十九話 特別な人
大学から十分ほど歩くと結月さんの家に着いた。新しくも古くもないどこにでもありそうな四階建てのマンションだ。エレベーターはついていなかった。入学したときに契約した学生マンションにそのまま住んでいるらしい。
扉を開けて、キッチンを抜け、結月さんの部屋に入る。シンプルな家具が揃えられたライトダンスで何度も見た部屋だ。
結月さんから渡されたクッションを敷いて、カーペットの上に座った。
俺にクッションを渡した後、結月さんは冷蔵庫の中を漁っている。
「オレンジジュースかコーラどっちがいい?」
「オレンジジュースでお願いします」
「おっけー。私はこれ飲もうかな」
結月さんがペットボトルに入ったオレンジジュースと、瓶に入ったウイスキーを持ってきた。ローテーブルの上に置かれる。
ウイスキーを一人で飲むつもりなのか。結構アルコールが強かった気がするけど。
「酒豪ですね」
「そんなことないよー。中途半端に余っているから空にしたいし、一人だと度数が強いやつは飲む気がしないしね。もしも潰れたらよろしく」
結月さんがウインクして親指を立てた。俺だって男だし警戒心とかないのだろうか。まだ会うのはこれが三回目なのに。
「普通に困るので潰れないでください」
「まあ冗談だし安心して。さすがに後輩に介抱はさせないよ。あとはコップとお菓子持ってくるね」
そう言って、結月さんは背を向け、慣れた様子でキッチンへ向かっていった。異性と部屋で二人きり。家でお酒を飲んで、その先を全く意識しないわけではない。アルコールは一線を超える都合のいい言い訳になるのだ。
きっと結月さんも色んな人を連れ込んで、逆に連れ込まれたりして、それなりに充実した大学生活を送っているのだろう。そのうえライトダンスでの活動も順調とか有能すぎて差を感じてしまう。
まあ結月さんの学年までまだ二年あるし俺の大学生活はこれからだ……と自分に言い訳をしていたら結月さんはすぐに戻ってきた。
結月さんが俺のコップにオレンジジュース、もう一つのコップにウイスキーを注いだ。
「かんぱーい!」
「乾杯」
結月さんが差し出したコップに俺もコップを重ねた。
結月さんがウイスキーを飲む。特に何かと混ぜているわけではない純度百パーセントのウイスキーだ。
「おいしく飲めるものなのですか?」
「余裕だよー。香りくらいは嗅いでみる?」
結月さんはコップを差し出してきた。それに顔に近づけてみる。アルコールの匂いがガツンと鼻孔に直撃する。
すぐにウイスキー入りのコップを返却した。
「まだまだ飲める気がしません」
オレンジジュースの方がおいしく飲めそうだ。
結月さんは笑いながらコップを受け取った。
「慣れだよ。飲み会ゲームとかしていたらいつの間にか飲めたって感じ」
「山手線ゲームとかですか?」
ほかにもいろいろとサークルでした飲み会ゲームについて、山中と川瀬が語っていた気がきたけど名前を忘れた。
「そんな感じ。今日みたいに二人だったら格ゲーとかして負けた方が飲む感じかな」
「なら俺は格ゲーの練習とかしときます」
「じゃあやる? 一応私の家にもあるよ」
結月さんがテレビ台の下を指差した。そこにゲーム機が入っているようだ。
「ならやってみます」
テレビゲームも長いことしていないから、久しぶりにするのも悪くないだろう。
結月さんがゲーム機を起動した。それからコントローラーを操作する。テレビではキャラクター選択画面が表示されている。
これからやる格ゲーは、小学生の頃にやっていた、色々なゲームのキャラクターが登場する格闘ゲームの最新作のようだ。見覚えのないキャラクターも沢山いるが、見知ったキャラクターもいる。俺は緑の剣士を選択した。昔からいるキャラクターなら大きく操作方法は変わっていないだろう。結月さんは赤い服を着たおじさんを選択した。
