1話 一目惚れ
今日も平凡な1日だ…ターは学校に向かいながら考えていた。
ターの高校は私服で行ける…そう、ターはこの高校入学する前はもう少し華やかになると思っていた、私服で自分を表そうと思っても失敗…中々上手くいかない。
ター「…(俺ってなんなんだろーなー…まぁ…美味いもの食べて…ゆったりしながら生きる人生…悪くない…か…)」
とか言って…実際はカップ焼きそばと深夜テンションだけで生きている人生。
そーんなのんきな考えをしながらも学校に向かう足を止めない。
学校に着く…ターの学校は単位制の広い学校で早めにきたため待つ必要があった、そこでターはゆっくり待つために広く席の多いラウンジで待つことにした。
ラウンジは木で出来たオシャレでカフェのような場所…勿論いる連中は高校生とだけあって多少はうるさい…が…ターにとってはこの雑音がまさに暇潰しだった。
ター「…(あー…早く二限目にならねぇかなぁ…)」
ターは背負ってきたリュックを机に置きドサッともたれかかる。
ター「…(ふぅー…)」
その時だった…。
コツ…コツ…
高い靴の音…。
ハイヒール?みたいな?
ターは昔西部劇が好きでブーツのカッ…カッ…音には目がなかった…つまり…音のする方向をついつい見てしまうし、買って今も履いてる。
そこには…
ター「…お…ぉ…」
ターはまさに声が出なかった、目の前にいたのは一目で身分が違うと思える女性だったからだ。
ター「…(な…なんてこった)」
女性…いや…同じ高校生、しかし…黒の地雷系のヒラヒラしたドレスのような服に黒いポニーテール…ピンクのリボン…そして極めつけはピンクの瞳。
地雷の女神…
はっきり言ってその一瞬…いや…この先も彼女が世界一美しいだろうと思えるような女性が…ゆっくり…コツ…コツ…目の前を歩いていった。
ター「…(レ…レベルが…違う…)」
一瞬でそう思えた…しかしそれもつかの間…彼女はどんどんと歩いて行ってしまった。
ター「…(誰だろ…あんなの初めてみた……それもそうか…入学してからまだ3ヶ月…それに単位制…見たことない人がいてもおかしくない…にしても…あんな格好普通目立つのに…着てくる…いや…そこにビビっとくるようなものが…)」
※ターはサスペンダーやらなにやらガンマンみたいな目立つ服です。
そう考えてる内にわずかな手がかりだった靴のコツ…コツ…とした音も聞こえなくなっていた…。
ター「…(しまったぁぁぁぁぁぁ!声をかけるチャンスが消えた…)」
ターは一瞬そう考えたが…再び思考を尖らせる。
ター「…(いや、かけられるわけがない!
相手の靴が1万円以上の音してたんだぞ?
身分がちげぇ…心まで潰れる!)」
ター「…(だいたい…声をかける?俺が…?いや…こんなの考えたの初めてだろ…俺…いや…まさにあの女性のパワー…パワーなのか?)」
ターは慌てて席を立ち辺りを見渡す。
ター「…(あぁ…俺の恋…だったのかも気付けず三秒で終了…)」
インスタのストーリーより短命な初恋だった…。
キーンコーンカーンコーン
ター「やべ…」
一限目の授業が終わったチャイムだ…いかんいかん。
ターは慌ててリュックを背負い指定の教室まで駆け足で行く。
そうして授業が始まる。
先生「であって…ここからさらに…」
先生が授業を続けているがもはや頭に入らない。
コツ…コツ…
足音がリピートされる…。
ター「…(あぁぁぁぁ…!ダメだ…なんで恋というものはここまで精神に異常をきたすんだ!くそ!)」
コツ…コツ…
ター「…(ん…?待てよ…この足音は俺の脳内じゃない…)」
ターはハッとする…。
ター「…(廊下からではないか!!!!!)」
ターは一瞬席を立ちそうになった。
