ター「多数決でこれでいく」
カイト「よっしゃ…じゃ…頑張れよ!」
スティーブ「お前なら出来るぞ…」
サクラ「ふーん…もうしーらない…」
ピロリン…スマホに通知
ター「っ…!」
ターは瞬きより早くスマホを取り出し見る。
ター「やばい!瞳からだ!」
カイト「な…なんでそんなに焦ってんだよ」
ター「話したとおり…すぐに返さないとで…」
メール:今どこにいるの?準備できたの?父上と迎えに行くわ、どこで拾う?
スティーブ「なんだ…別にそこまで怖くなさそうだな…優しいメール」
ター「実物がえぐいんだよ…」
カイト「ま…分かりやすく…学校近くのどこかで拾ってもらえ…」
ター「そうだな…え…えっと…行ってくる!」
サクラ「頑張ってねー」
ター「おう!」
ターは家を飛び出す。
メール:そしたら高校近くのあのコンビニで!
~コンビニ~
ター「…(あ~…怖いなぁ…)」
そう、ターの心配は二つ、まず絶対に高級車でくる、なんか…怖いのだ、二つ目は確実に何か言われる、瞳からでもあの親父からでも…。
ター「…(ってかそもそもなんだよ…彼氏のふりでモールデートって…)」
ターは考える、もしかしたら本当に彼氏だった場合あの場でスパッと言えたのでは…?
ター「…(無理)」
プップッ!
クラクションの音
ター「あ!どう…も…」
勿論高級車…いや、とてつもない高級車、ターは恐る恐る近付くとドアが勝手に開く。
ター「…(お~…って感心してる場合じゃない…)」
そう、なんせ運転席からガバナが睨んできている。
ター「や…やぁ…瞳…」
瞳「えぇ…ター、元気にしてたかしら?」
ター「まぁね…」
とりあえず恋人っぽい会話をしながらその場は乗りきれた…はず…。
ガバナは運転しながらこちらをミラーでチラチラ見てくる。
ター「…(ひぃ~…怖い…ってか…運転に集中しろよ…)」
瞳は何かを察したのか手を重ねてきて言う。
瞳「今日は楽しみね?」
ター「あ…あ…うん…そうだなぁ…はは…」
瞳の視線が変わり睨んでくる…まるでこう言ってるようだ。
瞳「下手すぎ…」
ターは挽回するために大きな作戦に出る。
ター「瞳~本当に会えて嬉しいなぁ…」
そう言いながら瞳の肩に手を回す。
瞳「っ…」
やばい、嫌がってる、冷静に考えたらそうか、これは演技!しかし瞳、流石に利用するか。
瞳「いやぁねぇ…本当に…私もよ…」
勿論…。
グリグリィ…
瞳の靴で足をえぐられているが…。
その後数分後。
ガバナ「着いたぞ…瞳…」
瞳「ありがと…」
瞳は先に車を出ていく。
ター「は…はは…お父さん…ありがとうございました…」
ガバナ「おいおい…よく聞け…俺はまだお父さんと呼ばせるつもりはないし、これからもない、あいつの相手はお前みたいな男じゃない金持ちのボンボンが良いんだよ…それと、俺が気に入ろうがなかろうがどうだっていい…美世財閥を汚すのは許さんがな…」
ター「…」
ガバナ「娘の相手に庶民オプションなんて存在しないんだよ…わかったか?」
ターは拳を握る…。
ター「…(こいつ娘をなんだと思ってんだ…)」
ガバナ「ほら…行けよ」
ター「えぇ…では…」
ターは車を降りる。
瞳「何してたのよ…遅いわね…」
ター「いや…別に…」
瞳「…ふぅん…」
瞳は少しこちらを見ながら言う。
瞳「まぁいいわ…はぁ…にしても何その格好」
ター「あ…え?」
瞳「筋肉バカ…」
ター「…(お~意外にもドキッとする…これは俺の癖…)」
瞳「はぁ…その筋肉…脳の代わりに働くでしょうね?」
ター「あぁ…頭はキレなくとも筋…」
そのまま瞳に連れられモール内に入る。
~モール~
ター「…(なんだろ…なんか変だな…通る人通る人がこっちを見てるような)」
瞳は顔を合わせずに前を見たまま言う…
瞳「人…少ないでしょ?円滑にデートさせるために入場人数を限らせた他に…何十人か…監視がいるわ…」
ター「そ…そこまでするのかよ…」
瞳「ほんとよ…もう…とにかく…見える人全員監視員だと思ってて…」
ター「はーい…(ゆっくりも出来ねぇのか…いや…出来ないかそりゃ)」
そのままモール内を周り。
ター「にしても綺麗なショッピングモールだなぁ…」
瞳「できたばかりだし、管理が行き届くようにしてるのよ…まったく…馬鹿親父なんだから…」
ターは見渡しながらひとつ提案する
ター「あ…アイスクリーム…なぁ…せっかくデート…」
瞳「疑似…」
ター「ぎ…疑似デートなんだしアイスどう?」
瞳「良いわね…行きましょ」
瞳と一緒にアイスを買いに行く。
ター「えーっと…俺は…バニラかなぁー…」
瞳「私はストロベリーで…」
ター「オッケー…すみません…」
そのまま店員さんに声をかけアイスを買う…その支払い時だった…。
店員「お支払は…?」
ター「これで…」
そう言い財布からお金を出そうとした時。
瞳「はい…お釣りはいらないわ…」
瞳はしっかり店員の目を見て言う…。
ター「っ…(なんだよ…俺が払おうとしてたのに…)」
店員「ありがとうございましたー…」
ター「あ…えと…お金は…」
瞳がアイスを受け取った後聞く。
瞳「良いのよ…これは私から付き合わせてることに対しての謝礼よ…ありがたく思いなさい。」
瞳はそのまま手に持ったアイスをターの口に咥えさせる。
ター「ん…ほりゃだうも…」
ターは咥えながらもお礼を言いアイスを一緒に味わう。
ター「…(さて…次はどうするかなぁ…)」
続く。