コントローラーをカチャカチャと動かしながら戦う。小学生の頃はそれなりに上手い方だった気がするけど、ブランクのせいか俺と結月さんのダメージ差が広がっている。
そして俺のキャラクターは場外へ飛ばされた。すなわち敗北である。
「やった! 私の勝ちだね」
隣で結月さんが声を出す。負けるとちょっと悔しい。
「もう一戦やりましょう!」
「いいよー」
再び相対するキャラクター。戦いが始まった。精一杯コントローラーを操作するが、また負ける。これが経験の差か。
第三ラウンド、第四ラウンド、第五ラウンドと戦いは続く。戦いのたびに俺と結月さんのダメージ量の差は狭まっていく。
それから第六ラウンドが始まった。ついに俺の選択した半裸ボクサーによるパンチ攻撃で結月さんの選択した金髪少年を場外へ吹き飛ばした。
俺の勝ちである。
「やっと勝てた!」
自然と歓声が出た。初勝利だ。
悔しがる表情を確認しようかと思って、横目で結月さんを見た。結月さんはほんのり頬を赤らめていた。ウイスキーの中身は明らかに減っている。
俺が強くなったというより結月さんが酔って弱くなっただけだな。
「成長したねー」
隣で結月さん微笑む。ほんのりと香るアルコールの匂い。ゆったりとした口調と柔らかな表情は、先ほどまでとはまた違った印象を受ける。
さっきまで格ゲーに集中していたから全然気づかなかった。
「大丈夫です? 酔いとか」
「私は平気だよー」
結月さんはコップに手を掛ける。ウイスキーをグイっと飲み干した。
「もう顔赤いですよ」
「そんなことよりさー。アオイちゃんから聞いたよ。本当はアオイちゃんと付き合っていないんだよね?」
結月さんがあぐらをかいている俺の太ももに手を乗せた。
結月さんは俺を見つめる。
突然の問いかけだった。アオイが結月さんに言ったのか。仲良さそうだったし不思議ではないが、どこから何が広がるか分からない世の中なのだしできれば事前に教えてほしかったな。
「まあ……そうですね」
知られているなら誤魔化すことも無意味だろう。
頷いた。
瞬間、結月さんが俺の肩にもたれかかってくる。結月さんの体重は思いのほか軽かった。
「なんてね。えへへ。鎌をかけてみたの。ポーカーフェイス苦手だからお酒の力借りればいけるかなーって」
結月さんがいたずらっぽく笑う。
まただ。リュウヤにも見破られた。神保町でのことが頭の中で蘇ってくる。そんなに俺の誤魔化しは上手くいっていないのか。
「なんで分かったのですか」
「だって二人ともどうやったら数字が取れるかを重視している感が強いもん。タツキは私にライトダンス協力してって言ったけど、好きならよく知らない女より彼氏として一緒にやりたくない? アオイちゃんからの相談も数字の増やし方ばっかりだしね」
「……それを知ってどうするのですか」
「別に……そうだったらいいなーって思っただけ。そもそも付き合っているって本気で思っていたら、アオイちゃんに悪くて宅飲みなんて誘えないしね」
結月さんの手のひらが俺の頬に触れた。ほんのり熱い。俺が顔を向けると、すぐそばに結月さんの顔があった。ライトダンスで何度も見た顔。けれどもそこには一度も見たことのない、なまめかしい表情があった。
結月さんの吐息がかかる。
アルコールの匂いがした。それでも悪い気はしなかった。
「結月さん……」
「ねえ……もうちょっと私を頼ってよ。せっかく同じ大学になれたのだからさ。私はもっとタツキ君と仲良くなりたいよ?」
結月さんが言った。
俺にはその言葉の意図が分からなった。結月さんにとって俺は爆笑ドリーマーズで見たことがあった動画の中の人でしかないはずだ。
「十分助かっていますよ。アオタツカップルが軌道に乗ったのは、間違いなく結月さんとのコラボがきっかけですし」
我ながら無難な答えだと思う。