ター「…(待て待て!この授業の出席…絶対にとっておきたい…それに…3ヶ月目で授業急に飛び出すやつなんて絶対に目をつけられる…くそ…!)」
そしてターは思い出す…学生時代、目立つやつは大体プリント係だったこと…
ター「…(こんなんでこき使われてたまるかよぉ…)」
その時…廊下から声が聞こえる。
先生2「ハヤシ先生!今良いですか?」
ハヤシ「はい!構いませんよ…どうしました?」
ター「…(っ…ぶねっ!全然違う人だ…ハイヒール履いてんじゃねぇよぉ…紛らわしぃ…)」
そうしてターは会ったことも聞いたこともない、ハヤシ…という人物に"何故か"一生の恨みを持ち授業を聞き続けるのだった…。
キーンコーンカーンコーン…
ター「あ…」
授業終わりのチャイムだ…。
ター「…(やっと解放される…だいたい…はぁー…なんで歴史なんて学ばないといけないんだか…ほとんど飲み会の上司の過去の栄光聞いてるようなもんじゃないか!)」
ター「…(昔は俺もすごかったって…酔って語るお前の三国志なんぞ聞きたないわ!)」
そんな愚痴を脳内で溢しながらリュックを背負い教室から出る…勿論行く先は…次の授業の教室。
ター「…(あー…なんかの奇跡で会えねぇかなぁ…)」
ミラクルがコンビニで買える時代だったら…。
ターはもどかしい気持ち一杯で次の教室に向かうのだった…。
と…勿論次の教室での授業も退屈で靴の音のリピート…高貴な姿の女性…そんなので脳内一杯!
しかし時間は流れていく…ターはあっという間に終わる三時限目の授業の内容をなんとなく覚えながらいつもの場所に行く。
ター「…(えっと…X × YはなんやかんやあってZと…)」
詰め込みすぎは脳に支障をきたす…ターは考えるのをやめていつもの"集合場所"に行く。
ラウンジを出てすぐ右に曲がるとちょっとした空間がある…柱も一つ…そこにリュックを置いて友達を待つ。
ター「ふぅ…」
ため息をつきながら柱に寄っ掛かり座る。
ター「…(なんだか色々あったなぁ…)」
そんな気がするだけだった。
ピトッ。
ター「…ん?」
???「おつかれさん…」
ター「カイト…」
カイト「なんか今日元気ねーな?なんか…ボクシングの漫画みたいな…」
ター「そんなにねぇか!?」
カイト「あぁ…まじでないように見える」
ター「ま…まぁ…あれだよ…ほら…歴史の授業と数学がさ…」
カイト「うわ…ダブルパンチかよ…お前火曜日の授業構成辛いな…」
そんな事を話してると友達が続々とくる。
スティーブ「おいおい…ター…平気か?」
ター「んだよ…スティーブまで…」
スティーブは日本に来て二年…高校生二年生で一年の時の高校から編入して来たらしい…なんせ前の高校は自分に合わなかったと。
スティーブ「なんだっけな…あれ…ボクシングの…」
ター「もういいってそれ…」
スティーブ「え?被ったか?」
カイト「それ俺も言った笑」
二人して笑っている。
ター「…(殴り倒してぇ…)」
そう思いながら立ち上がると。
???「おっはー!」
元気な挨拶…間違いなく…。
スティーブ「お…サクラ…」
サクラはカイトの友達で和にいれないかとのカイトの提案でグループに入っている…はっきり言って…こいつがいないとグループの明るさは50%も減るだろう。
それに…ピンクの目立った髪はこの学校で彼女だけだろう。
サクラ「え…ター…どったの…なんか家全焼した人みたい」
ター「もっとひでぇ…」
スティーブ「なんかさっきから元気ないよな?いつもなら…こう…イェーイ…って感じなのに」
カイト「ま…ターにもそういう時くらいあるだろ…」
ターはなんとなく頷きながら水を飲む
カイト「失恋とかなっ」
ター「っ…!」
ゲホッ…ゲホッ!
