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第二話 ルシアの今世は嫌われもののお姫様のはずでした


 3歳の誕生日から数週間、私は気づいたことがある。


 私は裕福な貴族の娘だったが、メイドや執事から、ずいぶん疎まれているようだ。


 両親や兄妹とは会ったことがないが、今までの人生を思い返すと、良くて興味を持たれない、最悪の場合は殺されるほど嫌悪されているという想像が妥当だろう。


 どちらにせよ、目先の目標は、生き抜くこと。今はアルカイドを探しに出ることはできないだろう。お金もなく、体力もなく、味方もいない3歳の幼児が外に出てできることは少ない。最終手段として、この家を抜け出す準備をしつつ、家族とは、鉢合わないようにすることを徹底しながら生活をする。

 

 しばらく過ごしてみるとメイドたちからの嫌がらせはあるにせよ、家族から興味を持たれていないのが正解だったようで、放任気味だった。


 こっそり身体を鍛え、図書室で資料を読み漁り、比較的平和に、3年が過ぎていった。



ーーーーーーー


 図書室から自室へ戻る帰り道、庭が騒がしく、覗いてみると、ぼろぼろの男の子が剣を向けられて震えていた。


 その光景を見るとすぐに、私はそこへ駆け出した。近くで控えている騎士の剣を抜き取り、男の子と剣を構えている騎士の間に割って入り、剣を弾き飛ばす。


 「ま、待って!」


 私に視線が集まり、血の気が引いてくる。

 や、やっちゃったぁぁぁ、やばい、殺されるかも。絶対、逆らったらダメなやつだよね。

 脳内でカタカタと震えながら、でも、殺されそうな人をほっとけないし……、しょうがない。一応、手には武器がある。6歳の小娘が立派な騎士と対峙し勝てるわけがないが、この身体は案外身体能力が高かったから、逃げることはできるかもしれない。現に隙をついたからとは言え、騎士から、剣を奪うこと、また、剣を払うことには、成功している。


 逃げる方法を考えていると、そこにいた一番偉そうな人が、


 「俺はこいつを殺せと命じたんだ。誰の許可を得て貴様はそれを止めようとしている」


と睨みを利かせてくる。

 

 ですよね。怒ってますよね。でも、ここで逃げれば、きっと背後から斬られて終わりだ。何って答えるのが正解なのかな。男は早く答えろと言わんばかりに、圧力をかけてきた。


「まさか、俺が誰だかわからず、逆らった訳でもあるまいな」


 あれ、でも、今はアルカイドの呪いにかかっているはずだから、逆に考えると、ここで死ぬ方が不自然かもしれない。だって、今までの人生では不幸という不幸を味わってから、死んだが、今のところ平和に暮らしている。では、不幸になる前には死なないのではないか。16歳まで後10年もあるし、うまくいけば、呪いに守られるのではないか、という考えが頭を駆け巡り、一かバチかで口を開く。


 「私は相手がどこの誰であれ、止めに入ってました。例え、この国で一番偉い人でも、この国で一番強い人でも、到底敵わないような相手でも、です。だから、どこのどなたでも、誰の命令でも、関係ありません。」


 空気が冷えていくのを感じる。

 騎士たちは私の怖いもの知らずな言葉に唖然として、固まっている。逃げるなら今のうちだ、剣を片手に、震えてる男の子の手を取り駆け出した。その瞬間、男から笑い声が聞こえた。


 

「その無謀さは、ダイアナ譲りか。それに、その歳であの剣捌きにこの言葉遣い。さすが、ダイアナと俺の血を引いているだけあるな」


「えっ、貴方は私のお父さん、なの?」


「ああ。」


こちらに近づいてくるお父さんに対して、男の子を庇って隠す。

 しかし、警戒とは反面、お父さんは私の頭を撫でただけだった

 そして、後日、一緒に食事しようとだけ残し、騎士を連れて去っていった。


 私、今世では、親に嫌われてなかったのかな?と疑問になりながら、私と男の子だけが庭に残された。

 

 

 


 

 






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