「お酒の力がないとこんなこと言えないからさ。ちょっとくらい言葉足らずでも許してね。入学式の日に私が大学で声を掛けたのも、アオイちゃんの家に行ってアオタツカップルの動画に出たのも全部タツキ君の力になりたかったからだよ」
酔っているとはいえ結月さんが嘘を言っているようには思えない。
だが意味は分からなかった。どう考えても俺の深くかかわる理由がないのだ。結月さんには友達だっているし、ライトダンスでは人気があるしすべてが順風満帆なはずだ。まだアオイの動画を見て金の卵だと思ったから関わったとかなら納得がいく。
「なんで……」
「好きだったから」
「好き?」
「爆笑ドリーマーズのこと」
「……嘘」
初めて会ったときに、爆笑ドリーマーズは大学近辺の景色が映っていたから認知していただけと言っていたはずだ。
結月さんはゆっくりと首を横に振る。
「嘘じゃないよ。本当。ずっと見ていたよ。だからタツキ君の卒業動画が投稿された時はけっこうショックだったんだ。私が好きな爆笑ドリーマーズは終わるんだって。入学式の日はちょっと恥ずかしくて誤魔化しちゃったけどね」
「爆笑ドリーマーズにそんな魅力ないですよ」
それは数字が物語っている。爆笑ドリーマーズは失敗。その中で最も力不足だった俺は大失敗なのだ。
「たしかに数字の面では全然だったよね」
「やっぱりそうじゃないですか」
爆笑ドリーマーズは上手くいかなかった過去でしかないのだ。爆笑ドリーマーズがあったから俺は幼馴染を失ったし、得られたものなど何もない。
だが結月さんは力強くもう一度首を横に振った。
「でも……私は救われた。私、有名になりたかったの。ほかの人たちとは違う特別な存在になりたかった。だから……私は高校生の頃にライトダンスを始めた。私はほかの人とは違う。絶対に人気になれるって思ってた。みんな可愛いって言ってくれるし本気で私が世界で一番可愛いって思ってた。けれども人気は全然出なくて、環境が変われば上手くいくはずだって信じて勢いで上京して、それでも一向に人気は出なかった。私の現実は全然変わらなかったの。ゆーつべもライトダンスも毎日動画を見ていたら嫌でも気づいちゃう。私より後から始めたのに、私より先に人気になってく子たちの存在に。さすがにもう駄目なのかなって心が折れそうになったとき、爆笑ドリーマーズに出会った。きっかけは見覚えのある公園や飲食店が出ていたから。正直ビジュアルはリュウヤがちょっとイケメンなだけだし、トークは面白くなかったけどね」
「やっぱり魅力ないじゃないですか」
今の話のどこに救う要素があったのか分からない。
結月さんは続ける。
「でもさ、企画はちゃんと考えているんだなって伝わってきたし、編集も丁寧だった。全然再生されていないし、コメントもほとんどついていないのに毎日投稿していて偉いなって思った」
「それ褒めています?」
「うーん。何だろ。でもはっきりと覚えていることは、私より年下がこんなに頑張っているのに、落ち込んでいる場合じゃないなって思ったの。活動を辞めたくなるたびに、爆笑ドリーマーズの動画を見て気持ちを奮い立たせていたよ。そして気づいたら私にとって爆笑ドリーマーズの動画は毎日の習慣になってたの。好きになってた。今は私も結構有名になれてきたけどさ、爆笑ドリーマーズがなかったらとっくに諦めていたと思う。だから……タツキ君は私の恩人だよ?」
結月さんは微笑んだ。
過大評価だ。動画投稿を続けるだけなら誰でもできる。爆笑ドリーマーズより再生数が少なくて、爆笑ドリーマーズより長くユーチューバーをしている人だって山ほどいる。
だから特別なことではない。
たまたまだ。たまたま目についただけに過ぎない。
きっと爆笑ドリーマーズが居なくても結月さんは成功していた。長いこと低迷したのはライトダンスのアルゴリズムと相性が悪かったとかそんな感じの理由だと思う。そう確信できるくらい魅力的な人だと思う。