ター「…(しまった…意味ありげなタイミングで咳を…)」
カイト「えっ…」
スティーブ「おっと…これは…」
三人が集中して見てくる。
ター「…っ…」
カイト「…お前ん家…もう行けないのか…」
ター「全焼した方じゃねぇよ!」
カイト「えっ…」
ター「…(しまった!チャンスだったのに言ってしまった…)」
スティーブ「お前…いつからボクシング始めてたんだよ…」
ター「それやめてくんね!?」
その後…なんやかんやあって…
サクラ「へぇー…そんな綺麗な人いたんだ…」
ター「いやぁ…あれは伝説だと思ってる…いまだに…」
カイトも顎に手を当てて悩ましげに言う
カイト「まぁなぁ…俺達も見たことないんじゃなぁ…」
ター「…一体どこで出現するんだか…」
カイト「草むらうろうろしとけばいいんじゃないか?」
ター「モンスター扱いすんなよ…」
サクラ「でもぶっちゃけさぁ…ここ広いっちゃ広いけどぉ…人探すくらいなら簡単な気がするけどねぇ…」
ター「いやいや…ストーカー紛いのはなんか違うんだよなぁ」
サクラ「っていうか…ターって彼女いたことないのにアタック出来るの?」
ター「…」
何度もこだまする…クリティカルヒットだった…。
サクラは時々こういう時があるのだ…天然だからこその攻撃。
カイト「はははっ!確かにな!」
カイトは大声で笑う。
スティーブ「あぁ…かなり考えるべき所だな…」
スティーブは少し笑いながら続ける。
スティーブ「こう…もっとパッとする何かがあればな…」
ター「何かって?」
スティーブ「いわゆる…外見的にさ…その女性が高貴だったなんなら…もっと自分も合うようにならないとだろ?今のターは…あー…」
カイト「見向きもされないだろうな」
ター「うるせぇ!…(しかしなんの努力もなしに声をかけたり…あわよくば付き合えるはずがない…そんなのは夢物語…ならば…)」
ターは思いっきり立ち上がり言い放つ!
ター「決めた!俺!頑…」
キーンコーンカーンコーン
昼休み終わりのチャイム…
ター「…」
ターは開いた口を閉じれずに突っ立ってるだけだった。
カイト「はぁ…宣言で失敗しちゃぁ…もうおしまいだよな…」
サクラ「うんうん」
そう言い三人はそれぞれ授業に行ってしまう。
ター「…はぁ…」
ターはため息をつきながら帰路につく…
火曜は授業は三時限目までだからだった。
ターはその前に図書館に行き魅力というものを調べに行くのだった。
~図書館~
ター「…(ふむふむ…魅力とは…概念…知ってんだよなぁ…)」ペラリ…
魅力的な男が持ち合わせてる物は主に三つ…話術…優しさ…マッスル!
ター「…(なんだか一つ浮いてるが…そういうことか…確かに俺は細身…こんなんじゃ女性のビンタ一つで全身骨折…まずはトレーニング…しかし…話術と…優しさ…か…俺…優しいのかな…)」
※ムキムキで振られた事があるレベルです
その時だった…コツ…コツ…
ター「っ…」
心臓がバクバクする…
顔をゆっくりあげると…
ター「…(あ…あ…あの娘だ…)」
先ほどの…黒い髪のピンクのリボン…髪型は…なんかさっきと違う名前知らんけど横だけ結んでるやつ!
