流転の國 エルフの里①
流転の城には、様々な魔術を操るマヤリィ直属の配下達がいる。
その中に、ジェイには劣るものの、まだ10代でありながら風系統魔術を専門とするエルフの少女がいた。
そう、リスである。
彼女は、バイオが天界滅亡計画を立てて流転の國にやってくる少し前に、兄のシェルとともにエルフの里に帰省していた。
その為、桜色の都絡みの一件にはかかわらなかったのだが、それが片付いた後も城に帰ってこなかった。先に帰ってきていたシェルが心配して迎えに行ったほどである。
しかし、その時には既にリスの体調はかなり悪く、城に戻ったはいいが寝込む日々が続いている。帰還の挨拶をする際も、まともに動けない本人に代わってシェルが主の御前に参上した。
主であるマヤリィは無理せず療養するようにとシェルに伝え、リスの様子を伺いつつ、タイミングを見計らって彼女の部屋に行くつもりでいたが、その後も忙しい日々が続いた。
そして、それらが落ち着いた頃、マヤリィはようやく彼女の部屋に足を運ぶ余裕が出来たのである。
『流転の國 vol.1』後半で体調不良になったエルフの少女リスをめぐる後日譚です。
時系列としては『vol.1』の終盤にあたります。