でも、それでも、これまで失敗でしかないと思っていた過去が初めて肯定されたような気がした。
嬉しかった。
お酒なんて一滴も飲んでいないのに、俺の体は熱を帯びた。
俺は結月さんに何て言えばいいのだろう。
結月さんはどうして今こんなことを伝えてきたのだろう。
そんなことを考えながら、次の言葉を探している間も結月さんは続けた。
「びっくりしたなー。タツキ君は水月大学にいたときは。入学式だから絶対にアウェーって分かっていたのに思わず話しかけちゃった」
あの日、初めて結月さんに声を掛けられた日を思い出す。会うのはまだ三回目だけど、二人きりで過ごすことになるとは思わなかった。
「卒業動画では学業に集中って言うから、受験に失敗して仮面浪人でもするのかと思った。でも違った。実際はカップルチャンネルを開設していた。どう考えても変だよね? そしてその事実について、アオタツカップルも爆笑ドリーマーズも一切触れていない。何があったのか分からないけど、私はタツキ君の力になりたいよ」
視聴者なら気になるよな。高校生が作った俺の卒業シナリオ。下手な演技。その後すぐに生まれた唐突なカップルチャンネル。違和感だらけだ。
結月さんは本当に爆笑ドリーマーズが好きだったのだと思う。
そこを疑うことはしない。
爆笑ドリーマーズ。幼馴染との思い出。俺の卒業。
伝えて何かが好転するわけではない。それに結月さんの綺麗な思い出もぶち壊すことになる。だから何も困りごとなんかないですよって笑うべきなのだ。
分かっている。
分かっているはずなのに、それができなかった。きっと結月さんにつられて場酔いしたのだ。全部アルコールが悪い。
「結月さんの期待する答えじゃないですよ」
「それでもいいよ。私は」
結月さんはずっと俺の目を見つめている。
逸らしたくなる気持ちを抑えて、向き合い続けた。
「俺は……学業を理由に爆笑ドリーマーズを辞めたわけじゃありません。辞めさせられました。追放です。俺が一番人気なかったから。俺が一番実力不足だったから……メンバーの金銭的な取り分を増やすために」
思い出す。
リュウヤから追放を伝えられた日のことを。
アオイに初めて追放された事実を伝えたことを。
アオイと一緒にカップルチャンネルをすると決めた日。あれからチャンネル登録者数とか各種SNSのフォロワー数とかユーチューバーとしての力を示す数字は増えた。
でも、肝心な俺自身はどうかというと何も変われていない。
アオタツカップルの人気は全部アオイの力。俺はというと理想だけが高く、ユーチューバーとしては無能なままだ。容姿もトークスキルも企画力も何一つとして優れていない。視聴者にもアオイにも好かれる要素が何一つとして存在しないのだ。
だからきっと、同じことを繰り返す。
確信した。
アオイは変わるのだ。かつての幼馴染と同じように。
綺麗だったはずの結月さんの顔が僅かに歪んだ。
瞬きをした。
頬を水滴が垂れる。
泣いていることに気づく。
涙だ。視界がぐちゃぐちゃになった。
体が横に引っ張られる。
一瞬、何が起きたのか分からなかったが、すぐに気づく。結月さんが両腕を俺の背中に回して抱きしめたのだ。結月さんの体は柔らかくて、体温は暖かかった。
「そっか。いきなり追い出すのは酷いよね。みんな仲良さそうだったから全然気づかなかった。話題出さない方が良かったよね。ごめんね」
「そうですよ。ずっとユーチューバーしていたから、この先どうすればいいのか分かんないし、受験勉強だって全然してなかったですし……でも……そんな時に声を掛けてくれたのがアオイだったんです。一緒にユーチューバーをやろうって。だからもし……この先アオイを失ったら……」
涙が止まらない。
決壊したダムみたいに感情が溢れ出す。
ずっと誰にも言えなかった思いを言ってしまったのだ。