ター「…(っ…怯むな…今度こそ…今度こそ!)」
とはいいつつも席を立てない…そりゃそうなのだ…目の前にいるのは主観とはいえ世界一綺麗な女性。
ター「…(ここでやらねば…)」
女性は一冊の本を持ちカウンターに行く
???「これ…借りたいのだけれど」
係の人「えぇ…勿論よ…学生証は…?」
???「これよ…」
女性は学生証を見せる
ウツヨ ヒトミ
係の人「えーっと…美世…瞳…?」
ター「…(うぉぉぉぉ!ないすぅぅ!…おばあちゃんによくある読み上げるやつ!ここにきて役にたった!)」
瞳「ええ…そうよ…一週間だったわね?」
係の人「はい…そうよ…一週間で…ここにまたもってきてね…」
瞳「分かったわ…ありがとう…」
そう言い図書室を出ていく瞳。
ター「…(瞳…か…良い名前…しかし…美世…どこかで聞いたことがあるような…まぁいい…この際玉砕覚悟!)」
ターは急いで読んでいた本を本棚に戻し図書室を出る。
ター「すみませーん!」
瞳「…?」
瞳が振り返る
ター「え…えっと…俺…」
その時だった…
???「瞳…見つけた…向かいに来たというのに何故すぐ来ない…」
ター「ぁ…え…(誰?)」
瞳「…本を借りてたの…」
???「借りてただと?そんなの買えば良いじゃないか」
瞳「そんなの私の勝手でしょ?普通の高校生の暮らしがしたいの…!」
ガバナ「普通だと?美世財閥の娘という以上私の言うことを聞いてもらう!拒否するなんて許すわけがないだろ!この美世 ガバナという名前に泥を塗る気か!」
ター「…(お…おぉ…なんかすごい名前…)」
"ガバナ”…絶対偉そうに生まれてきてる。
瞳「うるさいわね!なんでもかんでも父親だからって指示しないでちょうだい!」
ター「あ…あの…」
ガバナ「ふんっ!…こんな高校に入るのを許してやったのにこれか…まったく…」
ター「ちょ…その…」
ターには入るスペースがない…まるでない。
この空間…完全に父娘専用回線。
俺のSIMじゃ繋がらねぇ…。
ガバナ「まぁいい…それより…お見合いが決まったんだ…今から行けるだろうな?」
瞳「お見合い?前にそんなの嫌って言ったでしょ?」
ガバナ「ダメだ…こればっかしは…それに…お前にはいい人なんていないだろう?いるだけ良いだろう?」
瞳「いい人って…っ…私!彼氏いるから!」
そういい放ちターの腕を引き寄せる
ター「えっ…」
ガバナ「なにぃ!?いつ!いつからだ!」
瞳はターの腕を引き寄せると同時にリュックのネームタグに目を向け
瞳「数週間前よ…そうよね?…たー?」
ター「…そ…そうそう!今もデートの予定を決めてたんですけど…お…お父様が来たようで…」
瞳「っ…(余計なこと…)」
瞳が少し睨んだ来たような気がする。
ガバナ「…こんなやつ…ふんっ…デートと言ったな?良いだろう…今度私の投資で出来たショッピングモールがオープンする…そこで特別にデートさせてやる!し・か・し!もし瞳にそぐわない男だったらすぐに別れさせてやる!分かったな!」
ター「は…はい…」
瞳「はぁ…もういいかしら?私…彼と帰るから…」
ガバナ「っ…ふんっ…好きにしろ!」
そう言いガバナは廊下を歩き階段を降りて何処かに行ってしまう。
ター「ふ…ふぅ…えっと…」
グリィィィィ!!!
安堵した瞬間…ターの視界が、右45度にズレた。
そう…瞳が耳を引っ張ってきたのだ。
瞳「よくも余計なこと言ってくれたわね…」
ター「い…いや…だって…リアリティ…」
グリィィィィ!!!!!
さらに強くなる。
瞳「やりすぎなのよ!まったく…こんな男が近くじゃなければもっと誤魔化せたのに…」
ター「は…はぁっ!?俺だって…」
瞳「…うるさい!早く!」
瞳が手を差し出して言ってくる。
ター「は…はい?」
瞳「連絡先に決まってるでしょ!?あなたのせいでデートする事になったんだから!」
ター「あ…あー…は…はい…」
ターはすぐに携帯を取り出し連絡先を交換する
ター「…(お…アイコン可愛い…猫…)」
なんて思ってるのもつかの間…。
瞳「じゃ…私行くから…メールした時は二秒以内に返信しなさいよね!」
ター「は…はい…(一応…俺のおかげでお見合いなくなったんだよな?)」
瞳「まったく…」
瞳はため息をついて行ってしまう。
ター「…(うんうん…なるほど…以外にも俺は気が強い女がタイプだったのかも。)」
続く。
ちょっと都合良い終わりかたで締めたけど…そんなんじゃ落ちないぜリアルライフ。
さて…お気に入り、コメント…マジで励みになります…
とはいいつつ俺の作品は小説家になろうでは一回もないわけで…ドシドシお待ちしてる!