アオイを失うことが怖いと。
結月さんが背中に回した右手で俺の背中を撫でている。
結月さんは優しいのだろう。それなのに情緒不安定になって迷惑をかけている自分がますます嫌になる。
結月さんは諭すようにゆっくりとした口調で言う。
「大丈夫だよ。アオイちゃんはタツキ君のことを足手まといとか思っていないと思うよ」
「アオイは特別です。これからもっと人気になります。最初はカップルとして対等でも差は確実に広がっていきます。だから……いつかきっと見限られます……」
「大丈夫。アオイちゃんを信じて」
「そんなの……」
信じられなかった。想像は悪い方にばかり膨らんでいく。
「……じゃあさ、もしもアオイちゃんと解散したら私と一緒にユーチューバーしようよ。私ならずっとタツキ君と一緒にいるよ。そう思ったらちょっとだけ安心じゃない?」
「…………」
「なんてね。アオイちゃんは多分別れないと思うし、本当に一緒にユーチューバーするのもアリだけどタツキ君が望んでいるのはそういうことじゃないよね」
そう言うと結月さんは俺を抱きしめるのを止めた。
隣で結月さんは俺を真っ直ぐ見つめている。結月さんの大きな瞳は確信を持っているようだった。
考える。
俺の本当の望み。
頭の中はアオイのことでいっぱい。
「きっとタツキ君がなりたいのはアオイちゃんのマネージャーじゃないから。私も一緒だよ。誰かの特別になりたい。有名になりたい。そう思っているはず。そうじゃなかったら動画投稿なんてしていないと思う」
「なれるものならなりたいですよ」
けれども、なれなかったのだ。オリジナル曲は全然再生されなかったし、爆笑ドリーマーズは追放されるし、アオタツカップルはアオイの人気がすべてだ。
だからアオイを失うことが怖い。
何もできない自分が特別な人に見限られることが。
「私にとってタツキ君は特別だよ?」
「それは思い出補正ですよ」
「うん。思い出かもね。でも……それでも救われたのは本当だから」
そう言って結月さんは俺をもう一度抱きしめた。
俺は体重を結月さんに預けた。結月さんは優しく受け止めてくれる。
「どうしてそんなに優しいのですが……」
「優しくはないよ。誰にでもするわけじゃないし。知ってる? ハグって三割ストレス解消できるらしいよ。だから……私ならいつでもハグするから。タツキ君の望みを言って」
なりたい姿を考える。
いつも楽しそうに動画を撮っているアオイの顔が浮かんだ。
俺を追放した幼馴染の顔も浮かんだ。
真っ直ぐ俺を見つめた結月さんの顔も浮かんだ。抱きしめてくれた結月さんのぬくもり。きっとこの優しさは、爆笑ドリーマーズ時代の俺があったから。
追放されたのはやっぱり辛かったけど、当時の撮影は楽しかったし、辞めたおかげでアオイとカップルチャンネルを始めることができたのだ。
そう思ったら、不思議と過去の俺も、爆笑ドリーマーズも、そんなに悪くないような気がしてきた。
「結月さん。もう大丈夫です。ありがとうございます」
自分の力で起き上がる。抱きしめてくれていた結月さんの両腕は自然と離れた。
「……俺は人気ユーチューバーになります」
相槌以外で自分から宣言したのはいつぶりだろう。爆笑ドリーマーズを辞めてからずっと言えてなかったと思う。
結月さんは満足そうに頷く。
「うん。そう言うと思った。人気ユーチューバーになろう。タツキ君なら絶対なれるよ」
俺はアオイが好き。自信をもってアオイの隣に並びたい。結月さんには過去の俺じゃなくてこれからの俺を好きになってもらいたい。俺の知名度で爆笑ドリーマーズをトラウマじゃなくて過去の笑い話にしたい。山中や川瀬が楽しそうにサークルの話をするように、俺も楽しくゆーつべの話ができるようになりたい。
叶えたいことだらけだ。
だから俺は、人気ユーチューバーになる。




